閑話~関わった者達。
彼女達の視点ってやつです。
シンティアside
私は、公爵家のレギンお父様の三女として生を受けたわ。
既にお姉様が2人居たお陰か、お勉強や作法は厳しくはあったけど、その時間以外は自由だったし、甘やかされていたと思う。
勿論、お姉様達との仲は良いし、お父様やお母様との仲も良いわ。
そんな中、7才になった時に我が家に訪れに来た父子がいて、隣りの領地で辺境伯の「ギリス=フォン=ウィンザード」様と三男の「ヒイロ=フォン=ウィンザード」様、後の私の婚約者で一目惚れした人。
お母様はこの時の私の態度や反応を見て気付いたみたいで、後で私に気持ちの確認に来て、私は真っ赤になりながら頷いていた事を覚えている。
その後、お父様は向こうと話し合って、10才の時に正式にヒイロ様と婚約者になれたの。
この時のヒイロ様の気持ちが気になって、チラチラ見てしまったけど、ヒイロ様は気分を害していなくて良かったと思ったわ。
ヒイロ様と婚約者になれて嬉しいのだけど、1つだけ困った事があって、事ある毎に、凄く恥ずかしい言葉を凄く素敵な笑顔で言ってくるのよね。
私はその度に、心臓が破裂するのかと思ったわ。
お父様にその事を話すと、「あの年で、天然の『タラシ』か!」と言っていたけど、当時は意味が分からなかったけど、今なら分かるけど、確かにヒイロ様は「タラシ」よね。
特に10才の時の披露宴は本当に恥ずかしかったわ。
そして、11才の時に、私は人生で最初の、そして、最後の絶望を味わう事に。
私の婚約者のヒイロ様が伝染病に罹り亡くなった……
ヒイロ様は伝染病の拡大を防ぐ為に私達が駆け付けた時には既に荼毘に伏していてヒイロ様不在の葬式をあげる事になって、私はあの時に私が人生で流す筈だった涙を全て流したと思う。
葬式の後、ヒイロ様の専属侍女になる予定だったルシアが本人の希望で私の正式な侍女になった。
元々の私の侍女は私の気持ちを察して退いてくれて、ルシアは私の元々の侍女の厳しい指導を受けて半年程で公爵家に仕える侍女としての基準に達して、平行して王立学園に通える学力を身に付けて貰ったわ。
私は、ヒイロ様以外に嫁ぐ気になれなかったから、私の下に来た縁談は全て断ったし、お父様にも断る様にお願いしたわ。
数ヶ月後に、王立学園に通う様になると、今度は直接、私に縁談や交際を持ち込み様になり、更に私の侍女ルシアを利用する様になって、私は覚悟を決めたわ。
私が愛するのはヒイロ様だけ。
だから、私は貴族でいる限り誰かに嫁がなければならないのなら、私は貴族である事を放棄するわ!
だから、私は学園で学ぶべき事を7ヶ月で学び、同時にお父様に私の思いを伝えて貴族である事を放棄する為の手続きを取って貰ったわ。
ルシアも同じ思いだったから、私と一緒に学園を卒業して、私とルシアは冒険者になった。
パーティー名は「翼の追求者」に決めた。
ヒイロ様の「ヒイロ」には古い言葉で「翼」という意味が有るから、この名前にしたら、ルシアも賛同してくれた。
冒険者になっても私に寄って来る男性は後を絶たなかったから、次第にどうでも良い男性には冷たく厳しく接する様になったわ。
そして、私がDランクになって暫く経ったある日に、何故か気になる少年を見かけた。
その少年は、奴隷だけど身なりの良い可愛い獣人族の女の子と、凄く綺麗な冒険者の女性を連れていたわ。
私はヒイロ様以外の男性はどうでも良いと思っていたのに、何故か気になっていた。
あの少年は誰でしょうか。
ルシアside
私は物心付いた時にはお母さんと同じ牢屋に入っていて、取れない首輪と鎖に繋がれていた。
そんなある日、馬車にお母さんと一緒に乗せられて移動すると、途中で盗賊達に囲まれて、奴隷商人と護衛の冒険者と数人の同じ奴隷が殺されて、もう駄目だと思ったら、私と同じくらいの男の子が盗賊を倒して私達を助けてくれた。
