……ちょっと待てよ!
この時の彼女はどんな心理状況なんだろうな?
「……落ち着いたか?」
「はい。」
「俺達は、学園都市アスタジアから東側の街道を進み最初の街ファスラに向かっている。」
「ありがとうございます。私の家はそのファスラに有るので助かりました。」
「家が有るという事は最低限、孤児ではないな?」
「はい。私の家はファスラで1番大きい商会ギールカですので、無事に街に帰れば大丈夫です。」
「それは良かったな。それじゃあ、人生の恩人に対して、そこそこの割り引きを期待させて貰うよ。そろそろ装備品を新調しようと考えていたからな。」
「任せてください。それ相応の対応しますので。
……あ!?」
「どうした?」
「自己紹介がまだでしたね。私の名前は、サハシーナ=ギールカです。因みに次女でシーナと呼んでください。」
「俺達は冒険者で、俺がゼロ、彼女がリン、そして、キサラだ。」
「リンです。」
「キサラよ。後、街が見えて来たわよ。」
「分かった。さて、少しでも印象を良くする為に着替えて貰うよ。先ずはコレを確かめてくれ。」
「コレは?」
「何か細工して有ったり、透けていないか確かめてくれ。」
「……はい。」
「どうだ?」
「確かに何らかの細工は有りませんでしたし、透けて見える生地では有りませんでした。それで、コレをどうするのですか?」
「これで目隠ししているから、その間に着替えて欲しい。」
「これ等は、盗賊のアジトに有った女性物の服等です。」
「それじゃあ、目隠しして背を向けるから、着替え終わったら教えてくれ。」
(何で見ないんだ。それぐらいの役得が有っても良いだろう?)
(冗談じゃない。見た結果、婿になれとか言われるのはゴメンだね。)
「着替え終わったよ。」
「リン、命令だ。シーナはきちんと着替えたのか?」
「いいえ。服装は痴女と言った方がしっくりくる格好です。」
「リンちゃん。何でバラすのよ。」
「ゼロ様のご命令ですので。」
「……貴方達、冒険者仲間じゃないの?」
「書類上は主人と奴隷だよ。ただ、俺達としては仲間として接しているのだが、リンは頭が固いからなぁ。」
「……はぁ。」
「それよりもきちんと着替えてくれ。」
「は~い。」
(……油断もクソも無いな。)
(だろ?)
「おふざけ無しできちんと着替えました。」
「リン、本当か?」
「はい。」
俺は目隠しを外してシーナの方に向くと、普通のお嬢さんの格好に為っていた。
「似合うでしょ?」
「あ、ああ。」
「まあ当然よね。殆どが私の服だしね。」
「そうだったのか。それで、何故、盗賊に捕まったんだ?」
「学園都市の友人に遊びに行った帰りに盗賊と遭遇したのよ。」
「なるほどな。」
「改めて言うわ。私を盗賊から救って頂いてありがとうございます。」
「ああ。無事で良かったな。」
シーナは貴族の令嬢程ではないが、優雅に頭を下げて感謝の言葉を言った。
「順番が来たよ。」
「何しに来た?」
「私達は冒険者よ。」
「冒険者カードを確認する。」
門番の1人が馬車の中を確かめに来た。
俺はギルドカードを見せ、リンは奴隷紋を見せた。
「そちらのお嬢さんは?」
「盗賊に捕まっていたのを保護した。」
「……そうか。」
「荷物の中に身分証みたいなのは無いか?」
「え、ちょっと待って。」
荷物を漁っていたシーナは、ほっとした表情を出した後、身分証を見せた。
「……!? 君はサハシーナ=ギールカか!?」
「……はい。」
「とりあえず、君達自身は問題無いが、ちょっと待ってて欲しい。君のお父さんを呼んでくるから。」
「は、はい。」
「それなら、待っている間に盗賊の討伐報酬の手続きをして欲しい。」
「分かった。」
俺達が盗賊の討伐報酬を貰う手続きが終わって懐が温かくなった所で、大人な男女と老執事1人とメイド1人が俺達というよりシーナを目指して必死に駆け寄って来た。
「「シーナ!」」
「お父さん! お母さん! それにデイヤにアーラ!」
「サハシーナお嬢様。」
「サハシーナお嬢様、良くご無事で……」
「貴方達が娘を、シーナを助けてくれたのか!」
「結果として、そうなっただけです。」
「いやいや、娘の恩人には変わり無いよ。」
「ねえ、夫。」
「なんだい?」
「此方の方々も家に招待しましょうよ。」
「そうだな。此所で感謝の言葉を述べて終わりでは、あまりに軽いし、商人の名折れだ。私達の顔を立てるという事で、どうだろうか?」
「お父さん!」
「どうした、シーナ?」
「先ずは自己紹介しないと!」
「これは失礼しました。この街で商人をやっているカヌアール=ギールカで、妻がカヤノーサ=ギールカです。」
「初めまして。シーナの母のカヤノーサ=ギールカです。」
「執事のデイヤです。」
「サハシーナお嬢様の侍女のアーラです。」
「Dランク冒険者のゼロです。」
「ゼロの奴隷、リンです。」
「Cランク冒険者のキサラよ。」
「娘の恩人に敬語を使われるのはなんとも……。皆さん、敬語は使わなくて良いですよ。」
「そうですわよ。」
「2つ良いか?」
「どうぞ。」
「商人なのに、何故、執事や侍女が?」
「私は元々が男爵家の三男だったのですが、商人になりたくて貴族籍を抜けたのです。その時、一緒に付いてきてくれたのが、デイヤにアーラの母親のトーラなのです。」
「そうですか。」
「所で私にも1つよろしいですか?」
「どうぞ。」
「何故、奴隷を?」
「家事全般が駄目だったので師匠から譲り受けたんです。」
「そうですか。」
「もう1つが、先程、ご夫人が言っていたが、既に誰か招待しているのか?」
「ええ。」
「差し支えなければ、お伺いしても?」
「確か、『翼の追求者』のシンティアとルシア……だったかな。」
「夫、名前は出さない様にって。」
「そうだった! まあ、大丈夫だろう。」
……ちょっと待てよ!
シンティアとルシアだって!?
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




