第52話(^ω^)突き抜けろ大宇宙
52 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/12/19 (土) 21:00:00.00 ID:1399336
──"死にたくない"。思えば、私が釈迦の教えとやらに耳を傾けたのはそんな感情が始まりだった。
この世界に落ち一日目、"魔王"と名乗る異形の悪魔に会った。彼は「貴様は死なぬ」と言った。馬鹿を言うな、姿があるものは朽ち、形があるものは崩れるのが道理だ。私がそのように反論すると、魔王は大笑いして、その腕に持っていた大鎌で私の首を掻いだ。
だが、彼の言う通り私は死ななかった。「分かっただろう。貴様の道理など、この魔界では通らぬ」。魔王はそう言うと、私を城の地下牢へと放り込んだ。
次の日、あれは魔王の見せた幻覚では無いかと疑い、私は私の喉を、落ちていた石片で突き刺した。後頭部が一瞬だけ焼けるように熱く感じたものの、やはり私は死ななかった。
その次の日も、さらにその次の日も、私は自死を試みたが、遂にそれが成功することはなかった。そうして、私はこの世界では不死であることを悟ると、腹の底から笑いがこみ上げてきた。死苦から解放された喜びの笑みだった。だが、私はすぐに陽の光の当たらぬ地下に囚われたままだということを思い出し、絶望した。
一月ほど経って、獄卒を名乗る者が地下牢の扉を開き、私の前に現れた。彼は言った。「貴方を輪廻へと連れ帰ります」。私はそれを拒否した。再び死に苦しむ輪廻へと戻りたくなどは無かった。私は隠し持っていた石片を獄卒の目に突き刺し、その隙に命からがら魔王城から逃げ出した。
遂に不死と自由を手に入れた──私はそう思っていた。
やがて、私は人間の暮らす聖域とやらに辿り着いた。ここならば魔王の手も届かないらしい。私は比較的大きな都市に腰を落ち着かせると、そこで悠々と暮らすことにした。数ヶ月経て、数少ないが友人もでき、私はささやかな幸せを感じていた。
しかし、幸せは長くは続かなかった。
ある日、同じ転生者の友人が突然姿をくらました。
彼の家の隣人曰く、それは不可解な失踪であった。リビングのテーブルの上には料理が並んでおり、蝋燭は点いたまま、今まさに食事を始めようという状態だったという。そして、明らかに誰かが座っていた痕跡の残る椅子の上には、男物の衣服が一着脱ぎ捨てられていた。「こんなことありえない。まるで一瞬にして消えてしまったかのようだ」と隣人は述べた。
私は恐怖した。獄卒がどこからかやって来て、彼を輪廻へと引き摺り戻してしまったに違いない。そう思えて仕方がなかった。そして、彼の次は私に違いない。私は再び死の恐怖に怯えながら暮らすことになってしまったのである。
しかし、百年を経ても数百年を経ても、獄卒が私の前に現れることはなかった。それだけではない。私より後にこの世界へ転生してきた者が私よりも前に姿を消してしまうということが幾度かあった。
そして千年目、私は確信した。彼らが消えるのは獄卒のせいではなく、他の原因があるのだと。では、その原因とは何か──私の知っている事実は、彼ら転生者が消えるのは、この世界へ来てから数十年から百数十年であり、時代は違えど農民や小商人などの記録にも残らぬ平民であるということだ。
私はある考えに至った。彼らは現世での存在が完全に消失した為に、この世界での存在も消えてしまったのだと。
宇宙が無ければ私は存在できず、私が観測しなければ宇宙は存在しない。だが、その宇宙から外れてしまえば、私達の魂など、本来は存在すらままならないはずだ。そのようなが存在してしまっているのは、宇宙の疵瑕、不条理……現代人に分かりやすく言うのならば、"バグ"である。
そして、そんな転生者がこの世界で存在できるのは、彼らを観測している者が居る為だ。現世での人々の記憶に存在し続ける限り、転生者は生き続けるのだ。ただ、それは人々の記憶から転生者が忘れ去られれば、彼らの存在は否定され、消失する。
そう考えれば、私がこの世界でこれほど長く存在出来ている理由も見えてくる。現世では、私は未だ記録として存在している為だ。
我が名はルキウス・ユリウス・ウェリタス・ピウス。誉れ高きローマ帝国アッシリア属州総督である。平民とは違う歴史に名を刻む存在であるからだ!
……だが、未だ安心はできない。歴史や記録など、時代が下れば闇へと葬り去られてしまうかもしれない。戦乱で破壊されるかもしれない。そうなれば、私は消えてしまう……そんなのは嫌だ。私は消えたくない。
──方法が在るはずだ、私が真の不死になる方法が!私は死にたくない!
