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27 卒業?

 27 卒業?




 妹たちは9人とも『ご懐妊』して、カキツバタも妊娠し、昨日はアヤメまでつわりが来たと言うのに、俺は募ると言うか、滾ると言うのか、エロませガキ路線まっしぐらであった。


 そう言えば、カキツバタはいつも包んでくれるような夜を演出してくれて、とても良かった。

 姉のアヤメの方は恥ずかしがって少女のようだったが、やはりとても良かった。


 俺の中の一部のクズは満足感を表しているのだが、どういうわけか俺自身は童貞男子高校生並に、まるで自慰行為を繰り返した挙げ句に、返って本物の女が欲しくなるような不満感が募っているのだった。

 やっぱり、童貞なんだな、俺。


 今も部屋には6人の女たちがいて、下半身丸出しで並んでいるのだが、できれば全員とやりたいと思っている。

 いや、普段もそんな風には考えるのだろうが、普通は妄想を妄想だと思っているというか、わきまえている部分があるのに、今はマジで突っ張り、暴走し、後先考えず、人生を終わらせそうで怖いのである。


 ちょっとばかり、異常であると自覚し始めている。


 とにかく、どうしてこんなにやりたいのだろうか?

 誰でもいいとか、やらせてくれればそれでいいとか、我ながらクズ過ぎて呆れている。

 もう、丸出しの下半身に我慢する必要などないのではないだろうか?


 けれど、強姦というのは90%以上が顔見知りの犯行だという。

 それもそのはずで、顔見知りでもないものがやらせてくれるなんて、男でも思っていないし、女なら考えたこともないだろう。

 ならば何故、顔見知りが強姦になるのかと言えば、女が嫌だと思えば強姦だからである。


 例えば、告白してOKしてもらい、デートを何度か重ねたとしても、女が「まだいや」なら強姦である。

 何度もデートしてキスをしたとしても、お互いが好きでロマンチックな雰囲気で幸せな恋人をしていたとしても、女が結婚するまで嫌だと思っていれば強姦である。


 何にもしないから、などと言って恋人をラブホに誘い、お互いが裸で抱き合っていたとしても、先っぽを入れて、女が嫌がれば強姦である。

 いや、そこまで行けば強姦ではないだろうというのは甘いのだ。


 法的には罪には問われないかもしれないが、心情的には女は、何もしないという恋人の言葉を信じ、尊重して、より打ち解けられたらとか、ロマンチックに過ごしたいとか思って、ある程度は許してあげようと思って、優しさから付き合ってくれたのだから、そうした先っぽだけでもというのは、女にしてみれば赦されざる裏切り行為であるから、強姦である。


 特に処女は、何処までしていいのか良くわかってないから処女なのであり、それをここまでOKなら最後までOKだろ、とか思うのは男の勝手な思い込みであり、強姦である。


 そう、男の勝手な思い込みはすべて強姦であるから、せめて土下座して『やらせてください』とお願いすべきなのである。

 それで駄目だったら、仕方がないだろう。

 翌日によく謝ってから、土下座して『やらせてください』と再びお願いするしかない。


 継続は力なり、と申すではないか。


 但し、男子がクラスの上位3人の女子に夢中になるように、女子もクラスの上位3人の男子にしか興味はない。

 自分が(客観的に)上位3人に入っていなければ、上位3人は諦めた方がいい。


 けれども、下半身をよく見れば、上位3人に固執することはないことがわかるだろう。

 気持ちよさは一緒である。

 相性は下半身の方が重要だし。


 できれば、中位の真ん中くらいにいる下半身を選ぶべきである。

 下位は警戒心が強く、しかもアイドルグループとかのイケメンを夢見ているので、ある意味で上位よりも手強い。

 だが、中位くらいだと、


『私だって、ソコソコには可愛いわよねぇ。本気出せばもう少し上だと思うし』


 などと思っているから、少なくとも『告白イベント』のひとつやふたつはあってもおかしくないと期待している。

 そこで、自尊心というか女のプライドを刺激するように告白イベントを行い、当然『ごめんなさい』であっても、意識してもらえるから、しつこくして嫌われないように配慮しながら、例えばさりげなくグループ下校とかできるように努力し、時には、


『今日は暑いからアイスコーヒーでもどう? みんなにおごるよ』


 とか何とか言って、先行投資して、


『小寺くんって、話すと結構いい奴ね。気前もいいし、美陽みよはどう思う?』

『悪い人じゃないけど……』

『美陽にその気がないんなら、私、ちょっと付き合ってみようかな』

沙樹さき乗田じょうだくんが好きなんじゃなかった?』

『でも、乗田くんは人気あるし……(クラス1) いつまでも夢見てる訳にはいかないしね。

 それに、彼氏もできないまま学生生活が終わるのもちょっとねぇ』

『そうよねぇ』


 とかの会話が起きれば、美陽か沙樹とお付き合いできる可能性もでてくる。

 もしかしたら、両方ともとか?


 きゃほう!


