閑話~翼の追求者side
長文です。
後、読む人に因っては「胸糞」な話しになっています。
私は冒険者ギルドで、気になる少年とすれ違って以来、少年の事が頭から離れないでいたわ。
だから、以前、怪我をした時にお世話になった神殿に行き、心身を鍛え直そうと思う。
神殿に行き、大聖女ティリス様にお話を聞いて頂いた後、神殿騎士達に模擬戦をお願いした。
神殿騎士達の統率の取れた攻撃は大変勉強になったわ。
だって、何処かで読み間違えたり、動きにミスが有ると直ぐに、そこから瓦解するんだもん。
神殿騎士達とお互いに立てなくなるまで鍛練したお陰で大分、スッキリしたわ。
とある日
また、神殿騎士達に鍛練をお願いする為に神殿に行くと、大聖女ティリス様から聖女リリーの鍛練に協力して欲しいとお願いされたわ。
大聖女ティリス様からお願いされるなんて、光栄な事だから喜んで協力したわ。
それに、安全を保障された人相手に攻撃魔法を放つなんて滅多に無いしね。
私達は大聖女ティリス様からの指示を受けながら、使える攻撃魔法を限界まで放ったけど、大聖女ティリス様にとっては、不満が残るみたい。
槍だけではなくて、やっぱり魔法の鍛練も必要ね。
大聖女ティリス様が何か考えがあるのか、声が漏れていたわ。
「やはり、彼にお願いしましょう。」
「彼」って、誰かな?
ルシアと相談して、慣れた学園都市を出て、違う場所で頑張る事にした私達は、ファスラの街を目指す事にしたわ。
……初めて乗り合い馬車を使ったけど、お尻が痛い。
馬車と言えば、家の馬車しか知らないから、一般用の馬車がこんなに痛いなんて知らなかったわ。
もし、馬車を個人で所有する時は入念に吟味しないと駄目ねと思っていたら、ルシアも同じ考えだったわ。
移動中の暇とお尻から来る傷みを誤魔化す為にルシアとお話をしているとファスラの街に到着したみたい。
先ずは良い宿屋を探して部屋を取って、今日はのんびりするわ。
ルシアの回復魔法でも、馬車の移動に因って痛めたお尻が治らないなんて脅威だわ。
この傷みはルシアとも共有しているからお互いに頷き合って馬車の購入する意思を確め合ったのよね。
数日経つと、冒険者ギルドには、緊急依頼が貼り出されたわ。
内容は、ギールカ商会の娘が予定日を過ぎても帰ってこない為の捜索依頼だったわ。
私達は、この依頼を受ける事にして、受付嬢さんに聞いてみると、詳細は向こうで聞いて欲しいと言われ紹介状を貰い、ギールカ商会に行ってみる。
私達はギールカ商会に依頼の件で来た事を伝えると、広めの応接室に通されたわ。
少し経つと、商会長のカヌアールさんが来て、紹介状を渡すと、「実力は申し分無いようだが、流石に2人は少な過ぎる。後、もう1組か2組来るまで待ってて欲しい。」と、言われて確かに、そう思ったから待つ事にしたんだけど、何だか、騒がしくなったかと思っていると、1時間後ぐらいにカヌアールさん達が、ギルドに捜索依頼を出した娘サハシーナさんと帰って来たわ。
しかも、銀仮面を被っているけど、学園都市で見掛けた冒険者パーティーよね?
どういう事なのかしら?
