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これから始まる英雄譚! ~俺らの異常な冒険者スタイル~  作者: 丸々。
第一章 [異色のパーティー]
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十六話 パーティー爆誕

 街に入るや否や、銭湯へ直行した。勿論、男女別々で。出入り口にナキムクロの死骸を放置するなと注意され、四人とも風呂を済ませ、その後に集会所へ足を運んだ。


 未だに臭いが付いている気がする。衣服に染み込んだか。


「おい……あのパーティー、色々とすげぇぞ……」

「ああ……あのサイズのナキムクロもそうだが、人間じゃない奴がいるな……。もしかして、鬼人オーガってヤツじゃねえか?」

「イカれた赤髪に、魔法が微妙な銀髪、それに加えて鬼人オーガか……。異色すぎるパーティーだな……」


 今回の依頼の報酬金を頂くため、ナキムクロを丸々一匹受付へ運ぶ。ヒソヒソと陰口を言われているし、周りからの視線が辛い。


 今回もアイシャしか活躍していなかったが、報酬金は山分けをするということで片付いた。


 リーダーである俺は多めにだが、それぞれの財布にちゃんと収められた。


「……あれ? 俺の金がねぇ……」


 ロンゴが何かを呟いた。犯人を知っている気がしたが、知らぬフリをしておこう。


 討伐した怪物の肉を、この場で料理にしてくれるとの事なので、遠慮なく振る舞ってもらうことに。


 先程まで生物であったモノが、数分後にはもも肉の照り焼きとして運ばれてきた。


 ……料理になるまで、速すぎでは?


「ところで、何故普段は温厚なナキムクロがロンゴを襲ったんでしょうね。縄張りに侵入しても、少し威嚇するだけであんなに凶暴にはならないのでは?」

「それに関しちゃ、つい先日あの鳥の巣を目の前で潰しちまってな!」


 お前が元凶か。集会所から討伐の依頼が出る程って。


「それ以来、しつこく追っかけ回してきてな。逃げても逃げても昼夜問わずに付いて来るんだよ」

「なんで反撃しなかったんだ? お前みたいな鬼人オーガなら簡単だろ?」

「なんでって、そりゃ楽しかったからに決まってんだろ? 常に逃げ惑う、常に全力疾走、常に危険と隣り合わせ! そんな楽しい状況なんだから、長く味わっておかねぇとな!」


 あれ? この鬼人オーガ、もしかしてただの能天気?もしくはただの……。


「私には分かる。お前、さてはバカだな?」

「陽気と言ってくれよな! ま、本当はコイツの巣を破壊した俺の自業自得。何も悪くねぇコイツをいたぶるなんて、そんなひでぇ事は出来ねぇからな」

「バカは優しい」


 アイシャ、お前少しも考慮しねぇな。


「……あの、一つ思ったのですが」

「ん? どうしたセリス」

「もしかして、私の長所まほうと性能が被ってません?」


 ……ホントだ。怪力を扱えるという点で非常に酷似している。


 セリスは体力を多く消耗するが、ロンゴにはデメリットが無い。完全にセリスの上位互換だ。


「そうだな銀髪。こりゃ解雇するしか……」

「どうするんですか! 私の力自慢が無意味になってしまいますよ! たった一つの、唯一真面に披露できる魔法だったのに……!」


 骨付き肉を片手に、だいぶ焦った口調で、自分の存在意義を提唱するセリス。何故だか気の毒な気がしてきた。


「がっはっは! 安心しろ小娘。オーガは力持ちっつっても、ストンロクスぐらいしか持ち上げられねぇからよ!」

「充分凄いじゃないですかあ!」


 セリスが悔し涙を溢れさせている。この時点で力の差が明確になってしまった。


 所詮は人間。いくら魔法の力を頼っても、鬼人オーガ族の圧倒的な素質には勝てないのだ。


 ……この鬼人オーガ、魔法使ってたよな。くっさいの。


「……なあアイシャ。魔法って限られた才能がある人にしか使えないんだっけ?」

「ん? まあそうだな。『限られた人』、ってのは間違いねぇけど、『才能』とは違うんだよな。魔法にゃいろーんな説があってな、一番可能性があるにはのは『鍛練したら得られる』っつー説だ。物覚えが良い時期に、どれだけ魔法に打ち込めるか、ってやつだな」

「へぇー……」


 今までの人生を、何となく生きていた俺には縁の無い説だな。


「にしても、なんでロンゴの風魔法は臭いんだ?」

「多分だが……昔な、俺は体臭を気にしてたんだよ。だから体臭をどうにか出来ねぇかなーって思ってな、『臭いを飛ばす』練習をずっとしてきたせいだと思う」


 要するに、奇行に走っていたら謎の魔法を使えるようになったと。魔法って怖い。


「な……ロンゴも使えるんですか!? 何で使えちゃうんですか! 私の長所を悉く奪わないでくださいよ! 私が居る意味が無くなっちゃうじゃないですか!」


 水を飲み終えたセリスは、ロンゴによるその衝撃的な発言を聞いて、机を強く叩き、向かいに座る巨漢に愚痴を飛ばした。


 そっか。あの時セリスは気絶してたな。


「ま、使えるっつっても、ちょーっと癖のある風魔法だけどな」

「落ち着けセリス。お前は風魔法以外にも沢山使えるじゃねぇか。そんなに扱えるのはお前だけだぞ? もっと誇りを持てって」


 聞いた限り、使えなさそうだけど。


「ぬう……まあいいですが」


 その後、パーティー内で会話を弾ませながら、ふと感じる事があった。


 アイシャは現場での実体験があり、知識も豊富。剣、というより武器を扱い慣れている。


 セリスは諸々の魔法を扱える。性能は不安定だが、いざという時に役立つと思われる。


 ロンゴは単純に強い。それと風魔法も使えが、信じがたい程臭い。とにかく臭い。何故臭い。


 比べて剣の腕も立たず、魔法は使えない、そんなリーダーがいるらしい。


 ……もしかして、このパーティー内で一番の無能は俺ではなかろうか。


 夕飯を済ませて、四人で集会所を出た。すっかり暗くなった街中は、日が昇った時間帯とはまた別の雰囲気が漂っている。


 民家の灯り、街灯の明かり、そしてそれらの灯りに反射する鬼人オーガの頭頂部。


 哀愁感のある夜道がそこにあった。


「そういや、道具屋に寄るっつってたのに、もうこんな暗くなってきたな。店、やってないぞ」

「依頼のせいでな?」

「今日一日だけで大分疲れましたよ」

「依頼のせいでな」

「何故か分からんが、服も臭くなっちまったしよ」

「お前のせいでな?」


 なんでこんな奴らが一緒のパーティーに居るんだろうな……。

 セリスはまだ常識的な思考を持っているが他二人。アイシャと、まだ詳細が明らかになってないがロンゴ。ちょっと頭が曲がった面妖な奴である。


 はぁ……と疲れによる溜息か、不安による溜息か、どちらとも取れる溜息を吐く。


 そうだ、一つ確認を。


「・・・・・・ロンゴ、宿って取ってある?」

「俺は元から野宿生活だ」


 仕方が無いので、例の如く裏路地でひっそりと眠りにつくことにした。


 こんな所で四人が寝転んでいるとは、なかなかシュールな構成である。


「……なんか臭くね?」

「悪かったって」


指摘、感想等が御座いましたら、誰でもお気軽にコメントをして下さい。




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