三十四話 再会
「……あれ……? おい、誰かいるぞ?」
よく目を凝らして観察すると、なんか薄らと動く影が。形からして恐らく人間、それも三人いる。
一人は平凡な体格、一人は筋肉質な体格、一人は小柄でスリムな体格。
天の河の川原に身を潜め、せっせと河を削っていく三人。
「まさか、私たちと同じ作戦の方がいたとは……負けてられませんね。早く採りましょう」
俺たちも彼ら? 彼女ら? に後れを取らずに参入。バラバラになって採掘を開始する。
……俺はちょっと顔を覗きたくなって、わざと謎の三人へ近づき、宝石の反射光を利用して三人の顔を盗み見る。
ギリギリ見えない。
すると三人の内一番こちら側、スリムな人影が、俺の視線を感じたのかこちらを振り向く。
「…………ん? …………あっ!?」
「どした?」「あ?」
どこか覚えのある女性の声。仲間が叫んだので、残り二人も首を回す。
「ロ、ロイン!? 何でここにいるの!?」
慌てる女性は、俺のことを知っているらしい。ていうか、俺もこの三人を知ってるぞ。
「うわマジかよ! ってことはまさか取り巻きも……!?」
「ああ、悪かったな。アイシャもいるんだわ」
リーダー格の男が落胆する。コイツらにとっての出会いたくないパーティーランキングナンバーワンは、は間違いなく俺らだろうな。
困り果てた三人は引きつった顔をしながらも、発掘活動に専念し始めた。
「なんで闇鍋パーティーがいるんです……」
「そこ、うっせぇぞ」
「……頼むから、今回だけは邪魔しないでくれよ?」
名も知らぬリーダー格の男は、本気で懇願している。
「邪魔なんてした覚えないけどなー?」
「うわ出た赤髪! やっぱりいるじゃねぇよ畜生! とにかくあっちに行ってくれ!」
最悪な置き土産した張本人が出しゃばるな。お前のせいでこうなった節でもあるんだぞ? てか元を辿っていけば全部お前が悪いよ。
「分かったよ。行こうぜ後輩」
アイシャはセリスの下へ帰った。
険悪な関係になってしまった……。緊急時は分かち合えたのにな。他パーティーの友が出来れば、これからの冒険者生活も楽しくなるのに。
……名前だけでも聞いておこうか。
「……なあ、ここで会ったのも何かの縁だし、名前教えてくれねぇか?」
「は? なんでだよ。悪用でもする気か?」
悪いのは十割こっちで、このような反応は仕方がないのだが、一瞬だけ絶交しようかと思った。
「悪用するのはアイシャだけだ。あいつには教えないから安心しろって」
「……はぁ。ま、お前は常識的だろうしな。……俺は『デクト』、このパーティーのリーダーだ。よろしく頼むが、トラブルには巻き込むなよ?」
「えっと、私は『リマ』。特に言うことは無いかな。トラブルには巻き込まないでね?」
「……俺は『デリクス』だ。お前らの事は嫌いじゃねぇが、トラブルには巻き込むな」
俺ら=トラブルメーカーみたいな解釈をされている。間違いじゃないのが悔しい。
元気はつらつな女性、リマが片手を差し伸べた。
「よろしくね! 闇鍋パーティーのロイン!」
「ははは、うるせぇ」
握手を交わし、俺の仕事場に戻った。
ゆっくり着実に、一個一個を丁寧に採掘するのかと思いきや、アイシャはトンカチでガンガンと粗く乱雑に採り始め、セリスは力業で、次々に宝石をもいでいった。
いやほんと、やってることが『賊』なんだよな。年頃の女性がやっていることも相まってインパクトが。
高く澄んだ夜空に吸い込まれる、ガキンガコンという打撃音、ボコッボコという掘り出す音。便乗して地面ごと採る音とカキンカキンという弱々しい金属音。
俺は発掘用の道具も秘めたる力も所持していないので、剣の柄にある金属を打ちつけ、砕いている。
反動と寒さで腕全体が痺れ、宝石を一回砕く度に軽く休憩しなければままならない。
耳障りな音とともに飛散する宝石を、右手で摘まんで左手に落とす。
何処かに収納を……
「……あ、そうだ」
─午前四時─
そういえば、店主さんから『亜空筒』なる物を頂いたのだ。危うくまた、未使用のまま顔合わせする所であった。
メンバーにも『こんな物貰ったわ』と告知し、筒の中に発掘した宝石を収納した。
どんなに大きな宝石も、ヌルンと吸い込まれる。
めっちゃ気持ちいい。なんかこう、達成感に浸れる。
これだけ採掘しても、根絶する気配が全くない。ほんの一握りぐらいか。
「おーい! 私たちは帰るからねー! またどこかでー!」
離れた地点から、リマの声がとどけられる。あの子はもう馴染んでいるな。
「おーう、じゃあなー! ……そろそろよくね? 結構集まっただろうし、他のヤツらの分まで残しておかねぇと」
「何言ってんだ後輩。だからこそ、こんな早くに来たんだろうが。それに、こーんな便利な筒があるんだったら活用しねぇとな」
指摘、感想等が御座いましたら、誰でもお気軽にコメントをして下さい。