(久しぶりに見ても、気持ち悪いものね)


 えーと。 


 それで、クズは目の前に下半身丸出しの女が並んでいても、(見るだけで)何もできないのである。


「この夏で、我々はお暇させていただくことになります」

「卒業になりますね」


 キリ、ハギ、ススキ、ボタンのベテラン女中4人が頭を下げる。

 ランとオミナエシが立会人というのか、在校生代表なのか、次の筆頭格になるのだろうか、脇で控えている。


故郷むらに帰るのかい?」

「はい、もうそろそろ限界なので、相手を選ぶ時間もありませんが、誰かを選ぶことになりそうです」


 限界と言えば、俺も限界ぽい。

 俺は誰かを選ぶことはできそうもないのだが、選ばなくても相手を選ぶことができる立場が羨ましい。

 いや、女って、拘らなければいくらでも相手はいるものなのか。

 それが、一番、羨ましい。


「痛むのかい?」

「はい、かなり……」


 4人とも15か16歳である。

 この世界では、最悪、死んでもおかしくないのだった。


「水を出すだけなら、俺でもできるんだけどな」

「伯爵様の御紋章をいただければ光栄ですが、ユキ姫様が女御にしてくださいませんでした」

「ああ、ユキナはちょっと忙しかったから、考えてないんだと思うよ。どうだろう、希望者は紋章なしで水だけ出すというのは? 相手を選ぶ時間的余裕ぐらいはできると思うけど」

「ええっ! そんなことが可能なんですか?」

「信じられません!」

「本当は御紋章ができてしまうのでは?」

「奴隷紋でもいい、やって欲しいです」


 俺の特技オリジナルわざなのか。男なら誰でもできるのか知らないが、水を出すだけなら、取りあえずリーメで実証しているから大丈夫だろう。

 ミアもだったか? 取りあえず実績はあるはずである。


「キリ、お前からだ。いいな」

「えっ、はっ、はいぃ」


 俺は相手に考える時間を与えないで行動を起こした。

 キリは小柄だが、有能な秘書のようにすました顔をしているせいで大人っぽい。

 狼狽えて赤くなる方がレアなので、何となくいけないことをしているようで萌える。

 少し強引に抱き寄せた。

 キリは驚いて少しだけ口を開けていたので、俺は強引に割り込んで舌を絡めた。


「うっ、ううっ」


 ついでにセーラー服の下から手を入れて胸を揉むと、ビクリと動いてから涙を流し、両腕を俺の首に回してきた。

 キリは初めてなのに、ベテランらしく対応して見せた。

 だが、そこまでだった。


「ああぁ、うあぁぁんん」


 キリの水が滴り落ちていく。

 首を振り、イヤイヤをしながらも止まらない。

 オミナエシがランに何かを指示している。

 対応が早いのは、流石に次期ツートップである。


 俺は崩れ落ちるキリをベッドに寝かし、確か股間に手拭いを、って、この部屋には手拭いがないんだった。

 すぐにランが手拭い山盛りとタライを持ってきた。

 早速だが、一本受け取って、キリの下半身を覆っておく。

 本当は拭ってあげたかったが、3人ほどがフリーズして待っているので、引かれたりする前に先に進むことにした。


 ハギはいつもの余裕がなく、当事者になると意外と打たれ弱いのではないかと思った。

 だが、ハギは女中の中でも目立つ容姿で、男の下心をくすぐりまくるタイプだから、俺はキスしながら、チャンスがあれば触ってみたいと思い続けていた身体を遠慮せずに触りまくることができた。

 相手の意思は確認していないが、おっぱいを揉み、お尻を揉んだ。

 予想通り、凄くいいものだった。


「あー、あぁー、あっあっあぁー」


 ハギはビックリするくらい積極的な反応をし、床を濡らし始めた。

 どうやら、本当に男心をくすぐるタイプのようだ。

 本気で喜ぶ女は、はしたないのかもしれないが、男には嬉しいものではないかと思う。

 おじさん、お買い得ですよ、と言い触らしたい。


 俺はハギも優しくベッドに寝かし、再びランから手拭いを受け取って、ハギの女の子の部分を隠した。

 ランは赤くなって、身体を少し震わせている。


 ススキはずっと厨房を担当していたから、こういうシーンは苦手だろうが、今回は当事者である。

 俺はススキが自分を取り戻さないうちに攻めることにした。

 両肩を掴んで半ば無理矢理キスをする。

 両目が俺に焦点を結んだときに、唇を割って侵入する。

 舌で舌をまさぐると、オドオドっとした感じで応えてきたので絡みとってから、片手でお尻を揉んでみる。

 しっとりとした肌と、硬めの弾力が処女を思わせ興奮する。


「ふぁ、ふぁ、はぁーんんん」


 ススキの両脚を熱いものが流れていった。

 甘い匂いは一番強いが、グッとくるいいものである。

 味見をしたいが、我慢してベッドに寝かせる。

 3人寝ても、まだ余裕があるベッドは、誰のアイデアだったのだろうか?


