お話をキッチリとして貰いますからね。
類友。
「学園長、それは?」
「見たままの物よ。」
「まさか、ソレが俺へのお礼の品ですか?」
「そうよ。シンティアが過去を越えてゼロを信じている事でより安心して渡せるし、どこまで通用するか分からないけど、無いよりはマシな筈よ。」
「分かりました。頂きます。」
「良かったわ。」
「学園長。少しよろしいでしょうか?」
「何、シンティア。」
「学園内を見て廻ってもよろしいでしょうか?」
「良いわよ。なんなら、実技の授業に参加しても良いわよ、講師としてね。」
「遠慮します。高くなった鼻を折るのは1度で充分でしょう。」
「それでは学園長、失礼します。」
学園内を歩いていると、前方から淑女らしからぬ全力疾走で誰かが向かって来ている。
……ん~、あれはフェリシアだ!
俺は密かに腹筋に力を入れつつ、競技としてのドッジボールの受けの体勢を密かに取る。
フェリシアまでの距離が残り5mで、カーブして標的がティアになり魚雷が発射された。
「ティアーーー!」
「ぐふぅ!?」
ティアが乙女として、また、元公爵令嬢として、出さない方が良い言葉と顔芸を出しながら、ティアとフェリシアが一緒になって転がっていた。
「ティア、会いたかったわー!」
「フェリーなの!?」
「そうよ。……って、え!?」
フェリシアは、俺を見た瞬間に固まった。
「フェリシア様、とりあえず、起き上がりませんか?」
「そ、そうね。」
「それでは、いつものサロンの使用許可を取り付けてまいります。」
「分かったわ。」
専属侍女の……名前忘れた……が、来た時と同じ様に淑女としての優雅さを残したまま、信じられない速さでこの場を立ち去った。
そして、同じく淑女として、王女として、してはいけない顔をして、更に背後に般若を従えたフェリシアが俺に一言。
「ゼロ様、お話をキッチリとして貰いますからね。」
「ひぃ!?」
「「???」」
俺とフェリシアの関係を知らないティアとルシアは頭に「?」が浮かんでいた。
前回入ったサロンで、紅茶を飲んで落ち着いた所で、学園長と同じ様に説明した。
そして、同じくフェリシアも形容し難い沼に嵌まった。
「ティアが白金貨600枚の女……」
「フェリー……?」
「私がもし、その場に居たら……」
確かに2人とも顔は甲乙つけ難い美少女だが、残念ながら、胸部装甲は完全にティアが勝っている。
……蛇足だが、室内に居る専属侍女ノインは、静かに肩を震わせていた。
何とか持ち直したフェリシアは、先程の(本人にとっては)醜態が無かったかの様に紅茶を飲んだ後、納得した顔をした。
「それで、ティアとルシアに奴隷紋が付いていたのね。」
「そうよ。」
「所でゼロ様。」
「はい、何でしょう?」
「ティアが奴隷なのを良い事に何か良からぬ事をしていないでしょうね?」
「フェ、フェリー!?」
ティアの顔が赤くなる。
「俺からは何もしていないよ。」
「……『俺からは』?」
「なっ!? ゼロ君!」
ティアの耳まで赤くなる。
「寝る時はティアは、ティアのベッドに寝ているが、俺が自分のベッドで朝、目が覚めた時、何故かティアが俺の隣にいるんだ。」
ティアがトマト顔になる。
「ソ、ソソソソレは……」
ティア、トマト顔を両手で無駄に隠す。
「分かったわ、ティア。私はそんなティアでも心友だと思っているから。」
「フェリー、何か違う『字』を使ってない?」
「気の所為よ。」
「本当に~?」
「本当よ。」
キラン!
「フェリーが私にウソ付いたー!」
「あー、ヨシヨシ。フェリシア様、やり過ぎです。」
ティアが泣きながら俺に抱き付く。
「……ごめんなさい。こうして、ティアと会話が出来るのが嬉しくて……」
「フェリー……」
「ティア、私達はこれからも親友よ。」
「うん。」
……でも、そんな綺麗な言葉を言っているフェリシアは、ティアからは見えない様に抱き合っているのだが顔が……
『計画通り!』
……になっていた。
(当時、読んだ時や、今も思うが忘れられない顔だよな、アレは。)
すっかり騙さ……、いや、仲直りしたティアとフェリシアを加えて愛されているティアを弄りながら雑談している中、学園長から貰った短剣の話が出ると、フェリシアがノインに使いを出した。
「レビィナ叔母様に負けられないわ!」
ノインが帰って来ると、手には、青い意匠が飾られた白基調の短剣を持っていた。
……あのぅ、もしかしてなのか?
「ティア、受け取って。」
「え、フェリー。でも、この短剣は……」
「いいのよ。ティアなら、信頼しているわ。」
「フェリー……」
「ティア!」
「分かったわ。大切にするね。」
「良かったわ。」
しかし、その短剣も俺の異空間収納に仕舞う。
そして、ほんわかしているティアは聞いていないみたいだが、フェリシアが小さい声で、「これでティアを王宮に呼べるわ。」と言っていた。
そして、運命は、王女の次を用意していた。
部屋にノックの音が響いた。
「フェリシア様。レオナルド皇太子殿下がお越しになられました。」
「レオナルドお兄様が! 入って頂いて。」
「承知しました。」
そういやぁ、皇太子もこの学園の生徒だったな。
それに、俺が講師の時は、皇太子として隣国に行っていたな。
……国王の名代として。
「フェリシア。シンティア嬢が来ていると聞いたぞ。」
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オークションに賭けられる他国の貴族令嬢の相場
男爵は、金貨1枚から5枚
子爵は、金貨3枚から7枚
伯爵は、金貨20枚から30枚
侯爵は、金貨60枚から100枚
公爵は、金貨500枚から900枚
除籍したとはいえ、現役公爵の令嬢で、ゼロと婚約していない場合は王妃最有力候補、政治的交渉材料、Dランク冒険者で無茶が出来る、そして、レギンパパと競った事が超が付く高額落札に。
レギンパパが居なければ、白金貨400枚辺りだった。
因みに学園長が王族の頃は、白金貨300枚、聖女の頃は、白金貨200枚、現在は、白金貨10枚。
王族相手に政治的交渉材料としては、リスクが高い為と、現在、レギンパパの立場は強いから。
フェリシアは、白金貨350枚辺り。
10年前に比べて現在王族の権力が下がっているし、ティアと親友なのは有名、胸部装甲は当時の学園長より上で、ティアより下。




