表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これから始まる英雄譚! ~俺らの異常な冒険者スタイル~  作者: 丸々。
第二章 [苦難極まる冒険者生活]
25/100

二十四話 エルフが営む隠れた名店

 早朝、頭痛が痛い。頭の中で反響しているような感覚だ。


 地位は変わったが寝床は変わらず。ヒンヤリした石畳が頬にあたり、妙な安心感を得る。


 今日はもうずっと寝ていたい……。何もしたくない……。


 屋外で堕落した姿は、どう見ても酔っ払いのそれである。換金を申し込んだ素材達は、昼頃に鑑定結果が出るそうな。青位に成ったからといって、依頼を何日も請けずにいると、冒険者の階位が下がったり、剥奪の可能性もある。


 だが、昨日までは働き過ぎた。昇格のペースも速すぎるし、しばらくは休んで良いかもな。鑑定結果次第では、大金も手に入る予定だし。


 項垂うなだれる時間が過ぎ、太陽は頂点を目指して昇っていく。


 民家の陰となった裏路地は、好奇心旺盛な子供以外は踏み入らないだろう。


「……えっ……えぇ……」


 ただ一人、木箱を運ぶ、とんがり耳を持つ女性を除いて。




「あ……集会所行かなきゃ……」


 結局、昼近くまで寝過ごしてしまった。


 そろそろ集会所に行って、換金額を受け取らなければ。ワクワクがとまらねぇ。


 メンバーの目覚まし係になろうと、昨夜、彼女らが寝ていた位置に目を配るが……やはりというか、この時間でも爆睡しているのはセリスだけだった。


「起きなさい」

「起きてます」

「うわあ起きてる」

「さらに言うと四時間前から起きてます」


 そんな早くから起きたんだったら、皆と一緒に移動すれば良かったのに。


 もしかすると俺の身を案じて見守ってくれたのか?


「もしかして……俺を心配して」

「ジャンケンで負けました。所謂いわゆる、罰ゲームです」

 

 そうですね知ってました。


 罰ゲームということも踏まえて、ひるから心底残念な心情となった。


 というか、そこまでするんだったら起こせよ。


「じゃ、集会所にいくか。二人もそこに行ったんだろ?」

「いえ、実はですね……」

「おっ、やっぱり起きてたか相棒! さっさと来いって」

 

 壁から出てきた!? ……と、そんなことはなく、民家の勝手口? からガチャリとドアを開けて登場した。


「……まさかとは思うが、お前ら強盗した訳ではないよな?」

「そうかもしれませんね。さ、中に入りますよ」


 セリスは、『ようやく解放された』と言いたげに溜息を吐き、ロンゴが開けっ放しにした勝手口へ、我が物のように入っていった。


 ……セリスが言うんだったら非道ではないだろう。


 全員待っているらしいし、家の中にお邪魔しよう。家主は居るのだろうか……?




─隠れた雑貨屋─

 中は小綺麗で、お洒落な照明器具で部屋全体が暖かい光に照らされている。


 裏路地から入ってきたにも関わらず、様々な雑貨が分類されて展示されている。一般的な道具から何かの素材、怪物の部位等、普通の雑貨屋では見られないような商品も。


 ここで違和感が。やけに爆薬類が多い。

 

「私がチャンピオンだ! 約束通り何かよこせー」

「くそう……五連敗とはなんて運が無い……。じゃあこの薬草をあげましょう」

「おちょくってんのかガキがこのやろう」


 無礼な素振りを直さない、博打打ちのやり取りが。そこには、机を囲んだアイシャとロンゴに加え、見知らぬ若い娘が。


「……あっ! その人がリーダーさん?」


 絶世の美女と言うべき顔つき。麗しく透き通るような金髪を肩まで伸ばし、何枚もの服を来重ねたような格好。立ち上がると、思っていた以上に背丈が高く、俺と同じほど。着目するのは失礼だが、胸は控えめ。前髪が長く、茶色の目は半目のようになっている。


 一番の特徴として、髪の間から露わになった耳はとんがっている。

 

「私は、知る人ぞ知るこの店の店主だ。君、名前は何て言うの?」

「俺はロインだが……」


 チラチラと目に映る耳が気になってしょうがない。この人、もしかして……。


「あまり口外はしないで頂きたいがね、私はこう見えても『森人エルフ』なのだよ。評判通り美しいだろう?」


 服装のせいで体つきが分からないし、前髪も長くて全貌がよく分からないのだが。


 そして、推測通り森人エルフであったか。この種族はよく知っている。


 古郷エルメンの里を囲む山脈、エルメン山脈のふもとにある樹海で生活していた種族だからだ。交流もあったし、なんなら一人だけ森人エルフの友人もいた。


 森人エルフ一族は、美男美女の集まり。男としての意見だが、男性はムカつくほどの整った顔、女性は一目惚れするほどの美人さんだ。性格は知らん。


「すまないが、森人エルフの美貌はもう慣れたから」

「あっ、そうですか……」

「ちょっと後輩、今のは聞き流せないなぁ? どういうことから説明を」

「そっちの名前は何て言うんだ?」

「それは敢えて言いません。あ、別にやましいことも裏もないですよ? まあ私のことは『店主』とでも呼んでくれ」


 焦る素振りも嫌がる気もなく、名前の件は軽く流された。

 こんな事よりも、個人的に気になった点が一つ。


「なんで俺たちを簡単に招き入れたんだ?」


 森人エルフはあまり、自分の生活空間などに人を呼ばない。

 かの友人もそうだった。遊びに来るのはよくあったが、こちらが招かれることは一度も無かった。むしろ来るなとまで言われた程。


 そんな森人エルフが、積極的に他者を招くことが珍しかったのだ。


「ああー……それは君の仲間達がだね……」


指摘、感想等が御座いましたら、誰でもお気軽にコメントをして下さい。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