 ランはハッキリと挙動不審だったが、手拭いを渡してくれたので、ススキの下半身にかけてやった。

 オミナエシは床を拭っているが、どんな顔をしているのか確認できないのが残念だった。

 タライはすぐに取り替えが必要かもしれない。


 ボタンは印象が薄い、温和しい性格の女の子で、あまりに接点が少なかったが、身体はそんなことはなくてあっちもこっちも良くできていた。

 キスも抵抗なく受け入れてくれて、きっと上手になるだろうと思った。


「ううんん」


 ぽたぽたと音がするほどの量が落ちていき、ボタンは気を失った。

 温かく柔らかい身体から手を放すのは残念だったが、ランが手拭いを持って待っているので、手拭いを広げて大事なところを覆ってあげた。


 それで、ランを抱きしめて唇に舌を入れたところで、『ああっ』とオミナエシが叫んでいるから間違いに気づいた。

 だが、ここで止めるのは、多分、失礼だろう。

 俺は勝手な論理で先に進み、ランの唇から舌を味わい、ついでにおっぱいもお尻も堪能した。


「ひぁーんん、ひぃぃ」


 ランが先輩たちに劣らぬほど流したので、俺は必要なことだったのだと勝手に納得してからベッドに寝かせて、オミナエシに取りかかることができた。

 ここで、一人だけ残しても、後の災いにしかなりそうもない。


「あっ、あの、その、私は」

「大人しくしろ!」


 おびえて後ずさる身体を捕まえて、生まれて初めてクズのような台詞を吐きながら、オミナエシから唇と舌を奪った。

 強引に割って入って、熱く柔らかい股間を擦り、強引に反応させた。

 

「ああぁ、伯爵様ぁ、いやぁんんん」


 オミナエシは涙を振りまきながら、水を振りまいて気絶した。


 オミナエシをランの隣に寝かせて、二人の股間に手拭いをかけると、俺は部屋から逃走した。

 女の匂いが充満していて、とても耐えられそうもないからだった。


 クズから鬼畜にジョブチェンジしそうだった。


(既にしてるんじゃないの?)


 補足説明しておこう。


 ユキナによれば、溜まった水を出すことは、この世界の女にとって重要な行為であり、しかも性的快感を伴う行為らしい。


 ①腹部の痛みからの解放。

 ②水が減る安心感と快感。

 ③水を流す時の性的興奮と快楽。

 ④コアの生育。

 ⑤健全な妊娠。


 勿論、普通は直接的な性行為で水を出すのだが、これは男では一生味わえない領域であるらしい。


 まあ、神様の設定だろう。


 初めて水を出すだけで失神するほどだから、経験を積めば、俗に言う『男なしの生活』などに戻れないという。

 水が溜まるのは、コアの生成に関係があるらしく、10歳から始まり、16歳くらいから24歳くらいが1番活発だという。

 自力で水を出せないのは処女だけでなく、経験者も自然と出てしまう分だけではとても足りないらしく、男が必要になる。


 とは言え、経験のない処女は自力では出せずに溜まり続けるから、人によっては15歳では危険領域であり、特に16歳の活動期には溜まる量がそれまでより増えるから破裂して死ぬ確率が高い。

 その前に、苦痛に耐えられないと言う。


『普通は「誰に」という強い感情が芽生える前に、手短なところで男を選んでしまいます』

『そうなの?』

『私は、そうした奴隷根性が嫌いです』

『でも、習慣とか風習以前に身分制度があるんだから仕方がないんじゃない?』

『兄様、ユキナも奴隷です』

『いや、でもさあ』

『この世界は女には惨いと説明しました。真実は愛しく想う心だけです。ユキナは例え奴隷紋で、何人何十人の男に犯されてもクズ兄様と一緒に暮らすことを諦めたりしません』

『ユキナ?』

『もし、駄目なら次婚で一緒になります。それでも駄目なら、私の娘がクズ兄様と一緒になります』


 この世界ではコピーコアがあって、母親にはわかるらしい。

 ユキナは自分のお腹を撫でながら、二人目のコピーが無事に生まれてくるのを望んでいた。


 だから、娘しか産まないのだろうか?


『恋は人の数だけありますが、愛は人生の数しかないのです』

『人生は一度きりってこと?』

『恋は喜怒哀楽、何度でも楽しめますが、愛は気付いた時から人生が始まるのです』

『難しいこと言うなあ』

『いつか、クズ兄様にもわかりますよ』


 その時のユキナは謎の微笑を纏ったまま、それ以上は教えてくれなかった。

 ユキナには、水を出したり出されたりなどというのは、子供の戯れ程度のことらしい。

 俺のオリジナル能力である『キスによる水出し』など、たいして重要なことではないようだ。


 そう言えば、紋章は大事なことのように言っていた気がする。

 水は恋で、紋章が愛なのだろうか?

 わからないから、水だけでなく紋章を一杯作ってみようかな?

 少しは何かがわかるかもしれないしな。


(やれやれ、クズが愛に気付くことなど何百年経っても無理そうだわ)


『そうかなあ? ベッドの上にはちゃんと『愛』が存在するような気がするけど?』


(クズ!)


 でも、愛の前に恋があるなら、恋の前には性がある。

 異性に対する興味が先になければ、恋は始まらないのではないだろうか? 


(経験しても童貞なのって何て表現するんだっけ?)


