第33話 バーボンハウスで働く炒飯専門料理人だが、誰も炒飯を注文しないどころかオムライスを作れと言われて発狂!やっぱり炒飯を作ってくれと頼んでももう遅い!自分だけの力でチャーハニストになってやる!
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/11/13 (金) 21:00:00.00 ID:1399336
それは、ある日のことだった──
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/11/13 (金) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 魔王城─地下牢 ■
(`・ω・)「チャーハンつくるよ!」
「チャーハン?いや、いい。それよりダルマ」('A`)
(`・ω・)「……チャーハンつくるよ!」
「私、主食とお酒は別がいいんです。ビールでお願いします」(・∀・ )
(;`・ω・)「チャーハンつくるよ!」
「昨日食ったし、今日はええかな……」(゜A゜*)
(;`・ω・)「チャーハンつくらせろよ!」
「飽きた。卵と米あるならオムライス作ってよ」(^ω^ )
(`;ω;)「ヂャーバン"ン"ン"ン"ン"ン"ン"ン"ン"ン"ン"ン"ン"ッ!!!!!」
彼の哀しき雄叫びが、地下牢に響く。
何故、誰も自分の作ったチャーハンを食べてくれないのだろうか。
あんなに美味しいのに、あんなに美しいのに……しかし、どれだけ彼が悲痛に叫ぼうとも、彼以外の者は皆、素知らぬ顔をしている。なぜなら彼はこの店に来てから毎日同じ理由で発狂しているから。皆、もう慣れたのだ。
しかし、そんな彼の堪忍袋は、既にいっぱいいっぱいだったようだ。
(;ω;´)「ごんな店出でっでやる”ぅぅぅぅ!!!」
彼は滂沱の涙を流しながら、地下牢を飛び出した。
──畜生、自分の力はこんなものでは無いのに。自分のチャーハンは絶品なのに。何故ここに居る奴らは分かってくれないんだ。
いや、もういい。こんな場末のバーなど、こっちから出てってやる。後で俺の力が必要になったとしても、もう遅い──
そんな怒りの感情を、心に滾らせて。
(;ω;´)「くそがあああああ!!!」
「遅くなる前に帰ってくるのよ~」(^ω^ )
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/11/13 (金) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 異世界転生したけど外出自粛で魔王城の外には出られないようです ■
■ 第33話 魔王城のバーボンハウスで働く炒飯狂いの料理人だが、誰も炒飯を注文しないどころかオムライスを作れと言われて家出を決意!──やっぱり炒飯を作ってくれと言ってももう遅い!自分だけの力で炒飯厨王になって、ついでにスローライフとか送っちゃったりしちゃったりしちゃうもんね!── ■
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/11/13 (金) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 地下鉄魔王城駅前繁華街 ■
──バーボンハウスから逃げ出したチャーハン名人は、繁華街の中華料理屋を訪ね回り、雇ってもらえないか頼み込みました。
(`・ω・)「チャーハンつくるよ!雇ってくれ!」
「バイト?いや、人手は足りていてね。他をあたりな」(・ハ・ )
──しかし……
(`・ω・)「チャーハンつくるよ!雇ってくれ!」
「炒飯なんて誰でも作れるアル。要らないネ」(´ハ` )
──何件回ろうと……
(;`・ω・)「チャーハン以外もつくるよ!雇ってくれ!」
「就労ビザ持ってる?」(゜ハ゜ )
(;`・ω・)「……いや……」
「不法入国は駄目ヨ」(゜ハ゜ )
(;`・ω・)「……はい」
──彼を雇ってくれる場所は……
(;`・ω・)「何でもつくるよ!雇ってくれ!」
「じゃあオムライス作ってくれる?ウチ、洋食屋ね」(^ハ^ )
