第43話(^ω^)地獄よりの使者、再び
43 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/12/01 (火) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 魔界総合病院 ■
四天王が聖域に侵入し、(^ω^)が勇者と出会った頃……
(*゜A゜)「なぁ、ホントにウチはこの喋り方のままでええん?」
( 'A`)「当たり前だろ。口調で何が変わるってわけでもなし」
その日も、のー姫は入院中の魔王の世話をしていた。ただ、以前と異なる点が一つある。それは、彼女が父親の前でもエセ関西弁を使うようになったことだ。
姫がこのような口調になったのは、母親と共に実家に帰っている間、一緒に生活していた祖父のエセ関西弁がうつってしまったからであるが、彼女が魔王の前で関西弁を使わなかった理由は、その"祖父"の存在が関係していた。
(*゜A゜)「でもお父は、じいちゃんのこと嫌いなんやろ」
(;'A`)「んなワケ……なんでそうなるんだよ」
口では言うが、魔王の顔は明らかに厳しくなっていた。関西弁を使わなかった理由、それは父と舅の仲がよろしくなく、関西弁で話すと父はいい気分がしないだろうという、彼女なりの気遣いであった。子どもとは、案外こういった身内のいざこざに敏感で、健気に気を遣うものなのである。
(*゜A゜)「だってじいちゃん、ニンゲンやし。言っとったで『魔王君とはちょっと距離を感じるんや』って」
(;'A`)「はぁ……俺がニンゲンってだけで人を嫌いになるわけが無いだろ?」
(*゜A゜)「ホントに?じいちゃんのこと好き?」
(;'A`)「うん……す、すきだよ?」
(*゜A゜)「嘘や!その目は嘘をついとるモンの目や!」
(*゜A゜)「怒らんからホントのキモチを言ってみい!」
(;'A`)「……」
魔王は娘の強い言葉に肩を落とし、やがてポツリと呟いた。
(; A )「……お義父さんが悪いんだ……」
(*;゜A゜)「え?」(ウチなんか地雷を踏んでしもうたか?)
(#'A`)「お義父さんが『フー様は羅偶那絽Ⅸで一番じゃない』とか言うから……ッ!」
(*゜A゜)「は?」
(#'A`)「あれは5年前の大晦日だった……ッ!」
( 'A`)「ほわんほわんほわんほわわわぁ~~~~~~ん」
(*゜A゜)「は?」
43 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/12/01 (火) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 回想 ■
──俺とお義父さんは両方羅偶那絽Ⅸの大ファンだった。
──毎年、大晦日は家族揃って紅白歌会戦を見るのが恒例だったよ。
(*'A`)「羅偶那絽Ⅸが今年の大トリだそうですよ!」
「いやぁ、彼女らもこんなに立派んなって……感激もひとしおやで」(´ω`舅)
──その年、羅偶那絽Ⅸはアーティストの名誉である歌会戦の大トリに選出され、俺達は大意に盛り上がっていた。
──俺達はサイリウムを両手に、今か今かとテレビの前で待っていた。
──そして遂に、その時が来た。
(*'A`)「ウオオオオッ!キタキタ!羅偶那絽Ⅸだ!」
「ウオオオオッ!」(´ω`*舅)
(*'A`)「ふぅー!やっぱフー様が一番だぜ!」
从†'-'从:フー様。羅偶那絽Ⅸのリーダー。毎回舞台上でギターを叩き壊すせいで、つい先日スポンサーの楽器メーカーから契約を打ち切られた。
「やはりヒーちゃんが一番かわいいのう!」(´ω`*舅)
ノハ†゜ー゜):ヒーちゃん。羅偶那絽Ⅸのベース担当。ギターの弦を2本引きちぎった物体をベースと主張している。
