二十三話 ヤベぇヤツら
「よお相棒! 遅くなったな!」
「ただいま戻りました! ようやく依頼が終わりましたよ」
能天気そうな声と、かしこまった声が耳に届いた。
相棒って俺の事か。勝手に相棒にするな。
「おう、遅かったじゃねぇか。アンタたちが来るまで飯が食えねぇんだよ」
「先に食べていれば良かったじゃないですか」
「実はな、俺たち四人は青位への昇格が決まったんだ」
「そうなんですか!? それはめでたいですね!」
心の底から喜んでいるセリスは、笑顔が眩しい。まるでオモチャを買って貰った子供のように、純粋な笑顔だ。
「がっはっは! そいつぁ吉報だな! ……そして小娘、早急に依頼報告を済ませるぞ」
「フフフ……そうですね! フフフ……」
「あ、俺たちも付いてくぞ。青位の証が貰えるから」
四人で受付へ。二人は、ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべながら、受付へ向かった。ロンゴは討伐対象の素材が詰められたであろう、茶色の革袋を片手に、セリスは溢れ出る何かが抑えきれないように、笑顔を絶やさずに。
階位が上がって、よほど嬉しいんだろうな。これも彼らのおかげで……。
と思ったが、よくよく思い返してみると、ロンゴとセリス、何もしてなくね?
ま、今はそんな些細な事はどうだっていい。俺たちは昇格した。歓喜に酔いしれようでは───
「達成報告だ。ねーちゃん、コイツをお願いする」
「はい、分かりました……なんですかこれは!」
受付嬢さんの驚愕した声が響き渡った。
それを起点に、集会所内がどよめき始めた。皆の意識は一点に集中している。受付、三つの窓口の内一番左、俺たちが毎度利用して、現在も利用している所だ。
そしてそこに立ち往生しているのは、他に類を見ない鬼人とちまっこいの。その横隅に変哲のない男と赤髪の女。
二人は革袋から取り出した、皮膜のようなものと何十枚もの鱗、そして甲殻に牙、爪、棘を、革袋を逆さまにして乱雑に落とした。
「この素材はハルムサントの物では!? まさか討伐して……!?」
「はるむさんと? あのデッカい鳥のことかー! 大して強敵じゃなかったがなー」
「そうですよねー、突然現れたけど、ただの雑魚でしたよねー」
わざとらしい口調で、『騒ぐ様なことはしてないぞ』と伝えたそうに言葉を繋げる。
受付嬢さんの反応を見るに、これは一大事のようだ。俺には異常性が分からぬが、コイツら何かやらかしたのか?
「しかもこんなに状態が良いものを……。傷一つ付いていないハルムサントの素材は貴重です! 下手すれば、全部で百万ジルになります!」
「おいおいねーちゃん、他にもあるだろ?」
「そうですよ。一気に赤位まで昇格させてくれませんか?」
犯罪者のような悪い顔をしている。どこの悪党だよ。これ以上評判を悪くさせないでほしいんだが。
「いえ、それはできません」
「アアァァアン?」「ええぇぇええ?」
「やめろよお前ら意地汚ねぇ!」
カウンターをダンッと叩いた二人に、割り込んで一喝する。
「とにかく、依頼の報酬金と……この素材は後日、換金してお金を渡しますので、それまでお待ち下さい」
一件落着したようで、青位の証を受け取ってその場を後にした。
その事案は、この数分間で瞬く間に広まり、この異色なパーティーメンバー四人は一躍時の人となった。
『ヤベぇヤツらがいる』と。
四人は机を囲み、いつもより豪華な食事を満喫した。
「いっそのこと、ハルムサントの素材を闇市に流通させればよかったのにな」
「アイシャ、お前はそういう脳しかないのか?」
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