(`;ω;)「オムライスだけはぜってぇ作らねぇッ!!」
──どこにもありませんでした。
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/11/13 (金) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 地下鉄魔王城駅前 ■
(`;ω;)「シクシク……シクシク……」
──チャーハン名人は、ついに駅前で泣き出してしまいました。すれ違う人々が不審な目で彼を見ます。しかし、彼はそんなことさえ構わず慟哭します。
──まるで、世界のどこにも自分の居場所がないように思えたのです。
「おじちゃんどうしたの?」*(' ' )*
──その時でした。一人の少女が彼に話しかけてきました。
「こんな所で大声出してると職質されるよ」*(' ' )*
(`;ω;)「うう……それもそうだ……」
──彼女の言葉を受け、正気を取り戻した彼は涙を抑えて彼女に礼を言いました
「大のオトナが泣くなんてよっぽどのことがあったんだね」*(' ' )*
(`;ω;)「実はな……」
「別に話してくれなんて言ってないけどね」*(' ' )*
──チャーハン名人は、彼女の言葉を無視し、つらつらと自分の境遇を話しました。要約するとこの話のタイトルの通りです。
「当たり前のように語られてるけど炒飯厨王って何?」*(' ' )*
(`・ω・)「魔界に古く伝わるチャーハンの達人のことだ」
(`・ω・)「我が老師曰く、"その存在はまさしく神に等しく、YOUTUBEに炒飯動画を挙げても、ただの一つも低評価が付かない程である”……と」
「もうすでに十分に凄さは伝わったよ」*(' ' )*
(`・ω・)「炒飯厨王になるには、勿論技術や知識が必要……
しかしいちばん重要なのは、"至高のレシピ”だ」
「"至高のレシピ"?」*(' ' )*
(`・ω・)「"その具、青き衣をまといて金色の米に降り立つべし”……伝承によると、これがそのレシピなのだが……未だ解明はされていない」
「金色の米は炒飯だろうけど……青色の具材って何だろ?」*(' ' )*
(`・ω・)「私は老師と約束したのだ!このレシピを解読し、料理人としての腕を磨き、そして炒飯厨王になると!だから、私は諦めるわけにはいかないのだ!」
(`・ω・)「しかし、元職場の奴らは、そんな私の崇高な夢をないがしろにして、やれ回鍋肉を作れだ、やれ天津飯を作れだ……」
(`・ω・)「挙句の果てには、オムライスを作れと言ってきた!コレには流石の私も堪忍袋の尾が切れた!」
「天津飯とオムライスってほぼ一緒じゃない?」*(' ' )*
(`・ω・)「違う!似ていても、そこには海と山ほどの違いがあるのだ!」
──少女はやがて困ったようにため息をつくと、目の前のチャーハン狂に訊ねました。
「それじゃ、私の家に来る?」*(' ' )*
(`・ω・)「え?」
「私のパパとママはね、カフェをやってるんだけど、
丁度いま、料理人さんが独立して止めちゃったの」*(' ' )*
「流石にチャーハンばっかりは作れないけど、
おじさんの気持ちを尊重してあげることはできるよ」*(' ' )*
「パパも、ママも常連さんも、みんないい人だから……」*(' ' )*
(`;ω;)「い、いいのか?こんな俺が……チャーハン作っても……?」
「うん!」*(^ ^ )*
(`;ω;)「う、うわぁああああ!ありがとぉぉぉおおお!」
「泣かないでよ。ホントに通報されちゃうよ?」*(' ' )*
──彼女の言葉に、チャーハンバカはピタリと泣くのを止めました。そうして、彼女の両親が経営するカフェへと向かいました。
──懐深いオーナー、美人のウェイトレス、お転婆な少女に、個性豊かで優しいお客様達……そんな彼らと送る木漏れ日の下の日常。彼の心には、これから始まるであろうカフェでのスローライフが、まじまじと浮かんできました。
(`・ω・)(コーヒーに合うチャーハンを開発せねばならんな)
──しかし、彼には一つ忘れごとがあったのでした。