( 'A`)「あ?今なんつった?」
「そりゃこっちのセリフじゃボケカス」(´ω`舅)
──解釈違いだった。
(#'A`)「羅偶那絽Ⅸで一番可愛いのはフー様なんだよ!」
「アホ抜かせ!ヒーちゃんがいっちゃん可愛いに決まっとろうが!」(´ω`#舅)
──その日、俺達は夜が明けるまで口論を続けた。もはや歌なんて耳に入っていなかった。
(*゜-゜)「馬鹿じゃないの?先寝るわよ」
「あらあらまぁまぁ」(゜、゜姑)
──結局、最後まで俺達が分かり合うことは……無かった。
43 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/12/01 (火) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 魔界総合病院 ■
('A` )「コレが、俺とお義父さんの不仲の真相だ」
(#゜A゜)「心底アホらしいわ!」
(*;゜A゜)「配慮してたウチが馬鹿みたいやんけ!」
('A`;)「まぁ、俺も正直馬鹿なことしたなって思ってる。大晦日なこともあってだいぶ酔ってたしな……」
(*;゜A゜)「そう思っとるなら謝ればええやん!」
('A`;)「こういうのはねぇ、時間が経つとなかなかねぇ……」
(*゜A゜)「……分かった!なら今から爺ちゃん家行くで!」
('A`;)「へあッ!?」
(*゜A゜)「そうやってうじうじしても何も変わらんやろ!?だったら会いに行って仲直りするんや!どうせ病院に居ても暇やろ!?」
('A`;)「いや、一応俺は重病人だし……」
──魔王が娘の言動に仰け反っていたその時、病室の扉がガラガラと大きな音を立てて勢いよく開いた。
『おはよーございます!』(・∀・ )つ|
(;'A`)「そっき、いや腹空……いや、片原さん!?」
『そうです!お久しぶりにお見えしました片原です!』(・∀・ )
──そこに居た人物は、魔王の天敵、地獄よりの使者、片原有蔵である。
(;'A`)「なんでここに?地獄に帰っていたんじゃ……」
『ええ!有休がたまりにたまっていたので、新人の腹空君の教育を兼ねて彼を一人にしてみましたが、案の定ポカをやらかしてくれたようですね彼は!だから私がここに来るハメになりました!』 (・∀・ )
(;'A`)「いや、新人に一人で仕事させんなよ……鬼か」
『もとより獄卒なので鬼ですが』(・∀・ )
『それで魔王殿。転生者を逃してしまったというのは本当ですか!?』(・∀・ )
( 'A`)「あぁ。人間に一本取られてな。このザマだ」
『なるほど無様ですね!ところで人間と言うのは、あの"聖域"とかいう場所に住んでいるという?』 (・∀・ )
( 'A`)「あぁ。今、四天王が転生者と側近を取り返しに行っているよ」
『ということは"聖域"に入る手立てが見つかったということですね?』(・∀・ )
『であるならば、行きましょう!』(・∀・ )
(;'A`)「…………一応聞くが……どこに『無論、聖域にですよ!』(・∀・ )
『自分の不始末は自分で片付ける!地獄の掟です!』(・∀・ )
(;*゜A゜)「ちょっと待ってぇや!お父は重病人なんやで!?」
(;*゜A゜)「病室の外に出すなんて何考えとんのや!?」
('A` )「お前は一分前の自分の言動をよく振り返ってみろ」
(;'A`)「しかし、聖域に入る為に必要な道具は今まさに四天王が使っていて、ここには無いんだ」
『心配ご無用!』(・∀・ )
片原が指パッチンをして口笛を吹くと、再び病室の扉が開き、彼の部下である腹空無臓が入ってきた。彼の左目には"何故か"大きな引っかき傷があった。恐らくは失態を犯した罰だろう。地獄の掟とは恐ろしいものである。
[こんなこともあろうかと、テキゴー燈を大賢者さんに一つ貰っておきました!]
