大聖女ティマ様!
真面目な聖女は大変だ。
俺達は大聖女ティマの居る神殿に向かう途中で、到着予定日が遅れた事をどう話すか相談しながら向かった。
結論は正直に話す事にした。
いや、それ以外に説明のしようが無いよな?
そんな訳で、神殿に到着したのだが、誰も居ない。
この神殿も普通なら参拝とかで人が溢れている筈なのに、神殿の周辺も神殿の中も誰も居ない。
「どういう事だ?」
「誰もいませんね。」
「今日は神殿は休みなのかしら?」
(ゼロ、また囲まれているぞ!)
(またか。)
(原因は遅刻だろうな。)
(……それしか無いよな。)
ライオスと念話で話していると、リンもキサラも気配を察知して構えた。
「止まれ!」
俺達を囲んでいるのは、18人で、奥の6人は軽装の戦士風だが、姿勢や構え等から、外見だけ整えた神官系で、可哀想な事に足が震えているし、顔色が悪い。
前衛に居る、残りは正規の神殿騎士だろうけど、完全武装をしている所から、遅刻が完全に悪い意味で勘違いを起こしているのは明白だな。
大聖女ティマside
ちょっと時間を戻して、ゼロ達が領主の隠れ家で達磨さんが転んだをしている頃の大聖女ティマ達は……
「どういう事でしょうか。手紙に書かれた人物が来ませんね。」
「大聖女ティマ様、やっと回復したのですから無理をしないでください。」
「分かっています。」
「それにしても遅いですね。」
「そうですね。多少の誤差が有ったとしても、もう到着しても可笑しくない筈です。」
「もう1日待ってみましょう。」
翌日
「彼らに何か有ったのでしょうか?」
「手紙には大聖女ティリス様が自ら選んだ馬車で向かっている筈ですので、そうそう馬車の故障とかは無い筈です。」
「そうですよね。あの方はどちらかと言えば外回りがお好きな方ですし。」
「大聖女ティマ様、もしかして……」
「そんな事はありません。手紙には彼らは強いと書いてあります!」
「しかし、悪魔共は悪知恵が働きます。」
「しかし……」
「大聖女ティマ様!」
「……分かりました。万が一に備えましょう。」
「はい!」
「ああ。こんな時に聖騎士団長モグル達が居れば……」
「既に居ない人に縋るのは止めなさい。」
「そうだぞ。しかも、あの者達は……」
「……皆さん。後悔は何時でも出来ます。今は万が一に備える時です。」
「「「はい!」」」
「フィリーにも頑張って貰わなければなりませんね。」
「はい。大聖女ティマ様、私も覚悟が出来ております。」
「私としてはフィリーを巻き込みたくはありませんでしたが、最悪の事態に備えて、私の知る最大の対悪魔用の聖術を覚えて貰います。」
「はい!」
「杞憂で終われば良いのですが……」
ゼロ達が領主館の食堂で盗賊の討伐報酬を貰っている頃
「予定していた到着日から5日が経ちました。」
「はい。行き違いを考慮して神官に見張りをお願いしたのですが、今日まで何も有りませんでした。」
「……そうですか。フィリーにも厳しくしましたが、短期間でよくぞ修得しましたね。こんな事態でなければ、盛大なお祝いをしたい程です。」
「大聖女ティマ様……」
「しかし、事態は予想よりも重いかもしれません。ですから、フィリーにも頼らなければならない事も考えられます。」
「私は覚悟が出来ております! それにこの聖術が有れば……」
「それでも、私達が力及ばない場合は、フィリーには此処を脱出して、大聖女ティリスの所に向かってください。」
「大聖女ティマ様!」
「良いですか。私達が命を落とそうとも、敵討ちなどせずに、大聖女ティリスの所に向かうのです。私達が止められないようなら、大聖女ティリスと、もう1人の大聖女へールしか対抗手段は無いのですから。」
「……はい。分かりました。」
「そして、フィリーには私が教えた聖術で最低限の大聖女としての資格を有する事が出来ました。神殿本部にも手紙を送りましたから、私に何か有れば、貴女が大聖女になれるでしょう。」
「大聖女ティマ様! 『私に何か有れば』なんて、仰らないでください!」
「そうですね。しかし、最悪の事態に備える必要はあります。」
「私がそんな事態にさせません!」
「ありがとう。でも、今日までの修練で身体も大分傷んでいます。この後はしっかり休養を取りなさい。」
「……はい。分かりました。……そうだ! 大聖女ティマ様! 何時か、私の大聖女の襲名式を特等席で見てくださいね!」
「ええ。その日は特等席でフィリーの襲名式を見ているわ。」
「大聖女ティマ様、泣かないでくださいね。」
「もう、早く休みなさい。」
「は~い。」
フィリーが立ち去った後
「万が一の時はお願いします。」
「……はい。」
「私が寝込んだ為に、悪魔の出現を察知出来ない状況だった事が悔やまれます。」
「あの時は仕方ないと思います。」
「それは違います。私達はあの者達を盲信したのが原因です。」
「しかし……」
「……あの時、彼はどんな気持ちだったのでしょうか?」
「それは……」
「私はあの事で罪に問おうとは思っていません。どんな理由が有ろうとも、罪無き者を道連れにして殺して良い訳ではありません!」
「はい。」
「例え、私が察知した悪魔が出現する場所であろうとも、彼自身はまだ若い新人冒険者なのですから。」
「はい。」
「しかし、どんな悲惨で憎悪を感じる場面だったのでしょうね。あんな血文字で消えないメッセージを残すなんて。
確か、『心無き者は、悪魔にすら劣る!』ですか。」
「……はい。」
そして、翌日、ゼロ達が神殿に向かっている頃
「そんな!?」
「大聖女ティマ様!」
「いいえ! まだ分かりません! 手紙には書いてありました。」
「しかし、最悪の事態に備えないといけません。」
「……そうですね。これ程の遅れで到着したのですから。」
「大聖女ティマ様。参拝者達を避難させてきます。」
「お願いします。」
「大聖女ティマ様……」
「フィリー。分かっていますね。」
「……はい。」
「私達の為を思うなら、最後は……」
「分かっています……」
「フィリー。もしかしたら、何らかの理由で到着が遅れただけかもしれません。」
「……大聖女ティマ様。」
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