欲望だけでは無理ね。
ティア達を囲んだ女性冒険者達は、ティアの説明に多分に惚気も混じっていた為、砂糖を吐いていました。
ティアside
「あのね……」
「何? やっぱり、従わせられているの?」
「ううん。違うの。」
私は女性冒険者達に、私達の現状を差し支えない程度に話した。
「つまり、貴女は彼の横に立ちたいから頑張っているのね。」
「そして、奴隷である事も無理矢理等ではなく、貴女自身が納得しているのね。」
「はい。」
「ティアの言っている事は本当よ。」
キサラが後押しの言葉を言ってくれた。
「貴女の言葉を信じるわ。」
「それに、良く見たら、肌は綺麗だし……」
「装備品も幾らかは分からないけど、高そうだし……」
「髪も艶々のサラサラ……」
「この獣人族の仔も同じよ。」
「欲望だけでは無理ね。」
「そうね。大切にされているわね。」
そうなのよね。
私達、毎日のお風呂で家の時と遜色ない高い石鹸を使っているし、この装備品は白金貨が必要なのよね。
……何枚必要なのかは、怖くて言えないけどね!
「ねぇ、今日だけで良いから一緒にダンジョンに潜らない?」
「良いわね。」
「私は賛成よ。」
「私も。」
「いきなりだけど、どうかしら?」
「キサラ……」
「貴女が決めなさい。」
「リン……」
「私はティアの考えに同意します。」
「それなら、お願いしても良いかしら?」
「決まりね。」
こうして、パーティーにしては大所帯で、ダンジョン攻略が始まったわ。
ゼロside
「あのお店は女生徒に人気が高いんです。」
嫌な記憶を上書きする為に、甘味処に行く事になったけど、どうせならと、女生徒に人気の店に行く事になった。
到着して中に入ると確かに、彼女達と同じ服装の女の子達がちらほらと居た。
席に着き、言われるがままお薦めを注文して食べてみると、美味しかった。
今度はティアや皆と来たいな。
「どうですか?」
「確かに美味しいな。」
「そうでしょう。」
「……あのぅ、私達は寄り道だったんですけど、貴方は……」
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺は冒険者のゼロだ。」
「私は、カーラです。」
「私は、ナーサです。」
「それで、ゼロ様は……」
「ゼロで良いよ。」
「それで、ゼロは何故、あの場所に?」
「今、パーティーメンバーの1人が個人依頼を受けていて、パーティーとして動けないから、とある鍛冶師に教えを受けている。その使いの帰りで、君達と遭遇した訳だ。」
「そうだったのですか。」
「それなら、私達のお願いを聞いて欲しいです。」
「カーラ、それは……」
「聞いてみるだけだから。」
「何だ? 聞くだけなら聞くよ。」
「助かったわ。実は……」
話の内容は、学園の授業の一環でモンスターの討伐があって、装備品を買いに行く途中らしい。
しかも、行き先が俺がお世話になっている鍛冶屋だった。
話を聞いて、俺が案内する事にした。
「いらっしゃいませ……って、ゼロか。」
「リーマ、お客様だよ。」
「あら。いらっしゃい。何をお買い求めですか?」
女生徒達は、リーマに任せて、俺は工房に移動した。
「おう、遅かったな。」
「人助けをして、お客様2名を連れて来た。」
「……聞こえていたが、女か。つくづくタラシだな。」
「何度も言うが、偶然だ。」
そう、こういうのが今回が初めてでは無かったりする。
そして、初めて来た時に、テンプレから外れず、最初は追い出されたが、その直後に鍛冶屋の主である師匠の娘リーマを暴漢の様な冒険者から助けたら、デレた。
そして、めでたく弟子入りが出来た。
話していると、リーマから呼び出しを食らった。
「ゼロ。お客様が話が有るって。」
「分かった。」
身嗜みを整え、工房から店に出る。
「話って、何だ?」
「実は……」
話の内容が、先程聞いた討伐に冒険者1名を雇って同行させても良いらしい。
ただし、冒険者ランク「D」まで。
これは、あくまでも授業の一環だから、高ランクは雇ってはいけないらしい。
そして、同行する人数も1名にしたのも同じ理由であり、それに、雇われた冒険者も1人で、しかも足手まといを連れては無理はしないだろうとの事だ。
まあ、確かにそうだ。
因みにこの場に居ないが、一緒に行く友人がもう2人居て、その2人は座学の補習らしい。
座学の補習中が前衛で、俺の前に居る2人が後衛だ。
後衛の2人が何故、武器等の装備品を買いに来たかと言うと、以前まで使っていた装備品は壊れたらしいが、本物の職人から見れば、ハリボテの安物だったみたいで、それなら今度は本物を買おうと教えて貰った鍛冶屋が此処という訳だ。
そもそも、何故、貴族の令息令嬢が、ダンジョンが内包する街の学園に通っているかと言うと、何らかの理由で文官や騎士になれない者が、通っているらしい。
そういった学園は総じて授業料や費用が高いしな。
中には、貴族の生まれなのに、進んで選んだ者もいるらしいが。
そんな訳で、俺の前に居る2人は、此処に居る訳だ。
女生徒が居るのも、男爵や子爵の三女や四女ともなると、経済的に厳しいらしい。
「それで、私達の護衛を引き受けて頂けないでしょうか?」
「何時だ?」
「3日後です。」
「結構、急だな。」
「はい。依頼内容と依頼料が合わないと断り続けられて……」
それはそうだろうな。
冒険者ランク「D」なんて、一人前に成り立てだし、その上、1人で護衛なんて無茶な相談だ。
まあ、引き受けるけどな。
「師匠ー、良いかー!」
「そんな大声を出さんでも聞こえるわ! 構わんぞ。」
「「それじゃあ……」」
「その依頼、引き受けた。」
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