申し訳ありません!
きちんとギルドマスターが専横しない様に出来ています。
何か、出来る大人な女性が緊張した趣きで俺達の前に出た。
「ギルドマスター。大変残念ですが、ギルドマスター権限を一時的に凍結させて貰います。」
「ナージャ君!」
「誰?」
俺は近くに居たギルド職員に聞いた。
「ナージャさんは、ギルドマスターを補佐するサブマスターです。」
「なるほど。」
向こうの話は続いていた。
「彼の発言は、無視する訳にはいきません。」
「ナージャ君。あんなのは……」
「調べれば分かる事です。」
「ぅあ……」
「さあ! 馬鹿げた『模擬戦』は、終了です。星屑の翼以外は撤収しなさい。」
あれ?
サブマスターのナージャさんは、先程よりも緊張してないか?
最初は、「ギルドマスターの不正」みたいな感じから責任感からの緊張かと思ったら、違うみたいだな。
そして、練武場には俺達とサブマスターのナージャさんだけになった。
「申し訳ありません!」
いきなりサブマスターのナージャさんが、土下座した!?
「大変ご不快な気分になられた事でしょう。しかし、どうか、お気持ちを鎮めて頂けないでしょうか。私の命1つで賄うのなら差し出しますので、お願いいたします!」
「ち、ちょっと待ってください。どういう事ですか?」
ナージャside
「あら、急に寒気が……」
私は、ドラドルーエの冒険者ギルドのサブマスターの地位に就いているわ。
昔は、ちょっとヤンチャしていたけど、今は落ち着いてギルド職員になれて、昔とは違う充足感を味わっているわ。
過去の経歴と、ギルド職員になってからの仕事から気付けばギルド内2位の地位であるサブマスターにまでなったわ。
最近、女性冒険者が居なくなる事が増えてきている。
それも綺麗な女性ばかり。
勿論、彼女達を拘束する権利はギルドには無いけど、男性冒険者が思っている以上に女性冒険者はギルドとの繋がりを大事にする。
だから、他の街とかに移動するにしても、挨拶も無しに居なくなるのは可笑しい。
そろそろ、調べてみた方が良いかもしれないわね。
それにしても、先程の寒気がどんどん強くなっていくわ。
……風邪かしら?
体調管理はきちんとしてきたつもりだったけど、年かしら?
でも、この寒気には覚えが有るわ。
以前も何度か有ったけど、何だったかしら……?
騒がしいわね。
また冒険者同士の諍いが始まったみたいね。
全く、良く飽きないわね。
……え!?
ギルドマスターが直接干渉した?
可笑しいわ?
奴隷の扱いに不満!?
どんな扱いだろうとも、他の者が口出す事じゃないわ。
え!?
練武場に行く?
……あれ?
先程までの強い寒気が消え……
ちょっと待って!
この寒気は、悪魔と対峙した時のモノだわ!
何故、忘れていたの!
寒気が消えたという事は、練武場に向かった者の中に悪魔が潜んでいるという事。
何とかしないと!
……そうだわ!
聖女ミケル様よ!
「ちょっと貴女。」
「はい。サブマスター。」
「悪いけど、今直ぐに神殿に行って、聖女ミケル様に必ず直接『紅い布を練武場に持って来て欲しい。』と伝えて。向こうにはそれで通じるから。」
「はい。」
「必ず直接伝えるのよ。」
「はい。行ってきます。」
これで、何とかなる筈よ。
……引退して18年以上経つから錆びているかもしれないわね。
それでも、コレは、私達の役目。
あの日から覚悟はしているわ。
とりあえず、練武場に行かないと分からないわ。
……何、アレは?
1人の少年に対して大人の冒険者達が襲い掛かっているわ。
ギルドマスターも居るから、多分、私闘にはなってないとは思うけど……
そして、近付けば近付く程、昔、味わった寒気が強くなっていくわ。
何よ、コレは!?
男爵?
ううん。
子爵、いえ!
伯爵級!?
違うわ!
それ以上?
……まさか、侯爵級!?
私は子爵級には1度しか遭遇していないから、実際の伯爵級や侯爵級なんて知らないわ!
でも、教本には爵位の判断方法が載っていたわ。
理由を聞いたら、昔からで分からないらしいけど。
それに照らし合わせれば、間違いなく侯爵級よ!
……待って!
侯爵級が暴れたら、こんな街くらい1時間も有れば消滅するわ。
冗談じゃないわ!
16歳になる娘は来週、結婚式が控えているのよ!
……ちょっと待って!
未だに街が無事という事は、まだ交渉の余地が有るかもしれないわ!
私の命1つくらいで、街を、娘の未来が守れるのなら、安いものだわ。
夫、レイリー、先に逝く私を許してね。
……愛しているわ。
「ギルドマスター。大変残念ですが、ギルドマスター権限を一時的に凍結させて貰います。」
「ナージャ君!」
ゼロside
何、この人!?
何故、サブマスターという立場の人がいきなり土下座した上に「命を差し出すから許してください。」とは、どういう事だ?
……さっぱりわからん。
「とりあえず、どういう事か説明して頂けますか?」
「……は、はい。今、こうして向かい合うだけで貴方様の魔力を強く感じます。この地に、どの様な理由で居られるかは分かりませんが、どうか、私の命でこの街を滅ぼすのを止めて頂けないでしょうか!」
プチパニックの俺にティアが話し掛けた。
「ねえ、ゼロ君。」
「何、ティア。」
「コレって、アレじゃないかな?」
「……ああ、アレか!」
俺がちょっと声を出した為に、サブマスターのナージャさんが、「びくっ!」となった。
「正直に答えてください。」
「なんなりと。」
「ナージャさん。貴女は以前、何をされていましたか?」
「ギルド職員になる前は、『聖女』をしておりました。」
「やっぱり。」×俺達
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