だから、私はこの男の子「ヒイロ」様に仕える事にした。
でも、今思えば、一目惚れで離れたく無いだけだったと思う。
だから、ヒイロ様が伝染病で亡くなった時は悲しかったし、同じ想いを持つシンティアお嬢様を支えなければと思って、ヒイロ様のお父様である旦那様にお願いして、シンティアお嬢様の侍女にして欲しいとお願いした。
私の願いは叶えられシンティアお嬢様の侍女になり、同じ学園にも通う事になったし、色々と有ったけど、シンティアお嬢様と一緒に冒険者にもなった。
ヒイロ様の侍女見習いの時から修得に頑張った回復魔法で冒険者として頑張っている。
そして、シンティアお嬢様が気になった少年は実は私も気になったけど、ヒイロ様が居ない以上は私も同じくどうでも良かった。
そう思っているのに、私は何故か気にしていた。
リンside
私は、とある森の中で生活する猫の獣人族の者です。
お父様がこの一族を束ねる長で私は唯一の仔として生まれ育てられました。
しかし、ある日に何処からか来た神殿騎士に攻められ、私以外の家族は殺され、生き残った一族はごく僅かしか居なかった。
あの悪夢の日から、私達は奴隷としての日々が始まり、両親から贈られた私の名前を棄てられて、奴隷としての教育、いえ、調教が始まったのです。
私達は生き残る為に必死に奴隷である事を甘受してきました。
そんな絶望の中を生きていると、私達は何処かに連れられて、神殿騎士の命令のままに死んでいく事になったのです。
私の順番が来た時、私は「死」という自由が手に入ると思ってしまい、笑顔で神殿騎士の命令に従いました。
まさか、私の運命が此処から変わるとは思ってもいませんでしたが。
私の新しいご主人様は名を「ゼロ」と言うそうです。
私の名が無いと不便だと言われて、両親から贈られた「リンステラ」から「リン」という名を頂きました。
私はこの時から私の人生全てをゼロ様に捧げる事を誓いました。
その後も大変でした。
奴隷の私に服や日用品等を買い、食事は同じテーブルに着き同じ食事を強要されて、宿屋もゼロ様と同じ部屋で取る様に言われたのです。
更には、「命令」が来ない限りはゼロ様の仲間として接する様にと言われたのです。
正直、信じられませんが、それがゼロ様の願いなら叶えなければなりません。
私はこれからも、いえ、生涯賭けてゼロ様に仕えるのですから。
キサラside
気が付けば、アタイは外見が人族になっていて、周りには誰も居なかった。
しかも、アタイが鬼神族の武器「鬼神刀」である事は分かっているのに、鬼神族の誰の武器か思い出せないでいたわ。
まあ、思い出せない以上は仕方無いと諦めて、鬼神族の鬼神刀としての本能のままに、強者と戦い続けた。
ある日に「冒険者」という存在を知り、動き易いという理由から冒険者になり、色々な所に行っては強者に戦いを挑む日々だったわ。
そんな中、桁違いの強さを感じて行ってみると、少年と猫の獣人族の女の子が居た。
私は邪魔な盗賊を片付けて勝負を挑むと、少年に怒られた。
生きていく為に必要な金を、盗賊を討伐する事で手に入れる予定を私が全部潰した為だと言う。
目的の為と謝罪のつもりで、私に勝ったら私の全てを捧げると言った。
まあ、負けると思って無かったけどね。
……でも、手加減された上で負けちゃったよ。
だから、私は私の全てを捧げてゼロの「所有物」になった。
そして、先にゼロの所有物になっていたリンに自分の立場を教えて頂いた。
あの時は本当ーーーに、怖かったよ~。
あれ以来、ゼロをからかう事は有っても冗談でも馬鹿にする事は止めた。
誰だって命は惜しいと思うよね?
しかし、ゼロは私を武器として振るう日は来るのかなぁ。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
次話で、タイトルの一部回収があります。




