小話 一休み
─集会所─
夜間、昼時よりも騒がしくなった集会所で晩飯を食べる。
「そうだった……討伐しても、証拠がなきゃ報酬金貰えないのか……」
「怒った親玉がやってきて、迂闊に森に戻れませんでしたからね。こればかりは仕方ないです。下手すれば食べられてました」
「お前らの所業で食べられそうになったんだけど」
同じ長椅子、左手側に座る少女に励まし? の言葉を頂いた。
受付嬢さんにいくら説明しても、『証拠が無いと報酬金の受け渡しは出来ない』と突っ張られた。過去に嘘の報告を入れた冒険者がいたせいで、ここの管理は厳重になっているらしい。
暗くなった街中。一際強い輝きを発する集会所内は、多くの冒険者で賑わっていた。
男に女、そして年齢の差を気にせず盛り上がる酒の席は、どこか心地良い。
「ていうか、なんでアイシャは迷わず逃げたんだ」
長机の対辺、正面で肉料理を食べる女に追及する。
「そりゃお前、仲間より自分の命の方が大切だろ?」
「お前やっぱり解雇す──」
「解雇したら?」
「あることないこと?」
「言いふらす。よく分かってるじゃないか。これからもよろしくね!」
うーんコイツはどうやって泣かせようか。辱めを受けてもらおうか。
それにしても汗をかいた。過半数は冷や汗だろうが、風呂に入ってスッキリしたい。
「……なあアイシャ、この街って風呂あんの?」
「銭湯ならあるぞ。集会所の向かいにあるのがそうだが」
風呂も銭湯も大して変わらんだろうが。
ま、風呂が有るってだけで一安心。ご飯を食べ終わったら直行しよう。
─温泉(俺側)─
中は綺麗。他の冒険者たちも入浴しており、自慢の筋肉だらけである。
混浴ではない。
空いている場所からお湯に浸かり、リラックスして疲れを癒す。
今日一日だけで酷い目に遭った……。
女性陣からは、『先に風呂から出たら待っててくれ』と指示され、待つのは癪に障るため、出来る限り長湯しよう。
混浴では、ないが。
随分長く温泉を堪能していたが、女性陣はなかなか来ない。
十分後にやっと来た。頭上から湯気が立ちこめている。
「そうだ。セリス、宿って取ってある?」
「いえ、私は今日来たばかりですし、何故かどこも埋まってまして」
こんな時間では道具屋もやってない。テントだけでも買っておこうと思ったが、今日は叶わなそうである。
街の外は論外だし、路上で寝るのもなんだか。
「……しょうがない路地裏で寝るか」
「路地裏って。新米冒険者でももうちょっと良いとこでねるぞ」
「えっまじで? 例えばどこ?」
「大通り。皆でベンチに座って寝たりする」
「酔っ払いかよ……それは良いとは言えないが。じゃあここで解散ってことで……」
「因みに、私らも寝床が無いからお前に付いてくぞ? 独りで寝てたら人間が恐いからな」
「同じくです」
「……そうですか」
三人で人目に触れる事の無い、路地裏の一廓に集合し、今夜は寝ることにした。フカフカの布団が欲しい。
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