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リヴァイバー・ゼロ  作者: 風降よさず
First Match
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022

 天条くんに関するメモ


・歩く時は、基本的に左足から。


(だけど、前に怪物を右足で蹴ってた。そっちの方が威力はあるみたい)


・こだわりはそんなに多くない。


(色とか、服とか……聞いてみたけど、あんまり気にしてる様子はなかった)


(部屋の家具も、特に要望は出してなかったと思う。天上さんの要望には合わせてるのかな)


・準備はちゃんとする方


(そういうことで困ってるところは見たことない)


(幼馴染さんの影響かも、って言ってた。どんな人が気になる)


・嫌いな食べ物は特にない。


(この前出してもらった料理も美味しかった。そうえば、あまり濃い味付けにはしないのかも)


・朝、起きるのは5時くらい。寝るのは0時頃が多い。


(天上さんにも確認した。睡眠時間は少し短め。……でも、弁当と朝食の用意と朝練があるからこのくらいの時間じゃないと間に合わないのかも)


・本を読む量はそこまで多くない。


(教科書以外、あの部屋にある本は基本的に天上さんのもの。たまに借りて読むことはあるみたい)


(魔法を使う時に参考にしてるということはなさそう。彼、そういうことを考えたことはないって言ってた)


・座右の銘もなし。


(聞いたら不思議そうな顔をされてしまった。『そういうのって、あったりするもの……?』って)


(組織の中にはそういうのを芯に持って魔法を使う人もいるけど、天条くんは違った)


(読んでる本もそうだったけど、その方面からのアプローチは難しいかも)


・今でも、光の魔法は使う


(私と同じみたいだった。理由も一緒で、負荷が一番少ないから)


(他にも確認したけど、同じところは少なくなかった。他に、私と天条くんで違ってそうなところは――)






「お願い美咲、ちょっと助けて」


 こんな時に美咲を頼るのもそれはそれで卑怯だと思うけど。


 もう本当、どうしたらいいのか分からない。

 美咲の意見も聞いておきたい。


『えっ……なに? いきなりどうしたの? 私にできること、何かある?』

「ある。めちゃくちゃある。だからとりあえず話だけ聞いてもらってもいい?」

『うんうん、いいよー。今日は特にすることもないから』


 ……とか言って、用事があっても聞いてくれるんだろうなぁ。美咲のことだから。


 あれこれ片付けてたのもあって、外は真っ暗。

 夕食の片付けどころか、寝る準備をしていてもおかしくない時間なのに。


 普段も、喋ってるうちにこのくらいの時間になることはある。

 けど、さすがにこの時間になってから電話を掛けるようなことはしない。


 いつもなら。


「ははー、さすが神様仏様美咲様ー」

『本気で感謝してるならそういうのはやめなさい』

「ハイ」


 本当、美咲がすぐに出てくれて助かった。

 なんの冗談でもなく崇めたいくらい。


 そんなことを考えてしまうくらい、今の状況果に負えない。

 これならあの化け犬をぶっ飛ばす方が何倍も簡単だ。


『もー、すぐそういうことするんだから……』

「最近はそこまでじゃなかったし、美咲もそろそろウズウズしてるんじゃないかなって」

『するわけないよね!? いいから、いつも通りでいいから!』


 ……いつも通り、馬鹿なこと喋っていられたらどれだけよかったことか。


 おかげでどんどん口が滑る。

 美咲がそれにも付き合ってくれるから、余計にブレーキがかけられない。


「それじゃあ、つまり……」

『最近はそこまでじゃないって言ったのはきっくんでしょーっ!!』


 ――どうにか意識を現実へ引き戻してくれたのは、美咲の強烈なカミナリだった。


「ごめん、ちょっと気が動転して……。ありがと、美咲。おかげで落ち着いた」

『今ので落ち着かれても、それはそれで嫌なんだけど……』


 ドン引きされても仕方ない。

 呆れられても別にいい。


 こういうやり取りをしている方がほっとする。

 美咲には本当に申し訳ないけど。


 特に今は、そういう部分まで気にする余裕がなかった。

 いつものことだから、とかではなく。


『それで結局そっちで何があったの? 真剣に悩んでるんだよね?』

「それはもう。美咲が最後の希望なんだよ」

『お願いだからそうなる前にちゃんと相談して?』


 ……軽く、現実逃避をしたくなるくらいには。


 かえりみちのイリアのため息も、俺に対するものじゃない。

 あの人だけに向けたものではないかもしれないけど。


「そうなる前、なんて言われても……。つい最近のことなのに」

『だったらそんなに重い肩書を背負わせないで!?』


 美咲もクラスメイトだったらどれだけありがたかったことか。


 自分の意志で外に出ておいて言えたことじゃないけど、今回ばかりは心からそう思う。


 それもこれも、元はと言えば。


「クラスメイトの心が俺にはわからない……」

『なにごと!?』


 ……本当にどう接したらいいんだ。東雲さんと。


 やり方を変えてみるとか、中断するとか、そのへんの提案も全部駄目だった。


 そんなに役に立たないだろうし、なんて言ってもやっぱり失敗。


 ……さすがに、ちょっと困るどころじゃない。


『クラスメイトの心って何!? 何があったの!?』

「いやもう本当、俺は一体どうしたらいいのか……」

『私は今のきっくんになんて言えばいいのかわからないよ!? ほんとにどうしたの。ねぇ、何があったの!?』


 俺も聞きたい。


 何がどうなったらあんな結論に至ったのか――親切丁寧に、教えてもらいたい。


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