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降~ろ~し~て~!

大聖女ティマの悪魔感知は、当然、範囲に限界があります。


 ……あははははは。

 まさか、洞窟から合計30匹も出てくるとは思わなかった。


「ティア~。ルシア~。リン~。生きてる~?」

「ゼロ君。私は元気よ……ウプ。」

「ゼロ兄さん。生きてまふ……」

「ゼロ様。私、頑張りました。ナデナデを請求します。」

「分かった。」

「ふにゃぁ……」


 11分後、白目向いてピクピクしているリンが居た。


「ゼロ、アタイには~?」

「キサラなら、大丈夫だろ?」

「そうだけど~。」

「それじゃあ、まだ元気なキサラにティア達の護衛を頼むな。」

「何処かに行くの?」

「流石に、劣等悪魔(レッサーデーモン)が30匹も自然に集まる訳ないからな。多分、洞窟に黒幕が居るだろう。」

「分かったわ。」

「じゃあ、行ってくるな。」


 こういう時は、黒幕は最深部がテンプレだ!


 ……本当に居たよ。


「そこに居るのは分かっている。出て来い!」

「バレていたか。」

「当たり前だ。あれ程派手に手下共を潰す音を出しておれば、嫌でも分かるわ!」

「それもそうか。で、オタク誰?」

「そうだな。此処まで来た褒美で教えてやろう。」

「勿体ぶらずに直ぐに禿げ、じゃなかった、吐け!」

「……良いだろう。それ程激痛の中で死にたいのなら教えてやる! 我が名は『ドーゲザ』だ! 貴様らの言う『子爵級』だ!」

「名付け親に嫌われていたのか?」

「どういう事だ?」

「どういう事だ、って、言われても、……なあ。」

「貴様ーーー! ……!? ふん。そうか。我を怒らせて隙を狙っているな。」

「いいや。単にお前を下に見てるだけだ。それに、俺は怒っているんだよ。こんな夜中に進攻しやがって、ティアが寝不足で健康を害したらどうするつもりだ!」

「はあ!?」

「だから、死ね。」


 俺は再生するのも構わずに何度も両目を切ったり貫いたり、耳を引きちぎったり、肘や膝を逆に曲がる様に殴ったり蹴ったり、潰す為に股の間を蹴り上げたり、鼻の下を拳の中指を尖らせて突いたり、足刀で喉を潰したり。

 兎に角、ねちっこくダメージを与えた後に殺した。

 ティアの睡眠妨害の報いを受けさせて断罪は完了した。


 さて、ティア達が待っているから戻ろう。

 ティア達の下に戻ってみると、盗賊らしき首無し遺体が8つ有った。


「ゼロ。言う通りに首狩りで片付けたよ。」

「……おう。ご苦労様。」


 まあ、それなりに派手に魔法とかも使ったから、確かめる意味で来たんだろう。

 そしたら、美少女が数人が疲労している。

 立っているのは、美女のキサラだけで、「ヒャッハー! 女だー!」って感じで襲ったらこうなりましたって所だろうな。


 俺とキサラで剥ぎ取りを済んだ後、穴掘って落として焼却。

 ティア達に「動けなくてごめんなさい。」と言われたが、俺は勿論、「気にするな。」と言った。

 俺がティアを「お姫様抱っこ」で持ち上げ、ルシアはキサラに背負られ、獣人族だから回復の早いリンは自力で歩くが一応、回復魔法を掛けとく。


 そして、疲労しているから抵抗出来ないティアは、真っ赤な顔をして可愛い抗議を上げる。


「あ、あのね。こういう場合はルシアみたいに背負うものだと思うよ。」

「気にするな。」

「でも、大変でしょう?」

「全く、そう思ってないぞ。」

「それに、お、重たいでしょう?」

「全く、そう思ってないぞ。」

「兎に角。ゼロ君、背負ってよ~。」

「あははは。ダ、メ。」

「降~ろ~し~て~!」

「あははははは。」


 真っ赤な顔をしているジタバタするティアが可愛くて村に到着するまで、お姫様抱っこを続けた。

 ……至福の時間だった。

 そんな思いをしながら、ちゃっかり水面下では、ティアの体調を癒す魔法をバレない様に掛け続けている。


 村に到着してみると、長老と欠伸をしているファラと聖女御一行が待っていた。


「お帰りなさい。かなり長いみたいですが?」

「ああ。ネズミが溢れていたから、駆除に時間が掛かってしまったんだ。心配させたなら謝るよ。」

「……まあ、良いです。そのネズミ駆除は本来は私達がすべき事です。代わりにやって頂いたのですから、感謝しかありません。」

「バレました。」

「当然です。ティアさん達の誤魔化し方に、ティアさんとルシアさんが動けない程の疲労している事から察しました。それで何匹でしたか?」

「ネズミが30匹と、子爵級が1匹。」

「し、子爵級ですか!?」

「ああ。きっちり駆除したから。」


 まあ、驚くのは当然か。

 男爵でも大変なのに、その上の子爵級だもんな。

 子爵級になると、聖女に因っては命懸けになる場合があるからな。


「……凄いわ。劣等悪魔(レッサーデーモン)を30匹をその人数で討伐するだけでも前代未聞と言えるのに、更に……」

「ちょっと聖女ミケル様!」

「あっ!?」

「聖女ミケル様。ゼロ殿達は何をしたのでしょうか?」

「……はあ。長老にファラ……さんだったかしら。」

「はい。」

「こういう事はしたく無かったのですが、使わなければなりません。」

「……何を……」

「聖女ミケルの名に於いて命じます。先程の会話は誰にも喋ってはいけません。よろしいですね?」

「「はい!」」


 聖女は基本的には、「善人」、「真面目」、「純粋」だから、今みたいな、自分達が使う事を許されていても、使うのは嫌なんだろうなぁ、「権力」を。



「申し訳ありません。」

「良いですよ。わざとでは無いのでしょう。」

「勿論です。」

「長老に、ファラ。待っててくれてありがとう。」

「長老として当然ですじゃ。」

「当然よ。」

「それじゃあ、もう遅いですし、報告とかは明日という事で。」


 長老とファラが帰った後で、聖女ミケルが俺に対して頭を下げた。


「申し訳ありませんでした。」

「良いよ。そう何度も謝らなくても。」

「それでもです。」

「それなら、『手紙』が欲しいな。」

「私としては、最初から書くつもりでしたから、お詫びになりませんよ。」

「う~ん。でも、人が楽に生きる為に必要な事は大抵揃っているしなぁ。」

「でも、それだと私の気が……」

「……それなら、3日後に何か予定が有る?」

「特には無いです。」

「それじゃあ、食事や食べる物に何か制限が有る?」

「特には無いですが、何を?」

「今回の討伐達成会をしよう。」

「……分かりました。何時頃にしますか?」

「ちょっと合同で鍛練してからにしたいから、午後1時頃はどうかな?」

「別に問題無いです。」

「それじゃあ、決まりだ。」

「そうね。早く眠り姫をベッドに運ばないとね。」


 そうなのだ。

 結局、ずっとティアはお姫様抱っこしたままだ。

 そして、静かに寝息を立てている。

 ルシアも寝ているし、リンも頑張っているが、頭がユラユラしている。

 因みに、ティアの寝顔は俺以外は近付いた聖女ミケルにしか見せていない。

 こうして、突然の夜間戦闘は終わった。


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