52 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/12/19 (土) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 異世界転生したけど外出自粛で魔王城の外には出られないようです ■
■ 第52話 突き抜けろ大宇宙 ■
52 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/12/19 (土) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 聖域:塔─頂上 ■
(;^ω^)「なるほど。急に回想モードに入ったと思ったら、そういうことだったのか」
(;・∀・)「貴方の理論は分かりましたが、それがどうなってこの世界の崩壊に繋がるんですか?」
「ふふ……私は遂に見つけたのだよ。真の不死となる方法を」( ω )
「勇者!『巨大大砲アストラ』の準備は出来ているか!?」( ω )
「え、あ……はい。一応砲弾を装填すれば後は発射スイッチを押すだけですけど。何に使うんですか?」 (・ω・`)
( ・∀・)「あ、その後ろのパラボラって大砲だったんですか」
(;・∀・)「って!そんな物騒な兵器で一体何をするつもりですか!?」
(;^ω^)「おい!まさか自暴自棄になって俺達ごと破壊するつもりじゃないだろうな!残念だけど砲弾になる奴なんか居ねぇぞ!?」
「何を馬鹿なことを!お前らと心中するつもりなど毛頭ないわ!言ったであろう『巨大大砲アストラ』は"次元をも突き破る"威力の砲弾を射出できると!」( ω )
(;・∀・)「次元……?」
(;・∀・)「まさか……あなた!」
「そう。私が導き出した答え、それはアストラによる次元移動。つまり」( ω )
「私自身が人間砲弾になることだ」( ω )
( ^ω^)「なんだと……?」
(,,゜д゜)「おい、あのオッサン。なんかパラボラアンテナによじ登ってんぞ?」
ξ゜⊿゜)ξ「わ、ほんと。酔っ払いってやーね」
川゜-゜)「お~い!危ないぞ!」
「ああ、大丈夫。アレ実はパラボラじゃなくて特殊な大砲なんだよ」(・ω・`)
从;'-'从「なおさら危なくない!?」
(;・ω・)「なんか自分が砲弾になるとか言ってましたけど」
(*゜-゜)「人間大砲って曲芸か何か?」
「え?そうなんですか?」(・ω・`)
(もしかして、神様は自分自身が砲弾となって魔王を倒そうと……?)(´・ω・)
(そうか。だとすればアホみたいな焼き肉パーティに参加していたのも納得できる。これは四天王を油断させる為の布石だったに違いない……ッ!) (´・ω・)
(つまり、神様はまだ打倒魔王を諦めてなんかいなかったんだ!)(´・ω・)
(くッ!僕が不甲斐ないばかりに……ッ!神様、ごめんなさい!クソハゲ耄碌ジジィとか声だけデカい無能とか思ってました!) (´;ω;)
(神様、貴方こそ真の勇者ですッ!)(´;ω;)
ξ;゜⊿゜)ξ「ちょ、何をいきなり泣いているのよ」
「いや、神様の心意気が胸に沁みてね……」(つω;`)
(神様!魔族は僕が適当にごまかしておきます!ご武運を!)(´・ω・)
52 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/12/19 (土) 21:00:00.00 ID:1399336
(;・∀・)「馬鹿な事は止めなさい!そんな事をしても、不死になれる保証なんてどこにもない!」
「黙れ!貴様が来た以上、私にはもう時間が無いのだ!」( ω #)
(;^ω^)「ちょっとちょっと。話が見えないんだけど、どういうこと?次元を超えるとどうして不死になるの?ホワイ?」
(;・∀・)「……彼は次元を超え、貴方たち生きていた元の世界へ帰ろうとしているのです。それが果たして可能であるかは別として」
(;^ω^)「無茶だな……つーか帰る方法あったのかよ」
(;・∀・)「そして元の世界に帰っても、彼はもう一度死に、輪廻からも外れていますので、彼は不死のまま。自分のことを知っている人が居る限り、彼は存在し続けることができるのです」
(;^ω^)「普通に生活してれば、誰かしらに認識されるもんだし、それって実質不死じゃね?」
(;・∀・)「だから彼が言ってるじゃないですか、真の不死だって!だけど、そんな不条理を放っておいたら、世界になにが起こるか分かりません!」
(;・∀・)「それに、こんな大事件が閻魔大王様にばれたら向こう10年はボーナスカットですよ!」
( ^ω^)「自分のボーナスよりも世界を心配しろ」
「はっはっは!滑稽滑稽!安心しろ!私が次元を突き抜ける余波でこの世界は崩壊する!ボーナスカットなど些細なことよ!」 ( ω )
(;^ω^)「さらっと衝撃の事実を言うなッ!」
「最初に言っただろう!」( ω #)
「もう汝らなどに構ってられるか!」( ω #)つ●<ポチッ
【装置"アストラ"起動……射出まで10秒】
(;^ω^)「うわッ!やりやがったアイツ!」
(;・∀・)「どうしましょう!発射まで10秒しかありません!」
( ^ω^)「大丈夫だ!漫画とか映画だと、こういう時の10秒間って実質10分くらいあるから!」
【9!8!7!6!5!4!3!2!1!】
(;・∀・);^ω^)「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッッッッッッッ!」
「いっけぇぇぇ!突き抜けろ大宇宙ォッ!」( ω )
【0!】
→つづく!
次回、(^ω^)「ノリと勢いだけでここまで来ました。後は突き抜けるだけです」




