俺達の目の前の少女から。
フェリーがデレた。
国王達との非公式の対談から2週間が経過した。
その間に後々の面倒が予測出来た為に、王妃に各宝珠を4個ずつ渡して、「将来の義父母にも同じ数と、世話になった貴族に2種類1個ずつを渡している。」と伝えた。
王妃は大変喜んでいて貰ったお礼が、王妃御用達の「衣服」、「宝飾」の店の優先権を保証する書類だった。
ティアが喜んでいたから俺も嬉しかったが王妃が皆にドレスを一揃いの費用を出してくれた。
お礼に「紅玉宝珠」と「蒼玉宝珠」を1つずつ渡した。
ある日、これ以上はフェリー(この2週間で俺達も愛称呼びが許された。)が学生として支障が出ると裏ルートから王妃の「お願い」が来た。
だから、冒険の旅に出る事にした。
見送りは、フェリーと学園長だ。
王女が見送りの場に居るのは不自然だが、横に学園長が居るから問題無い。
「ティア~。やっぱり止めよぅ、離れたくない~。」
「駄目よ、フェリー。」
「そうだぞ、フェリシア。」
「フェリー。また遊びに行くから、な。」
「う~。分かったわよ。必ず遊びに来るのよ!」
「フェリー、約束するわ。」
「待っているから、ティア。」
「名残惜しいのは分かるがいつまでも居られないぞ。」
「分かっている。じゃあ、フェリーまたな。」
「またね、フェリー。」
「待っているわ、ティア。」
こうして、「新婚さんなのに、夫が長期出張になりました。」みたいな空気を出すフェリーを置いて俺達は東門から出発した。
俺達の馬車は周りの他の馬車の速度に合わせてのんびり進んでいる。
御者はキサラとルシアで、俺達は中で寛いでいた。
何せ、馬車の中の内装は、「ティアが乗る馬車たがら」と言ってフェリーこと、フェリシア王女が陣頭指揮を執り、ビフォーアフターみたいになっている。
更に、「ティアが過ごすにしては狭い」という事で4人用の馬車から8人用の馬車に変更させられた。
勿論、馬も軍用にも使える馬に変更になった上に2頭引きになったから2頭貰った。
代価は、馬車に使っている「スプリング」だ。
そして、今までの馬車は、持っていなかったという事で、王都の聖女の下に行った。
王都だからこそ必要性が無かったらしい。
馬車を貰う事で喜んだのは、聖女と聖女に仕える神殿騎士達で、これで重い荷物を徒歩で運ぶ事が無いからだ。
王都の聖女からは、是非お礼がしたいと言われたが、今までの事が走馬灯の様に浮かんだので、拒否したら、何度も「面会を!」と使いの人が来たので、根負けして「ティアが持ち主」と言ってティアに任せた。
ブーブーと文句を言っていたティアが可愛いかった。
こうして、新しい馬車にもスプリングを使い、内装は王家御用達の職人達が整えた。
これで、上級貴族が使う様な馬車と平民が所有者というゴリゴリな違和感しかない馬車の出来上がりだ。
だから……
「その馬車、止まれ。死にたくなければ有り金を全て出しな!」
と、この様に周りに他の馬車も無く、近くに森がある街道で盗賊からの熱いデートの申し込みが来た。
30分後、盗賊とアジトの処理(運良く囚われた人は居なかった。)が済んだ俺達は、最初の目的地「都市フィブリール」に到着した。
門番の審査が済み、入って直ぐの詰所で盗賊の討伐報酬を貰い、宿屋を取った。
……やっぱり宿屋の人から馬車で追加料金を徴収された。
俺達は時間も半端な事から都市の散策するから、宿屋から出ると悲鳴が上がった。
「きゃあああーーー!」
俺達の目の前の少女から。
……って、聖女だよ!
そして、俺達は神殿騎士達に囲まれて、聖女が悲鳴を上げたから近くに居た衛兵も来た。
「何もしていないのに、急にそちらの女性が悲鳴を上げたんだ。」
「と、言っているがどうだ?」
「……はい。確かにそちらの方は何もしていません。」
俺は衛兵の現場責任者に王家の短剣を見せて仕舞う。
「あちらの女性が証言してくれたので問題無いかと思いますが?」
「う、うむ。そうだな。問題無いと確認した。」
「しかし、悲鳴を上げさせてしまった責任は取ります。」
現場責任者と俺の少し大袈裟な言い方で群がっていた野次馬は去っていった。
「どういうつもりですか?」
武器は仕舞ったが警戒心剥き出しの神殿騎士達と聖女は、俺に質問をした。
「まあ、往来でする話では無いんで、神殿の『聖女の間』で話しましょう。」
「何故、それを知っているのですか!」
「その辺りも含めて、向こうで話しますよ。」
警戒心と緊張感ガンガンの聖女と神殿騎士達で神殿に向かう俺達だが、オロオロしていたのは、ティアとルシアだけだった。
「聖女の間」に入った俺達はやっぱり中央辺りで止められた。
「悪魔! どんな邪悪な企みで私の前に来たのですか!」
「とりあえず、コレを読んでください。」
俺はリンに「聖女の手紙」を渡した。
勿論、神殿騎士達は、武器を抜いて俺を狙っている。
だから、俺が少しでも動くと神殿騎士達も反応していた。
「……?」
リンが渡した「聖女の手紙」を読み始めた聖女は、「そんな、嘘でしょう!」とか「信じられない!」とか、最後は「私は何て事を……」とか言っていたかと思っていたら、「聖女の手紙」をリンに返すと、悲痛な顔で俺の前に来て、深く頭を下げた。
「聖女様!?」×神殿騎士達
動揺する神殿騎士達を抑えた聖女は俺に話し掛けた。
「申し訳ありませんでした。」
「良いですよ。大聖女様達でさえ、貴女と同じ事をしましたから。」
「でも……」
「それでは一応、貴女も確かめてください。」
「……何をですか?」
「勿論、俺に向かって最大限の聖術を放ってください。」
「でも、それは……」
「聖女が放つ聖術は、悪魔にしか効かない。つまり、人族の俺には効果が無い。そうすれば、貴女も神殿騎士達も安心する事が出来ると思いますよ。」
「……はい、分かりました。神殿騎士達、聖術を放ちます。所定の位置に。」
「はっ!」×神殿騎士達
神殿騎士達が所定(聖術強化の魔法陣)の位置に移動すると……
「聖術。聖滅炎!」
光と青色と炎を足した様な聖術が俺の足下から噴出して俺を包んだ。
「ゼロ君!?」
「大丈夫よ、ティア。」
「……リン。」
放たれた聖術が収まると肩で息する聖女が立っていた。
「ハアハア。……どうやら、本当に、貴方は、人族、の、様です、ね。」
「聖女アストレア様!」
「大丈、夫です。」
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