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第9話 ~勇者アルベルトの不穏な影~

 城門を抜けたオレ達はそれぞれの用事の為に分かれた。護衛依頼完了を伝えに冒険者ギルドに行くもの。猫耳商会に荷物を持っていくもの。そしてオレのお使いクエストについてくるもの。


「まったく。さっきは赤っ恥かいたわ!」


「そうだな。オレも何度かここには来てるがあんな歓迎を受けたのは初めてだ」


「にゃぅ、みんな早く忘れてくれるといいんだけど。知り合いに見られてないかしら」


 サーシャは口では悪態をついているが笑顔である。おそらくセレブ気分でうれしいのだろう。


「何言ってるんだよ。明日の一面は僕らだよ。イケメンとかわいい猫耳を連れた勇者、来東!。

 くぅ〜、ついに勇者アルベルトが紙面になるのか〜、これからはサーズデーにすっぱ抜かれないよう気を付けないとな」


「おいアルっ。魔術師ギルドはそっちじゃないぞ」


  魔術師ギルドにはオレ一人で行くつもりだったが二人が付いてきた。アルベルトはどこも珍しいのかイーストタウンについてからはキョロキョロしっぱなしだし、サーシャも魔術師ギルドは初めてらしく物珍しげに眺めている。

 魔術師ギルドは吹き抜けの建物であり、まだ太陽が出ているのに天井だけでなく床にも灯りの魔道具が灯されておりとても明るいのだ。


 オレは空いている受付にいき伝票とマジックバックを差し出す。


「ジャイルズの代わりに依頼品を持ってきました」


「少々お待ちください」


 職員を待っている間に説明するが、ジャイルズとはオレのオヤジのことである。


 職員がなかなか戻らないので詳しく説明するが、オヤジの作るマジックバックは特別である。魔道具は基本的に使用する時にも魔力を消費するのだが、魔力量が多い方が効果が高い。マジックバックを使うときも魔力は必要で魔力が少ないとあまり荷物を入れられないし、必要な時に取り出せない事もあるのだ。親父のマジックバックは魔力量が多いオヤジが始めに魔力を込めて作成したら、その広い空間の中への出し入れを空気中の微量の魔力で使用することができるのである。なので魔力量が少ない酔いどれ令嬢であっても、体内で魔力を生成できない欠陥勇者でも豊富な魔力を持つオレと同じようにマジックバックを利用できるのだ。

 オヤジは前髪が目にかかっているヒゲモジャであるが、ヒゲをそると「この世界の主役は僕」と言っている自称勇者にさえ「エロゲーの主人公みたいだ」と評されるくらい偉大な人物なのだ。エロゲーという言葉の意味は神に愛されしものらしい。自称勇者は「僕もエロゲーの主人公のようになるけどね。ぐふふ」と気持ち悪く笑っていたが、たまにいいことを言う。


 オヤジのマジックバックはとても貴重であり個人ではなくギルドやタウンが保有するものである。盗難防止の為に使用者以外が使えないよう使用者ロックを行うのが基本だ。今回はイーストタウン所有のマジックバックを貸与されていた冒険者が死亡したことでロックを解除するためにオヤジに依頼がきたのである。


 アルベルトはセクシーなお姉さんがギルド内にいる内はチラチラ見ながらおとなしく待っていたがセクシーお姉さんがギルドからいなくなったらもう見るものはないのか何か話そうとこちらを向いた。


 その(さま)を隣で見ているサーシャの機嫌が悪そうなのはおそらく職員がなかなか来ないからだろう。間違いない。絶対である。こんなに待たせる職員をオレは許せないだろう、いや許す。だから早く来てくれ。



 勇者アルベルトは商会令嬢の好感度が下がった。

 ついにオヤジの名前が登場。名前をつける気はなかったがギルドとジルの会話がうまく作れなかったのでしぶしぶ名前をつけることにした。

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