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リヴァイバー・ゼロ  作者: 風降よさず
First Match
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027

「………………つまり、どういうことかな?」


 俺にしては珍しく親切丁寧に説明したつもりだったんだけど、東雲先生は首を傾げてた。


 そんなにおかしなところなんてなかった筈だけど。

 今日から合宿させてください、なんて頼んだわけでもないんだし。


「どうもこうもないですよ。今お伝えした通りです。今日、日中の巡回の中に組み込んでくださいってお願いです」

「それは聞いたよ。今のところ危険性も低いからね。私としてもできることなら賛成したいくらいだ」

「それならいいじゃないですか」

「よくはないね」


 ……まあそうなるか。


 組み込むだけのは難しくないだろうと思ってた。

 東雲先生も言った通り、諸々の状況を踏まえれば今は一番危険が少ないから。


 むしろ、問題はその東雲先生だ。


 この人に納得してもらわないとどうにもならない。

 俺達がここのお偉いさんに直談判したって、東雲先生を通じて言うように言われるだけ。


「三凪と天条くんの二人だけで行くというのは、不自然じゃないかな?」


 今の、警戒心MAXの東雲先生を説得できないことには始まらない。


 こればっかりはもう、正面突破しかない。

 それ以外の選択肢がそもそも最初から手元にない。


「まあまあ、落ち着いて下さい。東雲先生」

「何を言っているんだ。私は落ち着いているよ」


 ……これっぽっちもそんなことないでしょうに。


 東雲先生の今の表情を見れば、俺だってさすがに分かる。

 お姉さんと俺とを交互に見て、東雲さんがあたふたしているのもあるけど。


 東雲先生のことだから、ただ言うだけじゃ納得してくれない。


 前には関係を心配していたけど、それとこれとはきっと別問題。

 心配し過ぎなんて口が裂けても言えるわけがない。


「まず、チームって一般的には個々人が好き勝手やるようなものではありませんよね?」

「……また随分と当たり前の話から始めるね」

「すみません。でも、今回はちゃんと続きがありますから」


 正直、最近の俺の言動はちょっと怪しいけどそれはそれ。

 無理に合わせても逆効果だとか、そういう話はあるけど今はいい。


 実際、良くも悪くも向こうは連携も取れていた。

 その結果があのイカサマづくしだったわけだけど、情報伝達はしっかりしていた。


 まさか使った魔法が都合よく本人の仕掛けたものだった――なんてことはないだろうし。


 俺を囲んだ時だって、こっちを潰そうと上手いことやってくれやがったし。


「それで、この前の結果を踏まえても、俺達の間の連携がとれてないのは事実です。誰か一人の問題というわけではなく」

「…………まあ、そうだね」


 君達だって同年代にしては――とかなんとか東雲先生は言っていたけど、ひとまずスルー。


 同年代だけを基準に比較しても仕方がない。

 特に今回、向こうには三年生だっているんだし。


 教団の連中が相手となれば、三年分でも足りるかどうか。

 量より質で攻めるとしてもだ。


「……言ってることはほぼほぼ間違ってなさそーなのになぁ……」

「多少の勢いをも必要ですよ。この場合」

「多少どころじゃねーし、勢いだけじゃねーだろ、絶対……」


 あのくらいのことは遠慮なく言ってもらって構わない。


 小城みたいなことを言えることと、仲がいいことがイコールとまでは言わない。

 言わないけど、あんな風に全力で遠慮されてもそれはそれで困り者。


 嫌われてるならもう、そういう問題では済まされない。

 今回、そっちに関してはとりあえずその辺りに投げ捨てておけばいい。


「そもそもとして、全体としての連携が大事だと言うのも分かります。でも俺達の場合、そこだけが問題ではないと思うんですよ」

「……と、言うと?」


 この前の結果を見ていて、なんとなく思った。


 埋もれてしまうところだったその感覚を、美咲が引っ張り上げてくれた。


 料理の件で思ったこともそう。

 気付いてみれば成程確かにとしか言いようがない。気付くのが大変なだけで。


「一対一の付き合いが、むしろまだ足りていないんじゃないかと思うんです。俺」


 やろうとしていることは東雲さんの観察に近いと言えなくもない。


 ただ、一方が知るような形じゃ根本的な解決には至らない。

 もちろん相手みたいになるだとか、そんなことはこれっぽっちも考えていない。


「……それを無理に深めるのも、正しいとは言えないね」


 東雲さんの考え方を全面的に否定しようとまでは、さすがに俺も思わないけど。


「それに、もし天条くんの言う通りだったとしてもだ。どうして真っ先に三凪と君になるのかな?」


 その反論も、予想済み。


 先生ならそう言うだろうと思ってた。

 まさかあの東雲先生が、そこを流してオーケーを出すなんて俺だって思ってない。


 最終的にどこかでそうするとしても、トップバッターである必要はない――そんな風に。


 でも。


「俺とイリアはご存知の通りですし……俺と小城はまあ、お察しですし」

「おい待て。お察しってなんだコラ。オメーの責任もあんだろ」

「とまあ、こんな具合に。ね?」


「……な、なるほど?」


 ……これならイケそう。


 なんとなくそんな気はしていたけど、こうも上手くいくなんて。

 若干揺らいでるところにたたみ掛けたのはやっぱり大正解だったみたい。


「こいつしれっと利用しやがった!?」

「とんでもない。信頼してたからだよ。小城ならきっと、言ってくれるって」

「今のオメーにだけは信頼とか言われたくねぇええー…………」


 どうして小城があんなに不満そうなのかこれっぽっちも分からない。全く。微塵も。


「話を戻しますけど、俺自身、まだ東雲さんのことは知らないことも多いと思うんです」


 小城のこともまだ知らないことの方が多いけど、そっちは追々、何かしらの形で教えてもらうとして。


 とにかく今は東雲さんのことが先。

 小城はそういう部分を気にしてるわけじゃないだろうし。


(あとは――)


 最後の一押し。……なんて、俺のわがままみたいなものだけど。


「(……それに、組織としてもイリアを()()()()風に扱うことはできませんよね。この組み合わせがベストだと思いますよ)」

「(……そこも織り込み済みだというわけだ)」

「(はい。今回はちょっとだけ利用させてもらいました)」


 呆れられても仕方がない。

 俺ももちろん、そのつもりでこの話を吹っ掛けた。


「(ということは……橘さんの、入れ知恵かな?)」

「(橘さんなら呆れると思いますよ。今の俺の発言を聞いたら)」


 あの人ならここまで滅茶苦茶なことはしない。

 賛成するかどうかも微妙なところ。


 俺なりにない頭を振り絞って、どうにか思いついたアイデアだったんだから。



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