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これから始まる英雄譚! ~俺らの異常な冒険者スタイル~  作者: 丸々。
第三章 [自然の摂理は波瀾万丈]
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三十話 レア素材? の鑑定結果

─集会所─


「こちらが報酬金となります。お疲れさまでした」


 二つのパーティーが、それぞれ受付で達成報告を済ませた。


 『撃退』することが条件の依頼は、俺らが追っ払った確固たる証拠がないのに大丈夫なのだろうか。頻出した怪物(個体)が姿を現さなければいいだけなのか。


「そうだロインさん! 鑑定結果が出ました。これが取引額です。どうぞお受け取りを」

「あ、そういえばそうでしたね。私とロンゴに感謝してください!」


 今日の本命はこれだ。俺とアイシャが道具屋で捕まっている間、二人は依頼に出掛けた。


 その副産物として、受付嬢さんが騒然する程、物珍しい素材を獲ってきたのだ。


 どこかから盗み聞きしたのだが、二人がいたであろう狩場は、局地的に嵐でもやって来たのかと疑う程の大荒れだったそうな。


 どれだけズッシリしているかワクワクしながら、手渡しされた袋を受け取る……。


「……うん?」

「どうしましたロイン。早く見せて下さい!」

「俺の戦果でもあるからな。さっさと袋を開けろよ!」


 勝手に『重量がある』と思い込んで力んでいたが、想定より軽く、不自然に腕が上がった。


 えっ……軽っ……。


「どうした後輩? ほれ、見せろ」


 横から袋を奪い取られた。軽さに疑問を持つことなく、大金が詰まっていると期待して袋を開ける。


 それを魔法使い二人が覗き込むと……


「「「………………」」」


 三人共々、疑問符が頭上に出るような、困り果てた表情を揃えた。

 なんとなく察した俺も、念の為鑑定結果を拝見する。


 袋の底に、多いとも少ないとも言えない貨幣が重なっている。


 おかしいな。受付嬢さんは興奮して『下手すれば百万ジルになります!』とか言ってた覚えがあるんだがな。


「……後輩、裁判ってどうやって起こすんだ?」

「訴訟ものですよこれ! 担当した鑑定士は目が腐ってるんじゃないですか!? 今すぐ責任者をここに呼んでください!」


 憤怒して、なんの罪も無い受付嬢さんに噛み付くセリス。ロンゴはキョトンとしたまま、袋を覗いている。


「実はその……あの素材は、ハルムサントの近縁種にあたる、『ヒリュウダマシ』のものでして……。鱗や爪の形状、翼膜も、ハルムサントと非常に酷似していたので……期待させてすみません……」

「はああぁぁぁあああ!? それでももっと高値で売れるでしょう!? やっぱり裁判を起こしましょう!」


 セリスは激怒した。必ず、かの阿爺下頷あやあがんの鑑定士を除かねばならぬと決意した。セリスには相場がわからぬ。セリスは街の魔法使いである。力を操り、パーティーメンバーと冒険者として暮らし始めた。けれども自分に不都合な事に対しては、人一倍に敏感であった。


「嬢ちゃん。それに関しちゃ俺が教えたる」


 横から割り込んだのは、椅子に座った、鋼の鎧を身に着けたダンディーな男性。口髭をはやし、ジョッキを片手にしている。


「ハルムサントの素材は鋼の様に頑丈で、高熱で変形し、冷やすと固まる。つまり加工がしやすいんだ。だが、ヒリュウダマシはそうじゃぁない。絶命した後、鱗は脆くなり、翼膜は破れやすくなる。唯一使えるのは骨ぐらいだ。強固さは衰えないからな。……以上だ。邪魔したな」


 男性は残った酒を一気飲みし、集会所を出た。


「くっ……! あの髭オヤジ……!」

「まあ小娘、他人に当たるのはよせ。ゼロじゃなかっただけいいじゃねぇか」

「そうだぞ銀髪。当たるなら正面からぶん殴ってやれ」

「アイシャ、野蛮な事を催促するんじゃない」


 結果は結果、これ以上上下はしない。納得しない御様子のセリスは、眉を寄せて拗ねている。


 同行をしたロンゴは、『まあいっか』程度にこの結果を捉え、驚きはしたが気には留めていないようだ。


心が広いのか、ただの脳天気か。


 一悶着あったが、エルフの『店主』から承った依頼を無事……ではないが完了させたので、報告しにいこう。


 まさかあの『トロールの撃退』が彼女の要望だったとはな……。

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