痛いです、レオナルド皇太子殿下。
諦めていない誰か。
「レオナルドお兄様、端ないですわよ。」
「あ。ああ、すまない。それで……」
「お久しぶりです、レオナルド皇太子殿下。」
「シンティア嬢。以前の様にレオンと呼んで欲しい。」
「そういう訳にはいきません。あの時は、公爵家に籍が有りましたが、今は、只の冒険者ですから。」
「しかしだな……ん? ルシア嬢も元気だったか?」
「はい。レオナルド皇太子殿下もご健勝で何よりです。」
コレがこの国の皇太子か。
まあ、顔良し、スタイル良し、性格も、現段階は良し。
しかし、幾ら俺の事を忘れられないからって、良く皇太子を振ったよな。
……ん?
皇太子が俺を見ている?
「シンティア嬢。此方の方々は?」
「はい。私が所属する冒険者パーティーの仲間です。リーダーのゼロ君。そして、リンとキサラです。」
「シンティア嬢。何故、男性が居るパーティーに入ったのだ?」
「それは、私自身がゼロ君を信じているからです。」
「シンティア嬢!」
必死の形相のレオナルド皇太子殿下は思わず、ティアの肩を鷲掴みにする。
「……痛いです、レオナルド皇太子殿下。」
「レオナルドお兄様!」
「……すまない。シンテ……! コレは奴隷紋!? どういう事だ!」
あちゃー。
気付かれたか。
「おい! 貴様、どういう事だ! 内容に因っては、生きて明日を迎えるとは思わない事だ!」
俺は、偶然、盗賊のアジトに囚われていたルシアを助ける事でティアの事を知り助けに行ったが、正規の手順でしか助ける事が出来ず、ティアを買うしかなく。
結果、ティアは俺の奴隷となっている。……と、如何にもな説明をした。
まあ、「嘘」は言ってないよ。
「……そうか。シンティア嬢。国王である父上にお願いすれば、『奴隷ではなかった。』事に出来るぞ。」
「お心使いありがとうございます。ですが、今の私は後悔はありません。それに、この国の王が法を犯してはいけません。」
「……そうか。シンティア嬢が納得しているのならば、何も言えない。」
「……レオナルド皇太子殿下。」
「しかし、この男はシンティア嬢を守れるだけの『力』を持っているのか?」
「レオナルド皇太子殿下……」
「シンティア嬢。すまないが譲る事は出来ない。」
う~ん。
ごねても意味がないな。
「分かりました。俺に守る『力』がある事を証明しましょう。」
「当然だ!」
「それで、どの様に判断されますか?」
「冒険者ならば、モンスター討伐だ。セバク、証明するのなら、何が良い?」
「はい。それならば、単独で、ウェアウルフ5匹の討伐、オーク1匹の討伐がよろしいかと。」
「うむ。確かに、ソレらを単独で討伐出来るのであれば、冒険者として充分な『力』を持っていると言えるだろう。期限は明日までとする。」
「いや、明日まで待つ必要は無いな。ちょっと行ってくる。」
「ちょっと……」
ティアの声が聞こえたが、面倒臭い事は早急に終わらせるに限るからな。
俺は学園都市を出て、森に入った。
レオナルド皇太子side
「シンティア嬢。本当にあの者の奴隷で良いのか?」
「はい。私の気持ちは変わりません。」
「ルシア嬢からも言ってくれないか。」
「私の気持ちもシンティアお嬢様と同じです。」
「レオナルドお兄様。見苦しいですわよ。」
「フェリーも心配にならないのか。親友のシンティア嬢が奴隷になって、男の居るパーティーに入っているのだぞ。」
「レオナルドお兄様、心配は分かりますが、私は既に彼の為人を調べて納得しております。」
「しかしだな……」
「それに、ティアは冒険者です。そういうのは王族であってもご法度ですわ。」
「……それでも。」
ゼロside
2時間後
「遅かったわね、ゼロ君。」
「往復の時間がキツかったな。はい。討伐証明書。」
「偽造は、罰則が発生するぞ?」
「この学園都市の冒険者ギルドのギルド・マスターの名前入りだ。レオナルド皇太子殿下の指示だと言えば書いてくれたよ。」
「……確かに、ギルド・マスターの名前だ。」
「もう良いか?」
「……ま、まだだ! 確かにモンスターを狩る能力は持っているだろう。しかし、モンスターは所詮知性を持たない。だから、対人戦での強さも必要だ!」
「レオナルドお兄様、まさか!」
「そうだ。私は、今日帰国した足でこの学園に来た。そして、隣国に向かうにあたって私の護衛の任に着いた精鋭の騎士達が居る。彼らと戦って強さを証明して貰おう。」
「分かった。」
「ゼロ様!?」
「良い心掛けだ。明日の午前9時までに、この学園の闘技場に来る様に。」
そういうと、レオナルド皇太子殿下は、サロンから立ち去った。
「ゼロ様。レオナルドお兄様が失礼な事を言い、申し訳ありません。」
「良いよ。」
「……でも……」
「それなら、俺が明日、勝った時のレオナルド皇太子殿下の説得方法を考えてよ。」
「……分かりました。それで勝てますの?」
「フェリー。」
「何、ティア。」
「忘れたの?」
「何を?」
「ゼロ君は、10歳の頃には、遊び場所が国内屈指の死境『魔の森』で、貴女に勝ち、あのセレシアお義母さまに指導を受けたのよ。」
「はっ! そうでしたわ。」
「だから、大丈夫よ。ねっ、ゼロ君。」
「ああ。問題無い。」
翌日
学園の闘技場に到着した俺達は、向こうの指示を受けて、ティア達は特別観客席に、俺は、向こうが用意した模擬剣を持ち、服類を着ている。
コレらは、俺の不正防止だってさ。
防具類は邪魔だから断った。
因みに、ティアだけは、中立と言える位置に設置したちょっと豪華な椅子に座っている。
「これより、レオナルド皇太子殿下に因る模擬戦を開催する!」
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