(・∀メ )つ|
『流石腹空くぅん!さぁ、これで聖域に行けますよね!?』(・∀・ )
(;'A`)「え、ちょ、そもそも俺は魔力が無くて殆ど動けないんだけど」
『だろうと思って、私もとっておきの道具を持ってきてます!』(・∀・ )
彼は目を見開きながらハハハハと高らかに笑う。その気味の悪い笑いを冷ややかに見つめながら、魔王は問い返した。
(;'A`)「それは……アンタが押している車椅子のことか?」
そう、どこにも書いていなかったが、片原さんは今回登場した時から車椅子を押していたのだ。きっとこういうのを叙述トリックと呼ぶのであろう。
『正解です!さぁ、車椅子に乗って敵地へGOデス!』(・∀・ )
片原は電光石火の動きで強引に魔王を車椅子に座らせると、病室から飛び出し、廊下を駆け出した。
「GOGOGO!」( ・∀・)(;'A`)「ちょ、待って速い!早い!」
二人と展開に取り残されたのー姫は、走り去る二人の後ろ姿を病室から眺め、大きなため息を吐いた。
(;*゜A゜)「鬼や。ほんまモンの鬼やであの人……」
「さて、姫様も行きますよ」(・∀メ )
(;*゜A゜)「ウチも?なんで?」
「片原さんが言うには、きっと貴方のお力が必要になるとのことです」(・∀メ )
(;*゜A゜)「?……まぁよう分からんけど、お父一人やと心配だし、付いてくわ」
「ありがとうございます」(・∀メ )
そんなこんなで魔王と片原を追って病室を後にする二人。廊下を歩いている途中、手持ち無沙汰になった腹空は、なんとはなしに彼女に話しかけた。
( ・∀メ)「ところで、姫様って魔王様の前だと口調変わりますよね。なんか理由でもあるんですか?」
(*゜A゜)「なんでもない。口調変えるのももう止めたんよ」
( ・∀メ)「あ、そうなんですか?」
(*゜A゜)「うん……はぁ、ホント……アホらし」
( ・∀メ)「?」
43 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/12/01 (火) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 異世界転生したけど外出自粛で魔王城の外には出られないようです ■
■ 第43話 地獄よりの使者、再び ■
43 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/12/01 (火) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 聖域─神殿 ■
(´・ω・)「神様、言われていた通り、魔王城に囚われていた人間を連れて来ました」
「あぁ、そうか、お前の横に居る妙な気配はその者だったか」( ω )
(;^ω^)「どうも」
──ここからは、(^ω^)の心の声と共にお送りいたします。
「汝はどこから来た?」( ω )
(;^ω^)「はい?」
──いや、どこから来たとかそんなんよりもさ、まず話すべきことあると思うんだけど。なんでじいさんには顔がないの?なんで顎髭はもっさもっさ生えてんのに顔と髪はツルッツルなの?
(´・ω・)「日本、という国らしいです」
「ふむ……またニホンか。最近多いな」( ω )
( ^ω^)「え?日本を知ってんですか?」
──なんで日本知ってんだよ。神様は全知全能ってか?
「あぁ、最近の"シフト"は日本人……それも10代の若造ばかりだ」( ω )
(;^ω^)「マジで異世界転生ラッシュ起きてんのかよこの世界……」
──マジで異世界転生ラッシュ起きてんのかよこの世界
(・ω・`)「まぁ、かく言う神様も、元々は君たちの世界から来た人間なんだけどね」
( ^ω^)「え?マジで?じゃあ神様じゃなくね?」
──ほらやっぱり最初に言ったとおりじゃん。この人神様じゃなくてただの不審者だよ。神様なんて名乗る奴はクスリ吸ってるかクスリ打ってるかの二択しか無いの。まぁ本人の前では口が裂けても言えないけど。
「神というのは、この聖域のトップを意味する言葉に過ぎん」( ω )
(´・ω・)「長老みたいなものだよ。特に神様はこの世界に来てから、すごい長生きをされていて、皆からの尊敬も厚いんだ」
( ^ω^)「へぇ~、何歳くらいになるんです?」
──あ、そうなんだ。神様は称号ってことね。まぁ"聖域"なんて大層な名前の国に住んでるんだし、元首がそう名乗るのも不思議じゃないかもね。皇帝崇拝的なね。つーかこの人、転生先の国で成り上がって国民に崇拝されるとかガチ転生者やんけ。初期に転生されたのかな?
「さぁ、爺になると年を数えるのも馬鹿らしくなってくるんでな」( ω )
( ^ω^)「そんなもんスかぁ……あ、じゃあ神様はどこ出身ですか?」
(;^ω^)「日本人には……見えないけど」
──日本人に見えないっつーか、顔が無いから何人にも見えないんだけどね。
「ローマ」( ω )
( ^ω^)「あ、イタリアの人ですか?」
( ^ω^)「えっと……ボーノボーノ?」
「いや違う」( ω )
( ^ω^)「あれ、ローマってイタリアじゃなかったでしたっけ?」
「ローマ帝国」( ω )
( ^ω^)「あん?」
「私の出身、ローマ帝国」( ω )
( ^ω^)「……」
(;^ω^)「…………」
(;^ω^)「……………………」
( ^ω^)「なんでアンタ顔が無いん?」
→つづく!
次回、(^ω^)「異世界転生した元ローマ皇帝だけど質問ある?」




