ティア、大丈夫か?
本命のデートは事前準備が大変で楽しいものです。
ダンジョンを脱出した俺達は、疲れを癒す為に3日間のお休みにした。
そういう訳で、ティアとデートだ。
因みに、ルシアは神殿に行っていて、聖女見習いみたいな事をしているらしい。
聖女は「聖術」という対悪魔の魔法、光属性の魔法を使うが、他の魔法が使えない訳じゃない。
だから、ガイラのお陰で戦闘時に余裕が出来て、モンスター討伐に使える魔法を学びに神殿に学びに行った。
キサラは宿屋で、酒を呑んでいて、「酒が呑める様になったのが、人化最大の喜びだ!」と言っていたからな。
キサラは基本的には飲食や服が要らないから自由に使えるお金は全て酒代に使っている。
ガイラはお休みだと言っているのに、鍛練すると言っていたが、俺達が出掛ける時に、キサラに捕まっていたから、今頃は酒で潰れている事だろうな。
因みに、この世界の飲酒は15歳を過ぎるか、自力で生活出来ると飲める。
最後のリンだが、隠れてストーカー中だ。
勿論、俺とティアの!
本当にリンは頭が固いんだよ。
本人は努力しているが、進歩は亀がドヤ顔する程だ。
だから、自由時間が出来ると、俺の身の回りのお世話をしようとしてくる。
同時に、俺の謂わばプライベートな時間を邪魔してはいけない事も分かっているから、折衷案でストーカー。
「ゼロ君。この髪飾り可愛い。」
「……結構きちんと出来ているな。お姉さん、幾ら?」
「はいよ。ソレは……」
そこからは、値引き交渉が始まった。
銀貨1枚から大銅貨7枚にまで値引きが出来た。
髪飾りは原価が高いから意外と値引きは難しいが俺はやり遂げた。
「はい。代金。お釣りは要らないよ。」
「それなら、何故、値引きをしたんだい?」
「値引き交渉、そのものをしたかったから。それに……」
「それに?」
「彼女に贈り物をするのに、値引きは縁起が良くないだろ?」
「ゼロ君。それなら、最初から値引きはしないでよ。」
「ティア、ごめん。分かったよ。」
「お客さん。彼女は大切にしなよ。」
「言われるまでもないな。それと、そこの髪飾りを2つを買う。」
「予備かい?」
「いいや。大切にする子はティアだけじゃないからな。」
「良く見りゃあ、その娘は奴隷かい。」
「まあな。奴隷扱いする気はないけどな。」
「そうだろうね。その肩の奴隷紋が無いと、とてもじゃないが奴隷には見えない外見だよ。正直、奴隷に使わせる装備品じゃないよ。」
「はい。代金の銀貨2枚。勿論、お釣りは要らないよ。」
「まいど。お嬢さん、大事にして貰っているね。」
「はい。」
さて、やはり誰かを持て為す、正確には女性を持て為すのは、貴族の方が上だな。
日本人のカップルは本人達は幸せかもしれないが、俺達貴族はソレを教育として学ぶ。
結局、何が言いたいかと言うと、ティアを持て為したいと思う気持ちを実現する為のノウハウが頭の中に有るという事だ。
勿論、元とはいえ、ティアだって最上位の「公爵令嬢」だから、学んではいるが、相手が俺で、しかも、日本人特有の細やかな気配り等が加わり、ティアは赤面と夢心地を繰り返している。
……ティアの反応がもう可愛くて可愛くて。
序でに言うと、ティアはドジっ娘属性も持っているから、何も無い所で転けそうになって、お腹や太ももがチラリという場面が有ったりした。
当然助けるし、その時に舞う様に「お姫様だっこ」で助けて、鼻ちゅー(鼻と鼻がちょっと当たる事)した状態で、ここぞとばかりに、美声加工して、「ティア、大丈夫か?」と囁く。
周りの女性が黄色い悲鳴を上げたりしていた。
勿論、ティアの顔はトマト化。
しかし、運命はラブコメの延長を嫌う。
「よう、良い女と居るじゃねぇか。女を置いて消えな。」
はぁ。
折角、ティアの可愛い顔と反応を堪能して楽しんでいたのに、ゴブリン顔のチンピラ2人が俺達に声を掛けて来た。
「俺達は大切な時間を過ごして居るんだ、消えな。」
「てめぇ、女の前だからと粋がってんじゃなぇぞ!」
「……もう良いや。」
無詠唱で悪魔が使う魔法「悪夢拷問」を放つ。
途端にチンピラが倒れる。
魔法の効果内容は、1分で10日分の精神世界でリアリティー溢れる拷問を与え続ける魔法だ。
魔界では性犯罪の刑罰として充分な内容のお仕置きとして使われている。
持続時間は1時間で、本人的には600日。
「ティア。寝かせたから無視して行こう。」
「うん。でも魘されているよ?」
「大丈夫大丈夫。」
「……そうかなぁ? きゃ!?」
ティアをお姫様だっこして、現場から離れた俺達は、都市中央にある噴水広場に移動したが、この時も周りからは黄色い声が上がった。
蛇足として、移動の際にチンピラを蹴飛ばしていたリンを視界に入った。
「はい、ティア。」
「ありがとう、ゼロ君。」
ティアは喉が渇いていたのか、喉を鳴らしてジュースを飲んでいる。
……こういう時間をこれからもティアと過ごせたら良いな。
「ゼ……きゃ!」
「ティア!」
「おっと、動くな。」
チィ!
気を緩み過ぎた!
「ティアを離せ!」
「おい!」
ティアを薬か何かで眠らせた男が声を掛けると、周りに居たチンピラが俺の前に立ち塞がった。
そして、ティアを拉致して逃げて行く。
「行かせるか!」
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