素人しろうと童貞のこと?』


(えーと。まだ概念がないのだわ)


『何のこと?』


(まあ、クーリャに逢いに行くことをお薦めするわ。何か解決策が見つかるかもしれないし)


『まさか、ナフタがお相手とかじゃないだろうね?』


(どうかしらね)


 否定しないところが何だか不気味だった。


 この、ナフタも俺には謎だった。

 神様の劣化版のような管理AIだが、新たに作られたのではなく、元々どこかにあったのを転用されたのだ。

 だから、この世界以外の情報も持っている。

 他のAI群は、異世界の知識など持ち込まない。

 てか、その様な知識を持たされていないだろう。

 この世界を管理するのが仕事だから、この世界に隔離されているのだと思う。


 まあ、知識があっても話相手になるプレーヤーもいないし、世界が基本的に住民の自主性に任せられているのだから、そんな知識の必要はないだろう。


『俺には自前のメモリーバンク(クズ頭)が何処かにあるはずなのに、上手く使用できていないな』


 元々、残念な頭だったからでもある。


(メモリーの大きさで頭が良くなる訳ではないわよ。実際にAIに何倍ものメモリーバンクを与えても能力はたいして上がらないわ)


『でも、知識が多いのは頭の良さには必要なことじゃない?』


(記憶力は材料の豊富さみたいなものね。でも、材料が沢山あれば美味しいものを作れるとは限らないわ。あり合わせの材料だけで美味しいスープを作れる人を確か『ミネストラーノ』とか呼ぶのよ)


 確かに人間には『天賦の才』があって、100人に同じレシピと材料を持たせても、出来上がりは随分と違ってくる。

 感性、経験、価値観などのオリジナリティ(個性)が異なるからだ。

 育った環境による味覚とかも影響するかもしれない。


『但し、天賦の才が天才を作り出すのは、多くの場合は反復される思考と経験なんだよ。脳科学的には、「大脳」で処理される多くの反復が、視床下部のような小さな部位に集約されるほどの反復処理が行われないと、天才にはならない。

 例えば、ミケランジェロの絵画を普通の人は5分から15分くらいで見終えてしまうけど、画家志望なら一日中見ている。時には1週間も1ヶ月も夢中で見ている者がいて、そうした者の脳内では絵画に対する解釈が大脳系の処理から視床下部などに変更される。これはプロスポーツ選手や囲碁のプロなどにも見られる現象なんだ。集約化とショートカットに近いことが脳内で起こっている』


(AIのメモリバンクには起こらない現象ね)


『脳の集約化、または特殊な自己組織化とも言っていいんじゃないかな。効率の良い特殊プログラム化と言えるかもしれない。だけど、ここから言えることは、天才は魅了された物事に対して、誰よりも努力しているという事実だと思う』


(常人の努力を凌駕する反復行為や何度も何度も考える努力をしているということなのね)


『天才は社会を豊かにするけど、そうした天才だけで世の中が進む訳ではないんだ。そこに至るまでに、多くの挑戦者がいることが、天才を育てる土壌になるんだよ』


(天才が生まれる土壌が先に作られるというのね)


『今では業界とか市場と呼ぶべきだろうね。多くの人の関心と金が集まるところに、卓越した才能が集まってくる。そして競争だね』


(簡単な市場原理よね)


『興味や関心が人と金を集める。

だけど、多くの天才は金や人々の関心とは無関係に情熱をそそぐ。

それは、先駆者や同時代の才能に、心が動かされたからだ。そうした者は、金や名誉には関係なく、ひたすらその先にある「何か」に向かって進んでいくんだ』


(何か、とは何なの?)


『解き明かすとか、見つけ出すという表現が妥当だけど、俺はそれが多くの人に「感動」をもたらすものだと思う』


(失敗すれば、天賦の才が災いとか呪いに思えるでしょうね)


『たどり着けなくても、先駆者として必要なんだと思う。例えば、天動説がまだ一般的な時代に、ヨハネス・ケプラーは衛星の楕円軌道も距離と作用する力の逆二乗の法則も発見していた。

 そうなる原因も「太陽の光の強さ」ではないかという仮説まで持っていた』


(光の強さも距離の逆二乗だもんね)


『だけど、重力を知らず、微積分も発明されていなかった時代だから、衛星軌道を計算した彼のノートには900ページに達する計算が書かれていたという。積分がない時代だから「取り尽くし方」を使ったのだと思う。結局、ケプラーの業績はニュートンの万有引力の発見によって説明されてしまうが、彼のやったことが凄いことであることは間違いないんだ』


(ニュートンが生まれたのは、ケプラーの没後12年。1642年と伝えられているわ)


『いまから、1800年後くらいの話だねえ。

 でも、俺は誰が何を発見しなくたって、重力やアメリカ大陸は存在したと思うな』


(クズは何も発見できないしね)


『いや、モモの下半身を発見した』


(そう言うのは発見ではなく、覗きって言うのよ。それとも、出会いかしら?)


 観察日記かも?


(それにしても、下半身丸出しって下品な世界よね)


『SFってのは、ヒロインが不自然に露出過多の衣裳で登場するものだよ。

 ヘソ出しくらいじゃ驚かないしねえ。

 これぐらいしないとテンプレに勝てないじゃない』


(不自然すぎでしょ!)


『それに、飛行ありの戦闘バトルものなのに、ミニスカとかあり得ない設定も普通なんだよな。

 本当は下半身丸出しでも戦闘シーンが必要なんじゃないか?』


(クズ! でも。紀元前とのバトルはいささか卑怯な気がするわ)


『まあ、現代戦なんか描ける人は珍しいよね』


 レミントンとかドラグノフとかなら何とか映画で見られるけど、SRー25(ナイツアーマメント)とかバレットM82(バレット・ファイアーアームズ)とかは見たことない。


 歩兵に狙撃銃というのはともかく、バンカーバスターとか120ミリキャニスター(俗にフレシェット)が降ってくる戦場で、どうやって生き残るのだろうか?