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/11/13 (金) 21:00:00.00 ID:1399336
■ カフェ ■
「申し訳ないけど就労ビザを持ってないとウチでは雇えないよ」(□-□;)
(`;ω;)「ヴぉぉぉぉおおおおおお"お"お"お"お"お"お"お"ッ!!!!!」
──現実は非情でした。法律の壁が彼の前に立ち塞がります。そもそも忘れてはならないのは、コイツは元々この国の姫を誘拐しようと企んでいた敵側の人間だということです(チャーハンに目覚めて未遂に終わりましたが)。日本であれば外患誘致で死刑になってもおかしくありません。
「おじちゃん、もっと真っ当に生きなよ」*(' ' )*
──少女の言葉が心に刺さります。そんな、嗚咽するチャーハン名人の肩を、喫茶店のオーナーが優しく叩きました。
「雇ってはあげられないけど、喫茶店のディナー、食べていくかい?」(□-□ )
(´;ω;)「……え?」
「職場から逃げてきたんだろう?お腹、減っているんじゃないかい?」(□-□ )
(´;ω;)「……」
──バカはお腹を擦りました。確かに、今日は何も食べずに街中を歩き回っていました。それに気づくと、みるみるうちに空腹感が増大しました。
(´;ω;)「ありがとう、ございます……」
──彼がそう言うと、オーナーはにっこりと微笑んで、厨房へと踵を返しました。
「ま、僕はあんまり料理は上手じゃないけどね」( □-□)
「あ~だれか手伝ってくれないかなぁ……」( □-□)
(`・ω・)「!!」
(`・ω・)「オーナー!私に手伝わせて下さい!」
──チャーハン名人はすすんでオーナーの後を追いました。今日はじめて、彼は、誰かに必要とされている気がしたからです。
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/11/13 (金) 21:00:00.00 ID:1399336
■ カフェ─厨房 ■
(;`・ω・)「こ、これはッ!」
──数十分後、チャーハン名人は出来上がった料理を見て、驚愕しました。
「これ?一度に沢山作れるし、簡単だからね。よく店でも出してるよ」(□-□ )
「ほら、食べてごらん。君が手伝ってくれたんだ。きっと美味しいよ」(□-□ )
──彼は恐る恐る料理を口にしました。お米の甘みと、具の旨味、スパイスの塩味が、口の中で優雅なハーモニーを生み出します。
(;`・ω・)「旨いッ!旨すぎるッ!」
「うん、ホントだ。いつもより美味しくなってる」(□-□ )
(`・ω・)「これこそ、私が求めていた"至高のレシピ"に違いないッ!」
「……え?至高?なに?」(□-□;)
(`・ω・)「申し訳ない!ご主人!私には向かうべき場所ができた!」
「この短時間で何が!?」(□-□;)
(`・ω・)「この御恩!いずれ返します!だから、今は……」
(・ω・´)「さらば!」
「え?あ、うん。じゃあ」(□-□;)
「どうしたのパパ、大声出して」*(' ' )*
「あれ?おじちゃんは?」*(' ' )*
「帰ったよ。多分……彼が居るべき場所にね」(□-□ )
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/11/13 (金) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 魔王城 ■
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」(`・ω・)
──"至高のレシピ"を手に入れた彼は急ぎました。急いで地下牢へと向かっているのです。
「至高のレシピ手に入れたぜヤッホおおおおおッ!」(`・ω・)
「これで奴らをギャフンと言わせてやらああああ!!」(`・ω・)
──彼は、至高のレシピで作った料理を憎きアホ面(^ω^)どもに食わせてやり、いかに自分が崇高で優秀で強大で、対照的にいかに彼らが愚かであるかを理解させてやろうと画策しているのでした。
■ 地下牢 ■
──バンッ!大きな音をたてながら、チャーハン名人が地下牢の鉄扉を開けました。
「もぉ~アンタ遅くなるなら遅くなる言うて電話しなさい」(^ω^ )
