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居場所を守るため、俺は心を捨てた  作者: じゅじゅ丸
◆ 第一章:生きる理由
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第8話|パンジーナの花言葉

種と人形を無事持ち帰った俺はリリナとエルドに会いに行くことにした。


「ありがとう!お兄ちゃん!」

 

 リリナは喜んでくれた。

 


「ありがとう!ゆうとくん!」


 エルドは通報した。


「ち、違うんだゆうとくん!少し魔が刺したというか、騙しがいありそうだったというか……」


 リックや村の人に引きずられながらエルドは弁明を重ねていたがもう遅い、罪は償ってもらおう。


「エルドさんも、本当は悪い人じゃないんだよ」


 皆がさった後、リリナが俺に言い聞かせるようにと呟いた。


「どこが」


 あんな性悪ジジイの何を見て、悪い人じゃないと言うのだろうか


「一週間後、奥さんの命日なの。その彼女が好きだったパンジーナは丁度一週間で咲くからそれに合わせたかったんじゃないかな。」


予想外の言葉に言葉をうしなう。

確かに、花を買う理由とかきいてなかったと思い返す。

 

「……植えるのは手伝ってやるか」


 許したわけではないが、弁明だけは聞いてやろうと、そう思った。



 ――――――――――――――――


 エルドが解放されたのは、それから2時間後のことだった。

 

「すまなかった、ありがとう!」


村人たちに占められたエルドは、別人のようだった。


「これに懲りたら、今度はちゃんと頼んでくださいね」


 埋め終わった畑を慣らしながら、顔を見ずに感謝に応える。


「許してくれるんだな」


「今回だけですよ、もう騙されませんから」


「妻もなんだかんだ私の悪戯を許してくれた」


 エルドは遠い目をして思い出に耽るように言葉を紡ぐ。


「真剣に頼むのは、何だか気恥ずかしいんじゃ」


 ポツリとでた後悔を含むその言葉は、彼の人生を表しているようで、何だか哀愁が漂うようなむず痒い気持ちになった。


「……まあ、分からんでもない」


 そんな呟きに同調しつつ俺はその場を離れる。


 今日は色々と疲れた。大人しく木陰で休み、昼寝の続きと言うには遅すぎる休憩を取るとしよう。

 

 あとで聞いた話だが、パンジーナの花言葉には、思い出や感謝という意味が含まれているらしい


エルドと別れ、すっかり暗くなった街を眺めながら大木に寄りかかる。


他人の秘密を知り、自分が受け入れられたようななんともいえない気分に浸る。


ーー随分楽しそうだな


自然と笑みが溢れた。そんな俺を笑う声がした。





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