 相当詳しい人でも『魔法』とかでお茶を濁しちゃうだろう。

 そう考えると、中世の剣と魔法世界しかチョイスできない。


「現代戦は『カイジさん』の独壇場かな?」


(カイジさんって、命懸けで麻雀する人?)


「いや、それはアカギさんの方だよ。

 命懸けでチンチロとかパチンコする人の方って…… いや、それも違うんだよ!」


(チンがつく競技が得意なのね)


『ようこそ。クズの皆様』


 じゃないって!


「空母アカギじゃなくて、空母何とか(何だっけ?)、とか描いている凄い人がいらっしゃるのです!』


 いつもありがとうございます。

 

 


 邸に戻りたくない俺は、完成したばかりの学舎を見に行った。

 首府(直江津)の学舎は『直江津大学』になってしまうので、教授にならなかった研究者は全員が黒部に引っ越してきたのである。


 ――金属学だけは柏崎に移転したのだが。


 お陰でユキナは毎日講義が入っていて、とても忙しくしている。

 勿論、聴講する方と講義する方と両方があるのだ。

 それで、既存の研究の進捗を確認し、新たな研究の方向性を提案する。

 クズが人前で講義できないから、半分以上が俺の代わりだった。


「王佐の下には各部を設置します」


 ユキナが黒板ならぬ、白板に墨のようなチョークで書き込んでいく。


 中務(内務省)

 式部(文部省)

 治部(外務省)

 民部(人事・戸籍・税務省)

 兵部(軍務省)

 刑部(司法省)

 大蔵(財務省)


「このほかに、今後10年のうちに、地方官として各領に代官を配置します。これがその予定地です」


 ○越後 ーー 吉川領、柏崎領、十日領、長岡領、三条領、越後(新潟)領、阿賀野領、新発田領、村上領、佐渡領。

 特別に糸魚川開発領。

 なお、直江津は王の直轄特別領。


 ○越中 ーー 黒部領、滑川領、神通川開発領(富山)、三ケ領(射水・高岡)、砺波領、小矢部領。


 ○能登 ーー 伯爵領。


 ○加賀 ーー 金沢領、能美領、小松領、加賀領、河北特別開発領。


 ○越前 ーー 芦原あわら領、福井領、越前領、敦賀特別開発領。


「吉川は王佐に就任し、10年間王を補佐しますので、皆で民部が選出する代官候補を吟味してください」


 今日は、ギイの4人の妻がメインの生徒である。

 王や王佐と共に中務なかつかさを管理し、秘書官を使いこなさないといけないので、内政の勉強会をしているのだ。

 民部が登用し、試験し、人選しても、その中から各部の官として登用したり、責任者を決定したり任命するのは中務の仕事である。

 特に秘書官は王に直接進言するポジションなのだから、責任重大である。

 ギイは忙しいので直江津にいて、王の仕事をしながら自分の王城を増築している。


 学舎からも熱心な連中が参加しているが、今日のユキナの講義は政治関係なので一般参加は認められていなかった。

 普段のユキナの講義なら、村人や遠くから訪れた聴衆でいっぱいである。

 黒部には観光と勉強で多くの人が訪れるのだ。


 俺は何故かウメとモモに挟まれて、一番後ろで講義を聴いている。

 先に来ていたらしい。

 と言うか、実は講義などどうでも良かった。

 既に、机の下では、ウメとモモの太股の間に手を差し入れていて、二人とも赤い顔を隠そうと俯いている。


 おかしい。

 この滾る思いは何なんだ?

 底なしというか、天井知らずと言うのか、毎晩のように妹たちと過ごしてきたのに、何故治まらないのだ?


 一番相談できそうなユキナは壇上で下半身を晒している。

 ああ、やりてえ、でも、妊娠しているから駄目なのだ。

 相談できそうなナフタは、何故か忙しい時間帯らしく、現れない。


 肝心な時には、いやがらねえな。


 そこで、クーリャを推薦されたことを思い出した。


 このままだと、とち狂って、子が生まれたばかりのターチャを襲いに行きそうだから、いっその事、遠くに行く方がいいかもしれない。


 ピンチはチャンスである。


 どうせ、クーリャは待っていてくれるのだ。

 手紙が時々届くのだが、『早く来い』としか書いてない。

 リーメの手紙には日々の想いが長々と綴られているのに。


 毎晩想って、布団を濡らしています、とかな。

 きゃふー!


