ゼロ君、恥ずかしい。
物語なら逃げ切られて救出劇になりますが、普通、そんなに簡単に逃げられるのかと思っています。
「邪魔だ!」
俺は刻心掌握で足止め役のチンピラを一瞬で眠らせ、ティアを抱えて逃亡する奴に追い付き、再びティアを盾にされる。
「近寄るな! この女がどうなっても良いのか!」
「うるせえよ!」
「がぁっ!」
俺は無詠唱で雷撃針を奴の右目に撃ち込み、その痛みで出来た隙を突いて奴を蹴飛ばしてティアを優しく抱き抱える。
直ぐにティアに伝説級の霊薬エリクサーと同等の状態異常の回復魔法で治療すると、ティアが気が付いた。
(ゼロの過保護。)
(大切な存在なんだから当たり前だ。)
(ご馳走さま。そして、甘くて胸焼けがする。)
(うるせぇよ、ライオス。)
「ゼロ君。」
「ティア。無事で良かった。」
「助けてくれてありがとう。」
「そんなの当たり前だろ。大切な恋人なんだから。」
「ゼロ君、恥ずかしい。」
「可愛いよ、ティア。」
「ゼロ君、大好き。」
ティアと甘い時間を過ごした所で、気絶している「コレ」をどうしようか?
「さて。こいつをどうしようか。」
「私は無事だったんだし、もう放っておけば良いんじゃないかな。」
「ティアのそういう優しい所は良い事だけど、それじゃあ悪い結果になってしまう。」
「どういう事?」
「このまま放っておけば、俺達や無関係の誰かが被害に遭うだけだ。だから、放っておくのならきちんと処理しないとな。」
「ゼロ様。」
「リンか。」
「この者は、ダンジョンでゼロ様に処分された筈のゴミです。何らかの方法で生き延びたと思いますので、ダンジョンでの様な温い処理だと不充分かと思われます。」
「分かった。」
「どうするの、ゼロ君。」
「……良し決めた。」
俺はとあるオリジナルの呪法を掛けた。
「何をしたの、ゼロ君。」
「実際の時間は3日間くらいだけど、体感時間で1年中拷問を受ける呪法を掛けた。この呪法が解ける頃には改心しているよ。」
「そっか。それなら誰も傷付かないで済むね。」
ティアが腕を組んで納得している間にリンがこっそり俺に話し掛けてきた。
「実際はどんな呪法を?」
「幻覚系じゃないと成立しない拷問だよ。」
「どんな内容ですか?」
「ワームが激痛を与えながら皮膚の下を這いずるとか、皆の嫌われ者のクロッチが口から入り身体の内側から食べられるとか、リンの小指程度の大きさのムカデ型のセンチビードが頭の中を食い破りながら徘徊するとか、だな。」
「ゼロ様……」
「俺のティアを浚ったんだ。これくらいはしないとな。」
「それで、呪法は何時解けるのですか?」
「この呪法は、掛けられた本人の生命力を使っているから、生命力が尽きれば解けるよ。」
「つまり、もう未来は無いと?」
「当然だろ。」
「私は怖い主人であり、頼もしい仲間を持ったのですね。」
「リンも同じ様に助けるし、怒るからな。」
「ありがとうございます。」
「ゼロ君。リン。早く行こう。」
「分かった。」
「分かりました。」
俺とティアはデートを再開してリンはストーカーに戻った。
デートは夕食前までたっぷり楽しみ、宿屋で後は寝るだけになると、リンにはお礼の意味を込めて、全年齢対応の全身マッサージをした。
ティアとルシアが羨ましそうに見ていたが、コレはリンへのお礼の意味が含まれているから、ティアとルシアにはしない事に決めているが、何かの折りにはしてあげようと心に誓った。
因みにリンは、全身マッサージでグニャってなっている。
密かにこの全身マッサージは自信がある。
日本人の時に、散々、悪姉に叩き込まれたからな!
2日目は、俺、リン、ティア、ルシアで散策する事になった。
キサラは宿屋で呑兵衛で、ガイラは神殿に行って神殿騎士達と鍛練しに行った。
特に問題は無かったが、強いて上げれば、俺達に善意で全所持金をくれたチンピラ達が居たくらいだ。
3日目は、午前中は、皆で旅の準備をして午後からは皆で宿屋でのんびりとした。
翌日
俺達は冒険者ギルドで、バジリスク・キングの情報を聞いたが、無かったのでバジリスクが見かける場所を聞いて、その地域を目指す事に決めた。
グレイグ達に別れを告げて、馬車でのんびり進んでいると、次の町まで20分という所で悲鳴が聞こえたから、向かってみると、オーク3匹に色々な事をされ掛けている女性騎士2人と護衛対象な商人風の女性が居た。
……緊急という事で、俺が雷撃針でヘイトを俺に向かせた後で、3匹共、首をちょんと斬った。
オークを回収した後、彼女達からの事情聴取を始めた。
「幾ら何でもオークが出る場所に3人だけなのは危ないと思うけど?」
「違います。今朝、冒険者ギルドで聞いても、こんな近い場所にオークの出現報告は有りませんでした。」
「なるほど。」
「……それでお願いが有るのですが良いでしょうか?」
「何?」
「皆様の目的地が『レビィンドラの町』なら私達も同行しても良いでしょうか?」
「つまり、護衛をしろと? 無料で、俺達冒険者に?」
「勿論、無料なんて言いません。」
「向こうに、到着したら、きちんと支払うわ。」
「分かった。」
こうして俺達は、助けた女性騎士達2人と商人風の女性を乗せて目的地のレビィンドラの町を目指した。
「それで、護衛料は誰が払うんだ?」
「私達の主、聖女ミルファ様です。」
「……え!?」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




