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これから始まる英雄譚! ~俺らの異常な冒険者スタイル~  作者: 丸々。
第一章 [異色のパーティー]
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十三話 騒がせ者の黒い怪鳥

─翌朝─

 三人で集会所にやって来た。集会所に入る前に、一番近くの宿に立ち寄ったが、案の定空いていなかった。


 朝食を頼み、雑談をしながら今日の予定を考える。


 なにか大事なことを忘れているような気がするが、なかなか思い出せずにモヤモヤする。

 昨日のように掲示板の前に立ち、手頃な依頼を探る。


 [クアルナクの討伐] [スライムの駆除] [トロールの撃退] [オニハジキの実二十個の採取] [貨物の運搬要請]…………。自分が請けられる依頼は、既に桁違いな難易度の依頼が添えられている。


 『トロール』って。あんな怪物、初心者の手に負えないだろ。

 こんな依頼を好き好んで請けるバカはそうそういない。


「あ、[トロールの撃退]があるじゃないですか! 報酬金は三十万ジル! これを」

「却下」


 俺のパーティーにそのバカはいたようだ。


 様々な依頼の中から、アイシャが『これなんてどうよ?』と一枚の紙を持ってきた。


「[ナキムクロ一匹の討伐]。ここから数十キロ先にある森の中でね、最近やけに叫び回って眠れないんだと」

「そんな遠いのにどうやって行くんだ? 徒歩なら何時間も掛かるぞ」

「そんなの決まってんじゃん。『キャクチョウ』を借りればいいだろ。なんだ後輩、知らねぇの?」



 アイシャが先導をつかさどり、城壁付近で営業している『キャクチョウ舎』へとやって来た。


 所有地が広く、運動場が見渡す限りある。所々に障害物? のような板が設置されている。


 それを走って跳び越す巨大な鳥が。首が長く、全身は茶色い羽毛で覆われ、頭頂部には黄色いトサカをなびかせている。


 翼はバランスを取るだけに使われ、強靱な脚で大地を駆け抜けている。


「借りるんだったら、一羽で五千ジルだ。三人で一万五千ジル」


 バケツ一杯の穀物を、三メートルはあろう巨大な鳥にあげながら答える管理人。口周りは髭で覆われている、『おっさん』と呼ぶとしっくりくる外見をしている。


「うん? 移動だけで赤字じゃね?」

「一羽で全員乗れば良いのでは? そうすれば五千ジルで済みますが」


 セリスがそんな提案をすると、管理人は怪訝そうな顔つきになり、


「コイツらに負担を掛けるんじゃねぇよ。一羽で一人、きっちり守ってくれよな」


 規約を厳守してもうらうため、声色を変えて注意した。


「全くもってそうだな、おっさん。よし、徒歩で行くか」

「冷やかしなら帰ってくれねぇか?」

 

 かくして、長い長い道のりを徒歩で移動する事になった。 


目的地に着いた際には、まだまだ明るく、森に入っても視界に不自由は無かった。


「疲れた……本当に疲れた……。帰りも同じ道を通るのかよ……」

「愚痴言ってないで行くぞ。仲間も増えたからすぐ終わるって」

「そうですよ。私がいれば、文字通り百人力です!」


 もしかして、もうお昼時ではなかろうか。疲れで狂っているかもしれんが、俺の腹時計がそう言っている。


 渋々と、森の中へ進んで行く一行。

 長い間、鳥のさえずりと、木の葉が擦れる音が響き渡る。


 探索中は、淡々と自然を突き進んでいくだけなので、何故かいろんな怪物に詳しいアイシャに、豆知識を吹き込まれながら対象を探す。

 今回の話は、ナキムクロは旨い。とにかく旨いという話で終わった。中身が薄い。


 なんやかんやで時間が経った末、突如として絶叫が木霊する。


───────────ッ!!

「な、なんだ今の……。鳴き声か?」

「間違いねぇ、ナキムクロだな。ところで、銀髪が白目むいて倒れてるけど、ひきずってく?」

「背負ってやってくれ」


 鳴き声の源へ慎重に向かう。何度も何度も叫び声は耳を通り過ぎていき、次第に大きくなっていく。


 つんざくような声を出すため、耳を押さえて移動しなければ頭が割れそうだ。……セリスは手遅れだが。


 相当近付き、パキパキと草木を踏み荒らす音が明確に聞こえてきた。それでもナキムクロは叫び続けているが。


 木に陰から顔を出し、様子を窺うと、可笑しな光景が。

 

「……何やってんだ、あの人」


 両耳を押さえてうずくまった大柄の男性が、キャクチョウと同等の黒い鳥に突かれている。その怪鳥は、赤黒い喉仏が特徴的だ。


 男は背中から腰にかけてズタズタにされ、肌が痛々しい姿に。特に、狂ったように腰を重点的に突きまくってる。ナキムクロは突いては叫びを繰り返し、男は無抵抗で身を守っている。


 ……あれ? なんかあの男、肌が赤くね?


「ほっとくか」

「依頼が達成出来ないだろ」

「あの人の身を心配してあげてください」

「あ、起きた。しゃーねーな……」


 セリスを乱暴に降ろし、ゆらりと立ち上がったアイシャが、何を思ったか口笛を吹き始めた。それも、しっかりとナキムクロに聞こえるように。当然、意識はこちらに向いた。


「え? お前何して……」

────────────ッ!!


 けたたましく金切り声を発しながら、勢いよくこっちに距離を詰めてきた。そして次には、いつの間にか棍棒を握り締めてしたアイシャによる、強烈なスイングにより呆気なく彼女に葬られた。


 ええぇ……これが一万ジルの依頼……ええぇ……。


 どうも呆気なく終了した───と思いきや、


─────────ッ!!


 跳ねるように起き上がったナキムクロが、アイシャ目掛けて、黒く大きな爪が伸びる脚で後ろ蹴りを披露。


 見事な不意打ちを、アイシャはいとも容易たやすかわし、頑丈な皮膚で守られた脚を掴む。そのままナキムクロが蹴り上げた勢いを借りて、掴んだ脚を上方へ回し……、


「そりゃあ!」


 バランスを崩したナキムクロの頭部に、棍棒による渾身の一撃をお見舞いした。


 …………もう、コイツだけで無双できそう。




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