作戦会議終了
こんばんは!
今回もよろしくお願いします!
「剛君、『ヨウバク」に入らない?」
……?
「……何を考えて、何を言った?」
「鬼化している鬼と闘っている最中に、その角を奪っちゃえばいいと思ってヨウバクに誘った!」
「……回答してくれてありがとう」
奏弥寺は、俺の質問にしっかりと回答してくれた。してくれたはずだ。
だけど俺の脳は、奏弥寺の言葉をきちんと処理できなかった。いや、むしろ処理できていたのかもしれない。だからこそ、次々と疑問がわいてくるのだと考えた方が自然だろうか。
「……可能なのか?鬼が中庸捕縛隊に入るなんて。いや、そもそも鬼とか以前に、奏弥寺以外が入ることは」
奏弥寺が顎に人差し指を当てて、目線を上に動かす。
「最初の質問に関しては、正直わからない。私が知っている限り前例はないはずだから。でも、前例がないからダメっていうのは違うと思うんだよね。次の質問の回答はずばりイエス!実は現状でも、奏弥寺以外にもヨウバクの隊員は沢山いるんだよ。ま、みんな親戚みたいなものなんだけどね」
奏弥寺という名前を聞いてもピンとこなかった俺が言うのもなんだけど、『中庸捕縛隊』といえば『奏弥寺』という認識を持っている奴がほとんどだと思う。
奏弥寺以外の中庸捕縛隊の隊員も、同じように霊糸を使うのだろうか。
そんな逸れたかけた思考を元の位置に戻す。今考えなければいけないのはそこじゃない。
「仮に、だ。悪事を働く鬼との戦闘中に、俺がそいつの角を折るなり齧るなりして、俺は何の罪にも問われないのか?それが故意的だったとしても?」
相手がどんなに悪い奴だったとしても、故意的に傷つれば、加害行為として成立するはずだ。多分。俺の今までの知識によれば。
「だから、どさくさにやっちゃえばいいんじゃないかなって話!それにまぁ……それがヨウバクの一員としてやったことなら大目に見てもらえるというか、そんなに追及されることはないと思うんだよね」
「……やっぱり、国がバックについているとすごいんだな」
「まあね。ヨウバクが抑止力になってるから、国が望む人間と鬼の共生もなんとかできているわけだし。それなりに大切にされてるんだろうなーってのは感じるよね」
ヘラヘラと笑う奏弥寺の顔から笑みが消えて、真面目な顔つきに変わる。それに合わせて、部屋の空気がひりつくのを感じた。
「それで、どうする?提案しといてなんだけど、この案は剛君を危険に晒すことになるからおすすめはできない。だけど、いまのところ一番現実的でかつ私が提案できるのはこの案だけ。剛君がもし、私の提案に乗りたいって言うなら、私から上の人に話してみるけど」
真剣な目だ。奏弥寺が本気で言っていることが伝わってくる。奏弥寺が赤の他人の俺のために真剣に考えてくれているんだ。俺自身が理解できないなんてぼやいている場合ではない。
想像をする。悪事を働く鬼と対面したときの状況を。きっと、昨日の奴らとは比べられないほど強い鬼を相手にすることになるんだろう。鬼化しなければ、昨日くらいの奴にでも簡単に吹き飛ばされてしまうような俺だ。俺自身も鬼化しなければ太刀打ちできないし、角を得るために近付くことさえできないだろう。
つまり、鬼化は必須。俺の角の存在が、大勢に見られてしまう可能性はどうしても高くなる。
「あはは。剛君、怖い顔してる」
「……悪いな。元々そういう顔なんだよ」
「眉間にしわ寄せててもかっこいいね!なんかこう、しぶいっていうか!」
指で眉間に触ると、中央に向かてしわが寄っているのを感じた。
「焦って決めなくても大丈夫だよ。というか、そう簡単に決められることじゃないだろうし」
「いや」
眉間から手を放し、奏弥寺の目を見つめる。
「話してみてもらえるか。俺のこと。今日、奏弥寺に話したことを全部伝えてもらってもいい。必要なら、俺が直接話して……角を見せてもいい」
逃げてばかりだとに何も変わらないのは分かっている。だからこそ、奏弥寺に角を見せたんだ。話がどんどん大きくなっていって少し面食らってしまったが、後に引く理由なんてもうないはずだ。
「……わかった」
奏弥寺が頷くのに合わせて頷く。
「真剣な話をしてたらなんだか甘いものが食べたくなってきちゃった!剛君ももう帰るんでしょ?一緒にコンビニ行かない?」
重くなった空気を変えるように、奏弥寺が手を叩いた。高い音が小さな部屋に響く。
「……ああ。行こう」
正直なところ真っ直ぐ帰りたい気持ちが強かった。だけど、今日は奏弥寺にいくつも無理を言ってしまったから、お礼とお詫びを兼ねるために同行することにした。
奏弥寺が動かした椅子を元に戻してリュックを背負う。俺もそれに倣って、部屋の中を入ってきた時と同じになるように整頓した。
5月ってこんなに暑かったかなー
早くもバテ気味でございます




