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これから始まる英雄譚! ~俺らの異常な冒険者スタイル~  作者: 丸々。
第四章 [其れは生命、大地の化身]
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六十六話 第一波迎撃用意

報告を忘れていました。

暫く諸事情により二日に一回のペースで投稿します。

─エルメス城城壁─


「……おっ、誰かこっちに向かってくるぞ?」

「確か雑用係が何かぼやいてただろ、『キャクチョウがうんたらかんたら』って。ソイツらが帰ってきたんだろ。偵察役でも引き受けたんじゃねぇの?」

「んなわけあるか、そしたら観測船の存在意義が薄れるだろうが。どうせ集会所側の入り用だろ? お偉い様の考えなんか、考えても考えるだけ無駄だな」

「今の文、ちょっと頭が混乱するな。何て言った?」

「余計なことに首を突っ込まなくていいからな」


 右目を瞑って単眼鏡を覗く男が、ずっと奥に何かを見つけた。裸眼だったら認識なんて到底出来ない遠距離に、見慣れた怪鳥と不特定の騎手がいる。


 この男が盗み聞きした会話が正しければ、『キャクチョウに乗った四人と、引き回された一人』の計五人が遠征した筈だが……帰還したのは二名のみ。


 空気を穿つくろがねが装填された、黒光りするご立派な大砲。肉壁を断つほこが装填された、木材と金具で造られたバリスタ。

 不備無し、不良無し。兵器が完備され、やや浮かれた雰囲気の冒険者諸君。


 親しい友人間や初対面の同業者との交流を深め、恐れるべき『大地』そっちのけで和気藹々《わきあいあい》とまったり時間。


 興味本位で単眼鏡を寄こせと強請ねだった男に、円筒状の器具をぶっきら棒に渡す。受け取った男も同じように右目を瞑って覗く。


「おー、アレか。……なあ、キャクチョウに乗ってる片方ってアイシャじゃね? 赤髪なんて少数派だから、アイツ目立つな」

「すぐ判別出来るもんな。お陰様でヤツを避けて通れるんだけども……アイシャ(仮)の隣にいる人、何か訴えてね? 全然声が届いてないんだが」

「門を開けろ~とか、そんな感じ……じゃねぇな。俺には分かる、あれは警告だな」

「根拠はどこにあるん? がせ流さない確証あんの? 嘘吐いたらそれなりの報復を受けてもらうが」

「ごめんやっぱ分からねぇわ。……ん? んん~?」

「どした、拡大して胸元でも見てんのか? 破廉恥め」

「は? 死ねよバカ。いやなんか、目に狂いがなけりゃ大量の怪物が向かってくるんだが───」


「皆様! 怪物の軍勢が押し寄せてきます!」

「聞こえただろう、昼休みは終わりだ! 予定は狂ったが、怪物どもを迎撃する。魔法班は配置につき魔法の発動準備、バリスタ及び大砲班は指示に備えろ!」


 観測船から時間差で通達された、狂瀾怒涛の大行列。

 現場は急変、予期せぬ来客に応急処置を促す。各自、作戦通りに持ち場について、荒波に抗う意志を示した。




 大慌てで忙しい上部に次いで、流離さすらいの放浪者を迎え入れるために城門を開く警備員。お勤めだとしても、身分確認なんてする暇は有るわけないので、風を巻き起こして走り抜ける二羽の来場を許した。

 残像が門を潜った直後に、落とし格子を急降下させた。実に扱いが荒い門番である。


「君たち……は……」


 警備員が呼び止めようとするも、二つの影は速度を保ったまま石畳を駆け、大通りを凱旋していった。



クエエエエッ

「で、こっからどうすんだ? 秘策があるって話だけど、おさらばドロンでもするの?」

「ちがわい! 私の店で、埃を被った非売品を取りに行く!」


 もっと具体的に教えて欲しいんだが。そんな遠回しに言わなくてもいいじゃん。


 城門から店主さんの雑貨屋まで徒歩十数分の距離を、一分経たずで完走し、脇道へ身を潜める。

 その裏路地の一角には、店主さんと四人が巡り会った終点が。どんな佳境でも、寂寥せきりょうたる店構えは恒久である。


「ほら、私の部屋に入ってアイシャさんも手伝って! 結構重いから」

「へいへい、お邪魔しますよ」


 私が何度か潜入を試みて、その全てが未遂に終わった店主さんのマイルームにこんな易々と招待されるとは思わなかった。日頃は頑なに断固拒否するくせに。


 朝起きれば必ず映る店内の奥、店主さんの部屋に例の非売品があるらしい。


 私が禁足地を拝んでいると、森人エルフは床板をパカッと開け、金目の物が管理されていそうな蝦蟇口がまぐちの鞄を引っ張り出した。


 お? なんかいかにも(・・・・)なアイテムだな……。床下に色々溜め込んでそうだから、今度漁ってみるか。臍繰へそくり金とかありそうだし。


 邪念が過る私を他所に、銀色に反射する機器のパーツ? を点検する店主さん。それぞれの部品を接合して組み立てる……武器かコレ? コンパクトサイズの大砲みたいだな。コンパクトと言っても、人の背丈程はある。


 握り拳より大きな銃口。それに見合った、ゴツくて太い銃身。初めて見た形状だが、何処がどう繋がるのかは予想が出来る。

 加えて、砲弾のような鉛球が六発分。砲丸投げとかで使えそう。


 これは……面白そうじゃん。


「コイツで蹴散らすのか。まあ取り敢えず、戦うなら早くしろ。悠長に愛でてる時間は無いだろ?」

「うんうん、部品に欠損無し! それじゃ、年季が入った不人気な逸品の晴れ舞台へ! はい、そっち持って!」

「りょーかい……うわ重っ」


 こんな楽しそうな玩具を見せられると、女の私であろうとワクワク感が止まらない。


「なあなあ、これってキャクチョウに乗せれる?」

「…………分割すればいける!」


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