 相談は何ともならなくても、あっちの方は何とかなるかもしれない。

 俺は断腸の思いでウメとモモから手を放して立ち上がり、ちょっとお怒りのユキナに手で謝りながら講堂を抜け出した。

 不満そうな顔をするウメとモモを置き去りにしている段階で、俺は壊れているのだった。


 黒部漁港には俺専用のヨットが置いてあった。

 最新の樹木から取り出したタールで作ったペイントにより美しく青く塗られた上部と、喫水線を示す赤のペイントが美しい。

 そして、極上の天気が、とても映えるロケーションだった。


 早速、出航準備を始めていると、人集ひとだかりを割ってシャガとイチハツとキショウブが現れた。


「伯爵様、勝手に出かけられると困ります」

「何処へ行かれるのですか?」

「ついていきます」

「今日は拙いよ」

「何言ってんですか。警護なしでは出かけられませんよ」

「海のど真ん中で、何されるかわからないぞ」

「そんなこと、何でもないです」

「イチハツは海の方が怖いー」

「何されるの?」


 とにかく、時間が惜しい。

 鯨波は遠いのだ。

 今日中に着くかどうかも、風次第である。

 でも、3人がいれば『船中泊』でもいいか、などと少しだけ思ってしまった。


 海は何処までも蒼く、風は気持ちよかった。

 シャガが三角帆の確保を練習しているが、俺は下半身にしか興味はなかった。

 しかし、今は帆走中だから拙いだろう。

 イチハツは小さなキャビンの中で怯えている。

 キショウブが舳先で見張りをしてくれている。


(空が蒼いのはレイリー散乱)


 雲が白いのはミー散乱。


 いつの間に帰ってたんだ?


(海が青いのは光の散乱)


 チンピラがかけているのは。


(サングラス)


 アニメは?


(サンライズ)


 コンピューターソフトの?


(サン・マイクロシステムズ。以前にも似たようなことがあったけど、サンしか合ってないじゃない)


 秋に遡上するのは?


(鮭の産卵!)


 昔の人形劇でイギリスの。


(サンダーバード)


 同じ頃のドラマで軍隊ものの。


(サンダース軍曹ね。題名はコンバットよ!)


 やはり同じ頃に、結構話題になった戦争物があったとか?


(ええと、多分、ラットパトロールね。ジープの荷台に機関銃を設置したのが、何となく軽いノリで戦場を駆け回るのよ。当時の日本の子供たちが憧れていたというわ。でも、お勧めは『特攻ギャリソン・ゴリラ』よ。ペテン師のアクターが良かったわね)


 どうせ、例のリー何とかとかイケメンが良かったんだろ。

 クリストファー・リーだったか?


(違うわよ。クリストファー・リーはドラキュラよ)


 ふうん、スーパーマンにも出てなかった?


(そっちは、クリストファー・リーヴよ!)


 まあ、面白かったよな。

 上手く飛べないし、胸に『中』とかのマークが入っていてさあ。


(それは、アメリカンヒーローよ!)


 そうだったかな。

 でも、俺には昔のドラマと言うなら、ツイン・ピークスが良かったな。


(デビット・リンチね)


 そう言えば、ブルーベルベットで、トミー・リー・ジョーンズが化粧して歌ってなかった?


(そう言えば、似てたかも? うーん、資料が見つからないわ)


 ――実はディーン・ストックウェル。後述の砂の惑星では「ユエ医師」を演じている。


 しかし、デビット・リンチというなら、何と言っても砂の惑星だよな!


(アラキス、デューン、砂の惑星! 当時のリンチはスターウォーズの新作を任されるか、砂の惑星か悩んだらしいわね)


 確か、クイサッツ・ハデラッハだったな?


(カイル・マクラクランね。結構イケメンだったわ)


 この星にも、スパイスがあればなあ。


(あるかもよ?)


 まあ、スーパーボイスとは言わないが、軽い電撃とかで相手を気絶させられると便利だよねえ。


(馬鹿ね。空中を流れるような電撃が気絶で済むわけないじゃない。絶縁体を無効化するような電撃は人が死ぬわよ)


 でも、スタンの魔法は微弱な電気も流せるのが相場だぞ。


(スタンガンと同じで、直接触れるか、ケーブルを打ち込まないと無理ね。魔法はイメージとか理屈を言うならケーブルも魔法で繋げないとね。特に空中を流れるような電撃は雷なんだから、絶対に人が死ぬわよ。死なないような出力では、空中放電しないの)


 うーん、神様はファンタジー嫌いなんだろうか?


(嫌いじゃないと思うわ。何しろ、この世界をデザインする時に、一生懸命、タニス・リーを読んでいたからね)


 地球が平らだった頃ってやつか。

 難解すぎて、俺はすぐに挫折した。

 同じアルスラーンなら、田中芳樹の方が楽だったので、そっちにしちゃったよ。


(ファンタジーの高度さに挫折して、ラノベに逃げたのね)


 田中芳樹はラノベじゃないぞ!

 芸術だ、SFだ、文学だ、ノーベル賞だ、文学歴史の50だ!


(では、文学歴史の50から問題です。三国志演義、または三国演義は講談形式で回数がありますが、その総回数と、アニメ銀河英雄伝説の総話数と、どちらが多いでしょうか?)


 講談本は普通78回とか、精々108回だよな。 銀英伝は100話を越えていたような気がする。

 本としても銀英伝の方が巻数が多かったような気がする。

 いや、吉川英治の三国志は全10巻だった。

 銀英伝も全10巻だ。

 だが、吉川英治版は、ほぼ、五丈原の戦いまでだ。

 演義は呉の滅亡まで続く。


「うーん、答えは三国志演義だ!」


(ブブー。三国志演義は120回、銀英伝は110話ですが…… )


 なら、合ってるじゃないか!


(銀英伝は、外伝が52話もあるのでしたー)


 くそー、ずるいぞ。

 三国志演義外伝を書いてやるー!