(`・ω・)「チャーハンつくるよ!」
「いや、だからチャーハンは……」(・∀・ )
(`・ω・)「いつものチャーハンと違う!今から作るは"至高のチャーハン"!」
「"至高のチャーハン"!?」(゜A゜*)
(`・ω・)「最強最旨のチャーハン!ほっぺ落としてアホ面晒すヨロシ!」
「ほう……それは気になるな……」('A`)
「んで、どんなチャーハンなの?」(^ω^ )
(`・ω・)「できてからのお楽しみネ!おてて洗って待ってな!」
──彼の思惑通り、バカどもは"至高のレシピ"に興味津々のようです。彼は腹の中で笑いながら、ご自慢の中華鍋を取り、早速料理に取り掛かりました。
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2020/11/13 (金) 21:00:00.00 ID:1399336
■ 魔王城──地下牢 ■
(`・ω・)「おまちど!これ"至高のチャーハン"!味わって食べるヨロシ!」
「こ、これは……!?」(・∀・ )
「うわ、美味しそー!」(゜A゜*)
──彼らは目の前に現れた"至高のレシピ"に目を輝かせました。それは、いつも出てくる彼のチャーハンとは、全く異なるように見えました。
──ぱくり。チャーハン名人がよそった料理を口に運ぶと、彼らの顔は一気に幸せそうになり、口々に感嘆しました。
「んめッ……んめッ!」(^ω^ )
「んー美味しい!」(゜A゜*)
「なかなか、お酒にも合いますね」(・∀・ )
(`・ω・)「そうだろう!"その具、青き衣をまといて金色の米に降り立つべし”
ついに私は"至高のレシピ"を解明したのだからな!」
(`・ω・)「"青き衣"を纏った具材とは、即ち"オマール海老"!」
(`・ω・)「オマール海老の出す海鮮の旨味と塩味は、濃厚かつ上質!
さらに、大ぶりの身が食べごたえを生む」
「なるほど、オマール海老の中にはオマールブルーと呼ばれる、
色鮮やかな青色の甲殻を持つ個体が存在する」('A`)
「"青き衣"とはその青い殻を指していたのか!」('A`)
「んめッ……んめッ!」(^ω^ )
(`・ω・)「ご名答!そして、"金色の米"とは"番紅花"を使った米だ!」
「"番紅花"?」(゜A゜*)
「んめッ……んめッ!」(^ω^ )
(`・ω・)「即ち、サフランライスだ!サフランは豊かな風味で知られ、
その香りは魚介類の旨味と非常にマッチする!」
(`・ω・)「オマール海老とサフランライスを使った一風変わった炒飯!」
(`・ω・)「これこそが"至高のレシピ"だったのだ!」
「んめッ……んめッ!」(^ω^ )
──得意げに語るチャーハン名人、しかし、そんな戯言などもう誰も聞いていません。皆、目の前の"至高のレシピ"に夢中だったからです。
──しかし、彼も悪い気は全くしませんでした。なぜなら、彼もまた料理人の端くれ。自分の作ったものを皆がこんなにも美味しく食べてくれるのが、心底嬉しかったのです。
──やがて、中華鍋いっぱいに作った"至高のレシピ"は、空になりました。
「美味しかった!」(゜A゜*)
(*`・ω・)「ありがとよ!」
「こんなに美味しいならメニューに追加したらどうです?」(・∀・ )
(;`・ω・)「いやぁ……そうしたいのは山々だけどよ。
サフランもオマール海老もバカ高いんだよ。
まぁ、だからこそ伝説のレシピなんだろうけど」
「俺がお金出してやるよ。こんな旨いモンがいつでも食えるんだからな」('A`)
(*`・ω・)「え、本当ですか!?ありがとうございます!」
──チャーハン名人は喜びました。あんなに自分を卑下していた奴らに、ついに自分を認めさせることができたのした。
「……ふぅ~食った食った」(^ω^ )
(`・ω・)「どうだ!?オムライスの1億倍旨かっただろう!?」
(`・ω・)「この"至高のチャーハン"はッ!」
「え?これパエリアでしょ?」(^ω^ )
(`・ω・)「えっ?」
(`・ω・)「……」
(`・ω・)「……えっ?」
→つづく
炒飯厨王への道は未だ遠く……
次回、(^ω^)「青木まりこ現象がいまいちピンとこない」




