第5話|居場所
「――というわけで、今日から村でみんなと一緒に働いてくれるユウトくんです。拍手」
村長の紹介の後、パチパチとまばらな拍手が響く
歓迎の拍手……というほど大げさではないが、素朴で温かい視線が次々とユウトに向けられる。
俺は居心地が悪いのを悟られないように作り笑いでそれを聞いていた。
あれから3日が経った。すっかり回復した俺はお爺さんに頼み込み村に住まわせてもらえることになった。
少女のおじいちゃんはこの村の長だったらしく俺の移住はとんとん拍子で決まった。俺を看病してくれた
少女―リリナもそのことをとても喜んでくれた。
正直まだ生きる意味はわからない。
ただ、少女の言うように意味を見つけるために生きてみるのも良いかと思い始めていた。
ここなら自分は変われるんじゃないかと少し期待していた。
――そして今。
「よろしく頼むよ、ユウトくん!」
「おう! 身体はもう大丈夫なんだろ?」
「若いんだし、働きながら慣れていけばいいさ」
村の広場に集まった数十人の村人たちが、一斉にこちらを見る。
(……落ち着かないな)
歓迎されているのに、心がどこか落ち着かない。
思えば家を出てからこんなにたくさんの人と話したはなかったので、少し緊張している。
「ユウトくん、君にはこれからしばらく、村一番の畑を持つリックの畑仕事を手伝ってもらう。時間が経てば身体も慣れるし、覚えるのも簡単だ」
村長のおじいさん――リリナの祖父がそう言うと、村人集団の中から2メートルはありそうな大柄な男が一歩前に出た。
「オレがリックだ。よろしくな!」
ガッチリとした体格や褐色の肌はいかにも力自慢の農家という雰囲気だ。腕の太さなんてクマといい勝負かもしれない。
「行くあてがないんだってな、大変だとは思うが出来る限り働いてもらう。その代わりわからないことはなんでも聞いてくれ!俺が完璧になるまで指導してやる!」
心強い言葉に胸が熱くなる。
「こいつの言うできる限りは普通の人間にできないから気をつけろよ小僧」
謎の忠告が集団から飛び、大人たちが笑いながら頷く。
そんな空気感に緊張が少しほぐれた。
「…っ精一杯頑張りますのでどうかよろしくお願いします!」
身を焦がすように照りつける眩しい日差しが、三島ユウトの再出発を祝福しているようだった。
この環境で自分は成長するんだと決意した。
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無理だった。
完治したとはいえやはり病み上がりの体には厳く、瞬く間に戦線から離脱した。リックは涼しい顔で畑を耕している。鍬を振る速度が早すぎて腕が4本に見えるのは流石に気のせいだと信じたい。
鳥の囀りに意識を移し、風で葉と葉が擦れる音を堪能する。
――随分楽しそうだな
木陰で涼みながらぼーっと畑を眺めていると不意に声が聞こえた。
「誰だ!?」
思わず振り返るが誰もいない。木の上で鳥が鳴くだけだ。しかし確かに聞き覚えのある声に身を震わせる。
――なんだ、やっと聴こえるようになったか
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