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これから始まる英雄譚! ~俺らの異常な冒険者スタイル~  作者: 丸々。
第三章 [自然の摂理は波瀾万丈]
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三十九話 落とし物


─ロイン一行(アルメス城城下町)─

 八人が転移されたのは、城門から少し離れた建物の影。壮絶な光が壁を反射させたが、誰も彼も見向きもしない。飛んで火に入るカニを捕らえる事で頭がいっぱいなのだ。


「ではわたくしはこれで。皆さん、存分に荒稼ぎしてくださいね」


 今度は一人だけ魔方陣に乗り、修道女は姿をくらました。


「……はっ!? カニは!?」


 このタイミングで、眠り姫が深い昏睡状態から目覚める。危険は無くなった事を説明すると、ロンゴの肩でバタバタ暴れ、自分を降ろすようにせがんだ。もののついでにアイシャも着地。

 セリフはぐったりとし、今にも倒れてしまいそうなほど千鳥足になり、誰の家か分からぬ壁に寄りかかる。


 ホヒュー……ホヒュー……と、弱々しく深呼吸を試みた。


 今はもう、休んでいいんだぞ……。


『皆さん! 巨大プラムカシムの絶命が確認されました! 引き続き、プラムカシム討伐の開催します!』

カニだああぁぁぁあああ! かかれえぇええ! 宝石を取れえええぇぇえ!!


 受付嬢さんの心境は、緊迫から安堵へと移り変わり、元気溌剌げんきはつらつに冒険者たちの士気を底上げした。

 城壁のバリスタや大砲を構えていた人々は、階段を下って草原に飛び出し、中には城壁から飛び降りてショートカットする猛者もいる。


 血に飢えた百獣は、たった一つのいななきによって草原に召喚された。


「出遅れる! 二人とも! 俺たちも行くぞ!」

「はいよー!」「おう!」


 デクトもその仲間も、百獣の道へ走って行った。

これはまるで魑魅魍魎ちみもうりょう。生きた人間による新手の百鬼夜行である。


「私らも行くぞ! ついてこいオーガ!」

「やっほうい!」

「セリフの心配をしろよお前ら!」


 すたこらさっさと門を抜け、バカ二人も夜行組へ退化した。鬼人オーガはむしろ生業といっても信じてしまう。


「……セリフ、大丈夫か?」

「楽しい祭りだと……聞いたのに……カニが……あんなに……しばらく……ほっといて下さい……」


 このお嬢様は、後でねぎらってあげよう。それがいい。


「じゃ、俺も行ってくるからな……ゆっくり休憩を───」

「……あの、背中さすって下さい……」


 こんな痛々しいセリフは見ていられない。彼女を安心させるためにも、ここは紳士として快く引き受けよう。


「……お、おえー……」


 一歩進んで二歩下がる。まだ出てはいないが、いくら美少女だからといって吐瀉物は流石に許容範囲外だ。

 大きく回って隣へ。丸くなった小さな背中をさする。


 昨日は昼近くから寝て深夜に起こされ、出発前にご飯も食わずで生活習慣が激しく乱れたからか、俺も気分が優れない。


 宝石は……まぁいっか。夜間に呆れるほど採ってきたし。


 無意識に、余った手を腰に当てる。


「…………えっ?」


 有るはずの物が無い。貰ったときからずっと固定していた物が。店主さんから貰った、あの筒が。あの国宝・・が。


亜空筒あくうとうがねぇええええええ!!??」



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