落ち着いた後、カヌアールさんから説明を受けたわ。
偶然、彼らが盗賊のアジトを殲滅したら、サハシーナさんが囚われていた、と。
カヌアールさんが娘のサハシーナさんが無事に帰って来た事の感謝の場を設けたから、この際に彼らに声を掛けたけど、仮面の理由を聞いたら、怪我が原因みたいで、素顔を見る事が出来なくて、残念だと思っていたら、ルシアが「有料で治しましょうか?」と治療を勧めてきた時は、「良くやったわ、ルシア!」と思ったの。
それに、無償の治療は後々に悪循環になるからしない方が良いしね。
でも、本人の戒めの為と言われて断れたわ。
それでも、諦めきれないし、何故か締め付けられる何かに動かされて、もう一度、彼に問うたわ。
「失礼。ゼロに聞きたいのだけど、貴方とは学園都市以外で会った事が有るでしょうか?」
……答えは「無い」だったわ。
私は理由の分からない哀しみを堪えながら、この場を去ったわ。
ルシアも気になっていたのか聞きに来たけど、私と同じように哀しい顔をしていたわ。
サハシーナさんは、無事だったから、依頼は無効、という訳にもいかず、依頼料は支払う事になったんだけど、途中で気付いたけど、口止め料込みの報酬だったわ。
この辺りは貴族も商人も同じね。
数日後
ファスラの街の領主の三女ソニアの婚約披露宴に招待された。
まあ、私が公爵家の娘なのは、貴族の間だと有名だしね。
少しでもコネを作りたいのでしょうね。
私達は断れる理由が無いから参加したけど、まさか、また彼と会えるなんて思わなかったわ。
彼が1人だったから、思い切って彼に話し掛けても答えてくれず、悲しい思いになっていると、ルシアが質問する事で彼の無言の理由を思い出したわ。
もう、私の馬鹿!
そんな事も忘れていたなんて!
この後、私達は王都を目指す事にしたわ。
そして、再び、私達を襲う苦行が待っていたわ。
……乗り合い馬車、お尻痛いの。
都市エルドラまで、後少しの所で盗賊達に囲まれ、私達は応戦して、その間に乗り合い馬車を逃がす事が出来たけど、ルシアの悲鳴で視線を動かした事で、私は右腕を喪い、私達は盗賊達に囚われたわ。
その日の内に、何処からか呼んだ奴隷商に因って盗賊達の奴隷にされ、私はその夜の内に、何処かに連れて行かれた。
馬車の中で、未だにルシアの私を呼ぶ悲痛な声が忘れられない。
……奴隷となった私には、もう希望も未来も無いのね。
……ヒイロに逢いたい。
大分、馬車に揺られていたけど、目的地は王都だったみたいね。
そういえば、以前、お父様から聞いた事が有るわ。
王都には、オークション会場が有って、色んな物を売っているって。
……そうね。
奴隷も「物」だったわね。
オークションが始まる数日間は、奴隷としての座学を教え込まれた。
話しに聞いていた、奴隷としての「夜の勉強」は、何故か無かったけど、結局は、売られた後に「命令」されるから同じだと思ったわ。
……こんな絶望を味わうくらいなら、死んでしまいたい。
だけど、奴隷の契約魔法の所為で自殺が出来ない!
ああ、そうなのね。ヒイロと手を繋いでいた右腕を喪った時に、私は終わったんだ。
オークションが始まったみたいで、促されるまま、私はオークション会場の舞台の上に立った。
私を競る声が途中から2つになったけど、反響の所為か上手く聞こえないわ。
……でも、2つ共、聞いた事が有る声だったわ。
突然、凄い歓声を聞いたけど、その後、直ぐに別室に連れて行かれて、出品物の売り渡しの場に移動したわ。
……驚いたわ。
私、白金貨600枚で売られたのね。
……でも、私、まだ「驚く」という感情が残っていたんだ。
そして、奴隷契約も終了して、会場を後にしたんだけど、私達に声を掛ける人達がいた。
私を買う為に競っていた1人はお父様だったのね。
そして、私を譲って欲しいと懇願していたけど、それは駄目だったわ。
……これで、完全にヒイロとの繋がりが断ち切られるのね。
でも、ヒイロの居ない人生なんて無いも一緒かな。
それでも、私はまだ幸運かも。
最後にお父様やお母様に別れの挨拶が出来るのだから。
……ああ。ヒイロに私の初めてを捧げたかった。
宿屋の部屋に2人きりになった所で、私は教えられた通りに私を「買った」ご主人様にご挨拶をする。
「ご主人様。右腕の無い私を買ってくださり、ありがとうございます。何分、右腕が無い為に満足な働きは出来ないかもしれませんが誠心誠意を持ってご奉仕させて頂きます。よろしくお願いいたします。」
……アレ?
良く見れば、この銀仮面は「彼」だわ。
やっぱり無言だけど、どうするのかしら?
きゃあ!?
いきなり抱き締められたわ!
どうすれば良いの!
私、「夜の勉強」をしてないのよ!
「……ご主人様?」
「逢いたかったよ、ティア!」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




