八十一話 出発進行
「出るか出ないかはさておいて、私は絶対に行きたいです!」
「オレもオレも!」
このコンビは無邪気だなぁ。子供か君たちは。
……しかし大会とは、俄然やる気が出ない。ゴリゴリの戦士とかが群がってきそうで、自分が場違いになりそう。
そもそも、死者ありが当然の大会なんぞ誰が好き好んで出場するものか。
「じゃ、満場一致という事で準備しよっか!」
店主さん、保育士みたいな素振りで大会に向けての準備……の為の指揮をとる。今も、皆のお母さん的存在となっている。
俺もアイシャも賛同してないから満場一致ではないんだが。
俺はともかく、アイシャの気が乗らないのには一つの理由が。
それは大会についての不満ではない。
道のりがとにかく遠い。呆れる程遠い、という事他ならない。
なんでも、交通手段としてキャラバンが出ているらしいのだが、快調に進んでも三日三晩かかるんだと。
お前さっきまで行く気満々だっただろ。
いい年したヤツによる幼児期並みの気持ちの起伏に、ちょっとイライラする。
店主さんは、長い間店を開けるわけにはいかないとのことでお留守番。
お留守番であり、自分が闘技大会を観戦するわけでもないのに、何故か笑みが絶えない。何か企んでいるのだろうか。
結局、二人のか細い不満だけでは、彼らロンゴとセリスから押し寄せる熱意が留まることはなく。
あれよあれよと流されるがままに、荷物が整ってしまった。
力強く脚を踏み込み、時折嘶く寸胴の怪物。
揺れる箱の窓からから顔を出せば満天の青空。
前には後輩、左腕には寝落ちの銀髪に寄り掛かられ、左前には乗り物酔いのオーガ。
こちらの事情、気分を介せず世間話やプライベートに脚を突っ込む御者。
前後には、同じような乗り物が隊列になっている。
気がついたら私は、ジトラピア行きのキャラバンに乗っていた。




