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ゼロ君のバカ!

シリアス脱却だ!

 俺はこれまでの記憶の中で最も幸せなキスをした後、ティアは泣き続けた。

 ティアは、幼馴染みで婚約者である俺を病死で喪い、公爵令嬢としての、場合に因っては将来的な「王妃」の地位まで捨て、冒険者になり、そして、右腕を喪い、奴隷になり、誰かに買われる。


 そんな人生の絶望オンパレードの最後が、病死した筈の俺との再会だもんな。

 泣き続けるのは仕方ないな。


 ティアも大分落ち着いたのか、泣き止み、顔を上げる。

 そして、ティアからキスをして来た。


「ヒイロ。夢じゃないよね?」

「ああ。ティアを抱く腕の感触も、ティアの唇に触れた感触も全て本物だよ。夢じゃない。」

「ヒイロ。逢いたかったわ。」

「俺もだ。」


 そして、もう一度、ティアとキスをする。


 唇から離れ、顔からも離したティアは笑顔だったが、一気に顔面蒼白になる。


「ヒイロ! ルシアよ! ルシアを助けて!」

「ティア。その事で謝らなければならない事が有るんだ。」

「……ヒイロ。どういう意味なの?」


 ティアは最悪な事を想像したのか、今にも泣きそうな顔をしていた。

 俺は遮音の魔法を一旦解除して、外で待機していた皆を部屋に入れる。

 皆を部屋に入れた後、再び遮音の魔法を掛けた。


「……え!?」

「シンティアお嬢様……」

「ルシア……なの?」

「はい。シンティアお嬢様。」

「ルシアなのね!」

「はい! シンティアお嬢様!」


 ティアとルシアは笑顔で泣きながら抱き締め合った。


「ティア。元々、ティアを助けられたのは、先にルシアを助けたからなんだ。ルシアからティアの事を聞いたから。」


 ずっと泣き続けたティアの涙腺が心配だな。

 後で回復魔法を掛けとこう。


 ルシアを抱き締めたまま、俺の言葉に返した。


「そうだったのね。」

「ティアの二番目の心配事が消えた所で、ティアの右腕を治そうか。」

「ヒイロ。簡単に言わないで。切られてから大分経つわ。大聖女様でも不可能だわ。」

「まあまあ。ほい。『復元再生(リバイックヒール)』」


 ティアの綺麗な右腕が復元再生された。


「……え!?」

「……シンティアお嬢様、右腕が!」

「どうだ? きちんと動くか?」

「……動くけど。」

「それなら良かった。」

「ヒイロ! 説明して!」

「何処から?」

「最初から全部!」


 ティア、ルシア、元聖女に、俺が元日本人で、この世界の女神アティアと面識が有る事以外で、大聖女達と同じ話した。


「だから、ティアにルシア。俺の名は『ヒイロ』ではなくて、『ゼロ』と呼んで欲しい。」

「分かったわ、『ゼロ』。」

「う~ん。ティアの呼び名はキサラと被るんだよなぁ。」

「……!?」


 ティアは何かを察したのか、少し後ずさった。


「良し! ティア、最初の『命令』な。」

「な、何?」


 きっと、今の俺は黒い笑顔をしているんだろうなぁ。


「今後は、俺の名を呼ぶ時は、『ゼロ君』と呼ぶ事。」

「……!?」


 ティアの顔が真っ赤になった事で、心の中で俺はガッツポーズをした。


「……う~。ヒイロが昔のままだよ~。」

「ティア、『ゼロ君』だろ?」

「は~い。ゼ、ゼロ君。」


 ティアのこの真っ赤な顔を俺は「あの時」から見たかったんだ!


 この後、順番にお風呂に入り、サッパリした所で、外に食べに出る事にした。


「ちょっと待って、ゼロ君。」

「どうした、ティア。」

「この格好、あの、ちょっと……ね?」

「ごめん、ティア。ルシア。」

「はい。ゼロ兄さん。」

「ゼロ兄さん!?」

「ああ。ルシアはルシアで、リンと呼び名が被るから、こうなった。」

「……ルシア。」

「シンティアお嬢様。あの時に、『ヒイロ様は意地悪。』と言った気持ちが分かりました。」

「そうでしょう。」

「ティア、ルシア。とりあえず、な。」

「はい。畏まりました。」

「ティア、リュミ。部屋の前で待っているから、着替え終わったら教えてくれ。ルシア、期待しているぞ。」

「御意。」


 15分後に出て来た、ティアと元聖女のリュミは綺麗な格好をしていた。

 まあ、リュミは完全に想定外なオマケだけど、ティアを買う事で助けるのは確定事項だから、先行して王都に到着していたリン達にティアの服や日用品を買い揃えて貰っていた訳だ。

 勿論、ルシアが居るのだから、下着のサイズまで完璧だ。


 パカン!


「おう。」

「ゼロ君のバカ!」


 顔を真っ赤にしたティアが居た。


「何故、はたく?」

「何となくよ。」

「まあ、良いか。それじゃあ、行こうか。」

「はい。」×皆

「ああ。そうだ! 忘れていた。」

「ゼロ君、何を?」

「ティア。とても綺麗だよ。」

「なっ!?」

「それじゃあ。今後こそ、行こうか。」

「……ゼロ君のバカー!」


 主人公補正が働く事なく、無事に外食を済ませて、宿屋に戻るが、6人部屋が無い為、4人部屋を隣続きで借りた。

 元聖女のリュミには、リン達から説明を受けていたから、最初の絶望感は無く、ちょっとビクビクする程度で収まっている。

 勿論、「聖女の手紙」は、返して貰った。

 しかし、やっぱり、見た事が有るんだよなぁ。

 何処で見たんだろう?


 部屋割りは、俺、ティア、ルシアと、リン、キサラ、リュミに別れた。


「痛くしないでね?」



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