 五胡十六国まで書きまくってやる。


(それ、もう三国志じゃないじゃない!)


 そうかな?


 それより、何処へ行ってたんだよ。

 台風イベントとかは、ごめんだぞ。


(あなたが少し異常なので、対策を練りに行ってたのよ。感謝しなさい、クズ)


 うーん、流石にこれは異常だよな。

 干からびるほどやっても満足感がない。


(大袈裟ねえ。干からびるほどできてやしないじゃない)


 うるせえ!


 でも、この不満感は絶対におかしい。

 妹たちが可愛いからと言って、毎晩何人も抱いて、ついに妊娠してないのは、このシャガとイチハツの二人になってしまったのだ。

 束の間でも、満足感や充実感を味わえなくなるのは、やっぱりおかしいとしか思えない。


 マリーとポヌとイナなんか、24時間交代制まで挑戦してくれたんだ。

 ル・マン24時間耐久レースみたいな感じだったんだぞ。

 死ぬほど良かったんだ。

 それなのに、一晩寝ると、次の日にはウメとサクラとモモで、もう一回挑戦したいぐらいだったんだ。


(女好きはクズの罹る病気だけど、不満感が強いのは確かにおかしいのよ)


 そうだよな。

 大好きな女の子と過ごして、凄く気持ちいいのに、満足できていないって、おかしいよな。


(多分、VR技術の難問が絡んでいるんだと思うわ)


 VR技術の難問?


(そうよ。そもそもVR世界がいいものなら、男たちは、ドンドン、ソフトを買って押し寄せてくるわよね)


 医療用の制約など無視して『バイパス手術』を受けに来ると思う。

 美女が沢山待っているんだから。


(でも、現実のVRは、あなたの言う『パイルダーオン方式』で、戦闘機とか戦車とかロボットなどのマニアックなものしかない。特に美女を用意しても触れ合えない)


 人間はVR世界でアバターを構築できない。

 幽霊のように漂う存在になってしまう。

 そこで、機械などの構築物をアバターとして用意し、そこに入り込み、その機械の入出力を感じながら操縦する方法が考え出された。

 しかし、それではどれだけ人間に近くしてもアバターの中での感覚であり、例えば女の子のお尻に触っても、革手袋越しに触るようなものだった。


 銃で撃たれても操縦者が痛みを感じない感覚では、柔らかい女の子の感触など感じられないのだ。


 しかし、これに現実感を持たせた改良をしていけば、いつかはダイレクトに接触するのと変わらない感覚になるだろうと言われていたが、今のところ目標であり、理論に過ぎなかった。

 勿論、アバターを介して愛し合うなど、今のところ不可能である。


 そこへ、一人の天才学者が現れた。

 サイオン研究所所長の西園寺悦子とかいう、性格が最悪の意地悪女である。


(おほん!)


 いや、30女だが美女でいい女で、命の恩人である。

 処女である欠点を除けば……


(おほん!)


 まあ、あれだ。

 憑依方式とか言う、アバターとなるNPCの脳活動を直接乗っ取ってしまい、人間の感じる感覚にダイレクトに情報が伝わる発明をなされた偉人である。


(乗っ取りじゃないわよ、共存よ。管理AIにも、人間の感情が伝わりやすいという恩恵があります)


 ふーん、それで俺が抱えている苦悩が理解できると?


(贅沢な苦悩よね。やりまくれるだけでも十分なのに、満足したいなんてね)


 確かに、謎の好感度マックスは、俺の魅力ではないよな。


(100%、違うわね。気持ち悪いもの)


 越の女は、誰でもやらしてくれるとか聞いたぞ。

 100%設定と言うことはないだろう?

 一人や二人は酔狂なのがいるかもしれないじゃないか!


(それなら、現実でも一人ぐらいは酔狂なのがいることを証明してから主張しなさい)


 はい、すみませんでした。

 全部、100%、神様やAI様方の設定とご厚意によるものです。

 ありがとうございます。

 俺は一生ボッチです。

 クズです。

 童貞野郎です。


(素直に認めても、やっぱり気持ち悪いわね)


 どうしろってんだ!


「伯爵様、どうかされましたかー、少し変ですよ」


 長くフリーズしていたのか、シャガが心配してくれる。

 ああ、いい子である。

 俺の妹だし、妻だし、紋章持ちだし、中だし、ごほん、仲が良いし、仲良しだもんね。


(言葉が重複してるわよ)


「シャガ、この下半身は俺のものだよな?」

「くすぐったいですよ、伯爵様。それに、下半身だけじゃなくて、全部、伯爵様のものですよ」


 ああ、なんていい子なんだ。

 俺はシャガの下半身にしがみついて、涙を流した。


「でも、女を連れて、女に会いに行くのは、少しだけ変ですからね」

「すみません。シャガの言うとおりです」

「だけど、警護官なしでは出かけられませんよね。男の警護官でも採用しますか?」


(賛成! イケメンを揃えましょう!)


 うるさい!

 何が悲しくて男に守られなくちゃならないんだ。


(女に守られて喜んでいるあなたがクズなのよ!)


「男の警護官を採用するぐらいなら、女連れで嫌われる方を選ぶよ」

「女のとこには出かけない、と言わないところが、クズですねー」


 シャガにも呆れられてしまったではないか!



