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おい! 例のモノを!

本人達が完璧と思っても、第三者が見ると穴だらけ、なんて良くありますよね。

 キサラは、元が武器な為に、3徹や4徹は身体のスペックを落とす事なく出来る。

 くっ、それが出来れば、あの時、納期を落とさずに済んだのに…と、手から零れた過去は流すとして、キサラはその能力で見張り番は楽勝だったからお願いした訳だ。

 そして、夜営地にて、同じく一晩を過ごす筈だった何処かの商隊が、静まり返った夜にキサラに忍び寄り剣を突き付けた。


「動くな!」

「はい、罪確定よ。」

「何を言っ……がっ!」

「ぎゃっ!」

「ごっ!」

「お疲れ様、キサラ、リン。」

「ゼロの言った通りね。」

「流石はゼロ様。」


 盗賊行為をした商隊には、身体を拘束して金品等を没収して荷台の中を確かめると、……色々とツッコミ所が満載だな。

 そして、コイツらはアジトを持たない馬車強盗専門だったから、目的地の都市メルセダスで解決させる事を決めて、キサラにはちょっと面倒だろうが、オマケ付きでの見張りをお願いした。


 ……まあ、流れから分かる通り、俺達はこの商隊が怪しいと睨んでいた。

 俺は一応は辺境伯の息子だから、何度かは社会勉強でお手伝い兼見学でそういう場に居た事があるけど、コイツらからはそういう事をする者の空気が無かった。

 偽装をしているからこそ、逆に荒が目立つ事になった。

 ……何よりも、護衛が1人しか居ないじゃん。

 知識や経験を披露する前に、小学1年生の足し算並みに簡単で困ったよ。

 商人が外を護衛1人で移動するなんてあり得ないからな。

 そんな訳で、キサラに見張り番をやらせる事で誘ってみたら、ものの見事に釣れた訳だ。


 翌日


 きちんと見張り番をしてくれたキサラに感謝の言葉を言って、朝食を済ました後、出発して昼前に到着した。

 え!?

 馬車2日分の距離はどうしたって?

 初日の知識チートのスプリングと馬の身体強化魔法で、馬車1日分を走破していた。

 まあ、あの時はリンは一心不乱だったからなぁ。

 そんな訳で、門番に盗賊の事を伝えて、俺達の確認後に詰所に移動。

 先ずは、馬車強盗のコイツらは、荷台に国家間で定められた違法薬物を所持していた。

 更に、人身売買に関わる書類に、この都市メルセダスの領主で伯爵の次女(12才)の誘拐計画書まで有った。

 しかも、その計画書には、此処の領主の弟の名前が黒幕的な位置に有ったもんだから、秘密裏に動き、裏を押さえてお縄にしないといけないという訳で、領主が万が一とか用に準備をしていた隠れ家に俺達は軟禁となった。

 俺達が此処に来た理由を話せばより面倒になるのは分かっているから言えず、大人しく居た。

 しかし、暇だからと言って戦闘の鍛練を外でして目立つ事も出来ず、(もっぱ)ら、魔力制御や魔力操作等の地味な鍛練を続けていた。

 それでも余る時間を表向きの偽装用で、仕事が少ないメイドさん(雇い主は領主)達と、「達磨さんが転んだ」をしたり、入ってはいけない部屋には鍵を掛けて「かくれんぼ」をしたりと遊んだ。

 勿論、魔法やスキル等の使用は禁止だ。

 それと、うちのリンや向こうにも獣人族が2人居たから、本人達はやりたがっていたが、鬼役は辞退して貰った。


 さて、領主は証拠書類が有るから、後は、本人達にバレない様に裏を確認して、証拠と証人を押さえれば終わる為に、5日で全てが終了した。

 領主の弟は奴隷落ちして鉱山労働で、関係者は全員同じく奴隷落ち。

 例外は、10才未満は事情を知っている男爵家等で下働き見習いになったが、年が年だから、本人達の頑張り次第で明るい未来が待っているという。


 それから、領主が溺愛する次女の危機を事前に救ったという事で、今、俺達は領主の屋敷に招待され挨拶を交わした後、食堂で昼食を食べている。

 因みに領主は、ダガード=ワカン=メルセダスさん。

 領主の奥さんは、シェルア=ワカン=メルセダスさん。

 長男は、ダガードさんと友人で違う都市を領主として治めている所に行って次期領主として勉強中で、長女は貴族としては早いが既に結婚して他家に嫁いでいる。理由は向こうの両親、特に奥さんに溺愛されているからだ。

 次男は王立学園に通っていて不在。

 次女は、ミシュア=ワカン=メルセダスちゃん。


「いやー、ゼロ君のお陰で、大事にならなくて良かったよ。」

「いえ、偶然ですから。」

「謙遜しなくても良いのですよ、ゼロさん。」

「ゼロ様、ありがとうございます。」

「良かったね。」

「はい。」


 次女のミシュアちゃんは本来なら、王立学園に通っている年齢なのだが、事情があって自宅療養中だとか。


「それで、此処にはどんな用件で来たのだ?」

「仕事です。」

「うむ。その若さで既に馬車を持っている上で仕事、か。」

「あなた!」

「そうだな。娘の恩人に対して失礼だったな。」

「……いえ。それでは、豪華な食事をありがとうございます。到着予定を4日過ぎていますので、これで失礼したいと思います。」

「そうか。おい! 例のモノを!」

「はい。」


 暫く経つと、執事がトレイに小袋を乗せて来た。


「これは、盗賊討伐報酬と犯罪を取り締まる事が出来た事への報酬だ。勿論、娘を救ってくれた感謝もお礼として入っている。」

「ありがとうございます。」


 報酬は、合計で大金貨6枚と銀貨1枚。

 因みに、この銀貨1枚は次女のミシュアちゃんの全お小遣いらしい。

 正直、胸がほっこりした。

 そして、こういう時の報酬は受け取らないと、追加で色々と言ってくるし、面倒事になり易いから素直に受け取った。

 こうして、次の日には無事に領主館から脱出した俺達は、大聖女ティマが居る神殿に向かう。


「止まれ!」


暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。

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