表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これから始まる英雄譚! ~俺らの異常な冒険者スタイル~  作者: 丸々。
第二章 [苦難極まる冒険者生活]
26/100

二十五話 国宝級の遺物

─遡ること四時間前─


「……えっ……えぇ……」

「何見てんだコラ。みせもんちゃうぞ」

「俺様がそんなに珍しいか? それとも一目惚れか?」

「いや……ここ私の店の前なんですけど……」

「むむっ……もしや貴方、森人エルフではないですか?」


 しばらく店を空け、遠征先で仕入れを済ませて帰ってきたら、四人の若者が店の前で寝転がっていた。一人は熟睡して気が付いていませんが。


「えぇ……まあそうですけど……」

「ほほーん? ……なあ嬢ちゃん、私たちを助けてくれないかね? 寝床が無くて困っているのだよ」

「いや……そんなことはしたくないのですが……」

「いいのかな? 君が森人エルフってだけで、私たち人間は大きな利益を生み出す事が出来るのだが……なあ、オーガ?」

「ふんがーっ」

「ひぇっ……」


 この人たち怖い。まともな情緒を持ち合わせていないのですか……!


「二人ともふざけないで下さい」


 あぁ、この子だけはまともそうだ。言葉遣いも丁寧だし、ちまっこくて可愛い。


「あの、森人エルフのお方、我々に寝床を提供してくださりますか? ここ数日間ここで寝てるんです」


 私の店の前で数日も!? すごい鳥肌が立った!

 この子だけには申し訳ないけど、なんとかして追い返さないと……身の危険が……!


「……あの、宿屋とかに行かれてはどうで」

「どこも、かしこも、空いちゃいねえんだ。断ったら、後は分かるな?」


 赤髪の人は本気でりにくる目をしている。私は逃げ道を断たれ、選択肢が『はい』か『分かりました』の二択に迫られた。


「……やっ……屋根裏で……良ければ……」

「決まりだな。もちろん代金は払うから、そこは安心してくれ」

「小娘、クズってこういうヤツのことを言うのかね?」

「でしょうね」


 あ……あぁ……私の生活スペースが奪われた……。

 



─現在─


「脅したのかよ! 本当にスミマセン!」

「ははは、いいよいいよ。この人たちのこと、嫌いじゃなくなったし。……と、いう成り行きがありましてね。君の仲間達は見直した方が良いんじゃないかい?」

「あの赤髪は、どうやっても更生しないだろうな……」


 見直すというか、根本的に排除したいんだ。でもな、それが出来ないのですよ。なんせ赤髪のクズに脅迫されましたから。『追放したら、あることないこと言いふらす』って。


 それにしても君達、馴染むのが早いな。マイナスの好感度から、四時間でここまで心を通わせるとは。


 なお戦犯は、ふんぞり返って鬼人オーガとテーブルゲームをしている。セリスはギャラリーと化している。


「聞いたんだけどさ、君たち冒険者なんでしょ? 一つ頼まれてくれないかな?」

「そうだな……お詫びも含めて。何をすれば良いんだ?」


 彼女はふふんと笑い、跳ねるように会計口へ向かった。


 引き出しを空け、ガサガサと何かを探り出した。


 細長い筒と、瓶に入った妖しい紫の光を反射する、小さな宝石だ。


 それを俺に見せると、軽い口弾みで要望を語った。


「お願いは二つあるんだけど、一つはこれ。この筒を役立ててほしい」

「……なんだこれ?」

「ふっふっふ。聞いて驚け! その筒はね、あらゆる物を仕舞える『空間魔法』が封じ込められた一品なのさ! 世界に残る遺物の中の一つでもある、超レア物だよ! 気付いてたら持ってた」


 気付いたらって……。なんかよく分からないけど、とてもすごそうだな、と思った。

 

 円筒状で、不可思議な模様が彫られている。茶色が基調で、蓋が付いていない方の持ち手側に、スイッチが縦に二個付いている。


「代金は要らない。下のスイッチで吸い込んで、上のスイッチで吐き出す。思う存分に使ってくれ」

「え!? でもさっき、超レア物っていってたけど……?」

「いいのさ。ここ三十年は買い取り先がいないし、置いてあるだけ宝の持ち腐れだよ」


 三十年……。一般人が聞いたら、年齢と見た目のギャップに突っこまずにはいられないだろうが、俺はもう慣れている。


「国とか学者とかに売れば良いんじゃないか? 結構な額になるだろ?」


 この台詞を言い放った際、店主さんは


「国なんかに売ったら、保管されるだけで一生使われやしない。私はこれでも商人、売った物はしっかり使って欲しいんだ」


 と、頬を赤らめながら恥ずかしそうに心情を伝えた。


 これが商人魂というものなのか。彼女の言葉が心にジーンと染み、素直に感銘をうけた。


「これでお前の六連敗、私には勝てると思うなよ銀髪があ」

「ぐっ……おかしいです……まさかズルをしてないでしょうね!」

「小娘、実を言うと、最初から最後までしてた」

「ほらみたことか! 正々堂々と勝負してくださいよ!」


 遊び呆けている外野がこの場にいなければ、だが。初めてセリスにも怒りを覚えた。


「なるほど……それで、もう一つの頼みっていうのは?」

「それはね、かなり厄介な『依頼』になるんだけど……」



指摘、感想等が御座いましたら、誰でもお気軽にコメントをして下さい。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