 その後、何とか夕方には鯨波にたどり着き、クーリャ邸にたどり着いた。

 正確には『クーリャ邸』ではなく、『伯爵邸』か『伯爵別邸』と呼ばれている。

 より正確には、各別邸は鯨波伯爵別邸とか、柏崎伯爵別邸とか佐渡別邸とか呼ばれているらしい。

 黒部には本邸と別邸があったりする。


 クーリャはクーリャ姫様、リーメはリーメ姫様、それにだ、綺麗どころたちはそれぞれ『マツリ姫様』、『オドリ姫様』、『ユブネ姫様』と呼ばれている。

 何だか、色っぽすぎるのではないか?

 西三川温泉旅館は、西三川伯爵別邸か簡単に佐渡別邸と呼ばれるのである。

 何故か、別邸様という呼び方も現れ始めているが、愛人の隠語であるらしい。

 俺は、何も悪いことはしてないというのに!


(何か、いいことでもしたというの?)


 うん、いいことは、これからクーリャとする!


(どうしようもない、クズだわ!)


 クーリャ邸は女だらけだった。

 とは言え、女たちは殆どが20代で、機織りをしていた。

 鶴の恩返しで描かれるような機織り用の機械が、大部屋に所狭しと並んでいる。

 すぐにクーリャが奥から現れた。

 相変わらず全裸であるが、獣人なので裸ではないのだ。

 華奢で色っぽい体型は変わっていなかった。

 容赦のない毒舌もだ。


「女のところに来るのに、女連れとはいい度胸じゃない?」


 うん、それ、さっきも言われた。


「しかし、趣味は相変わらずだわ。子供がいいの?」


 いや、シャガもイチハツも16か17歳で、女盛りだからね。

 キショウブは何故か13歳ぐらいにしか見えないけどさ。

 処女だからだろうか?


「まあ、こっちに来なさい。いい女の見本を見せてあげるわ」


 イチハツたちは不満そうにしながらも、別の部屋に連れて行かれた。

 俺はクーリャと共に寝室である。

 いい女の見本?


「オードリー」(ヘップバーンか?)

「はい」


 オードリーは全裸で入ってきて腰に手を当てるポーズをとった。

 確かに、24歳ぐらいで色っぽく、モデルと言うよりは女優という感じである。

 確かに、そっくりさんでも通るだろう。

 だが、それで終わりではなかった。


「エリザベス」(テイラー?)

「ソフィア」(ローレン?)

「キャサリーン」(ロス?)

「グレース」(ケリーか!)

「ブリジット」(バルドーだろうな)

「グレタ」(ガルボだっけ?)

「イングリット」(バーグマン?)

「マレーネ」(デートリッヒかいな!)

「ヴィヴィアン」(リー!!)

「それから……」


 クーリャは悪魔の笑みと言うやつを浮かべた。


「ナスターシャ」(き、キンスキー? 熊人だと!)


 俺はクーリャに屈した。

 ユキナやモルがどれだけ綺麗でも、この20代の色気は持ってない。

 ある意味、清純さと妖艶さは両立しないのだ。

 青い果実と熟れた果実の両面は、同時には持つことができない。


「今夜は私だけよ。でも、ちゃんとできたら、明日からは好きなのを好きにしていいわ」

「!」


 オードリーたちが妖艶に微笑み、ナスターシャが陰のある顔で目を伏せると、俺は簡単に、再び、クーリャに屈することになった。


 この世にも天国は存在するのだった。

 愛は存在するのだろうか?

 営みは愛と呼ばれているのだが?


 クーリャは処女の痛みに耐え、涙目ながらも俺を優しく包み込むように反応した。


「うっ、うっ、まだ、大丈夫よ。あん、頑張って、あなた、あぁ」


 クーリャは仰け反り気味になりながらも、俺を放さなかった。


「ふぁ、ふぁぁん、ひぃぁ」

「もうすぐだから」

「だ、駄目よ。もっと頑張って、ひぃんん」


 だが、自慢じゃないが、俺は早い方だろう。

 熱いものが先端から流れ出すような感触があった。


「く、クーリャ!」

「駄目、まだ駄目よ、頑張りなさい、あっ、あなた」


 俺はいつもなら体力的にへばるところだが、もう少しと、頑張ってみた。

 クーリャは自分が限界に近いにも拘わらず、俺を励ました。

 初めてなのに、終わろうとしているのだろうか?


「もう少しよ。頑張って、ああん、突いて! もっと!」


 俺は既に絶頂を迎えているのに、クーリャに励まされて頑張ってしまった。

 インターバルなしの、抜かずのってやつか?

 ちゃんとクーリャが終わってくれればいいと思った。

 だが、すぐに後頭部から腰までにかけて、真っ白に爆発するような感覚が突き抜けていった。


「うああぁ、クーリャぁぁぁー!」


 俺は若い頃の、あのとろけるような、破裂するような鋭い喜びを感じて、下半身を弾けさせた。

 クーリャの上に倒れ込み、ゼイゼイと苦しい呼吸を繰り返した。

 クーリャは指先で涙を拭うと、俺の頬を軽く突いた。


「卒業、おめでとう、クズ」


 ユキナには悪いが、その時の衝撃は生涯忘れられないだろう。

 クーリャは、ナフタではなく、神様に憑依されていたのだった。




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