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11 代官領と首府

 11 代官領と首府



 翌朝、ユキナはいつもより食欲が旺盛だった。

 モルとサリはいつも通りだったが、俺は食欲がなく、いつもより少なめにしか食べられなかった。

 男は繊細な生き物なのだ。


 二重人格的なところは改善されていなかったが、もう2つの世界が見えるようなことはなかった。


 ただ、世話してくれる少女たちの内5人が、俺の紋章を誇らしげに晒していた。

 妹が5人も増えたのである。

 妻見習いだろうか?


 ナカだけは紋がないので、涙目だった。

 しかし、邸の外を未練がましくうろついている兄の漆原の方が、更に涙目だった。

 ナカは、兄貴のことなど眼中にないようだったが。


 暫くの間、妹たちはメイドと、くノ一を兼任していた。

 昼間は農作業などもやっているから働き者である。

 夜は、ユキナとモルが来る前に、勉強会というか茶話会と言うのか、ちょっとしたプライベートタイムがある。

 

 まあ、彼女たちは、期待に満ちた顔でやってくる。

 お付き合いし始めたばかり、という感じで凄く可愛い。

 モテるというのは変な感じだが、楽しいから気にするのはやめよう。

 どうせ、クズの価値観なのだから、誰も気にしないだろう。

 今はまだ、誰もが短衣を着たままである。

 節度ある? お付き合いのようだ。

 この世界に、本当にそんな言葉があればだが。

 本当はギャルゲーかもしれないのだ。

 そうでなければ、ニヘラニヘラ笑うだけのコミュ障の薄気味悪いクズ男に、これだけ好感度が高いのは説明できないだろう。

 けれど、これが現実なのだから、素直に味わう方が利口だと思う。

 クズはバカなのだが、馬鹿であるだけではない。

 馬鹿をすることさえ可能なのである。

 きっと、そんなオチだろうと思う。


 ウエは恥ずかしそうに手拭いを持参してくる。

 ちょっとしたスキンシップでも、あふれ出すからだが、それはそれで嬉しいらしい。

 マリーとシモにはそんなことはないが、それでも手拭いを持ってくるようになった。

 多少は見栄なのかもしれない。

 朝に洗濯しているから、少しはあるのだろう。


 ポヌは、ひと目のないところで俺が短衣の下から手を入れてまさぐるのに慣れてきた。

 不満はなさそうである。

 片手にすっぽりして余りない程度だが、ちゃんと女の子である。

 これは貴重な体験である。

 夢のようなリア充生活だった。

(リア充の人たちって、本当にこんなことしてるのだろうか?)


 ポヌが特別なのだろう。

 しかし、その特別がいると言うことがリア充の証拠ではないか!

(変態かも?)

 まだ、少し青い実のようなポヌに感謝している。


 イナは敏感で、何処を触っても随分と我慢している様子だが、つい、声を出してしまうこともあった。


「あぁ、こんなところではだめぇ」

「じゃあ、ちょっと、こっち来て」

「あぁ、そんなところはだめぇぇ!」


 人前では恥ずかしいから、人知れずにスキンシップしている。

 小さな角が気持ちよいらしく、触っていると草の上でも安眠してしまうこともある。

(どこで何してるんだよ!)


 まあ、最近はみんな秒読み段階なのだが、正妻?たちが先らしい。

 何が秒読みなんだろう?


 そうそう、ナカをそのままにしておくとイジメに近い状態になったので、きちんと向き合った。


「ナカは魅力ありませんか?」

「ナカにはナカの魅力があると思うよ」

「えっ? ど、どんなところですか?」

「そうだね、一番は身体かな」

「か、身体ですか?」


 ナカは、頬を赤くしながら不満そうに膨らました。

 いや、ナカは薬草採りなどしていて、アウトドア派だから、引き締まった健康的なプロポーションだと言いたかったのだ。

 ウエほど成熟しているわけではなく、シモほど子供っぽくはない。

 野山を駆けまわっている野性の鹿を思わせるような手脚の長い、美しい肢体なのである。

 身体つきと言えば良かったのだろうか?

 クズには上手く伝える手段すべがなかった。

 スベスベは沢山あったが……

(スケベもね)


「 ……身体だって」

「 ……やっぱり、クズ?」

「 ……元々、クズでしょ?」

「 ……でも、羨ましい」

「 ……身体なら私だって負けないわ」

「 ……あなたは太さで負けてないわょ」

「 ……ひどぉ」


 部屋の向こうから、書生たちのヒソヒソ話が漏れてくる。


 ち、違うからね!


「は、伯爵様、ナカとも契っていただけますか?」


 ナカは不安そうに震えながらも、真っ赤な顔をして真剣に言ってきたので、強く抱きしめた。

 落ち着くまで、ずっとそうしていた。

 断られるのではないかと心配しているのだ。

 俺が断られることはあり得るが、逆の心配などあり得ないだろう?

 だが、本当に緊張している。

 一途な少女という生き物は、とても可愛いのである。


 野性的なのに首が細く、ウエストが細く、足首も細い。

 しなやかさが感じられて、見事である。

 やがて、恐る恐るキスしてきたので、ゆっくりとナカを味わった。


「はぁぁ、嬉しいですぅ」


 勿論、たっぷりと流して満足してくれた。


 それで、今では誇らしげに紋章を浮かべて、手拭いを持って元気に仕事をしている。

 薬草捕りも再開したようだった。

 書生たちに『薬草学』の講義まで申し込まれている。

 夜間の自習時間に何度か教えたみたいである。


 それで漆原(兄)も諦めたのか、邸の周りをうろつくことはなくなった。

 水車小屋ができてから漆器の質と量が上がっていったから、仕事に打ち込んでいるのかもしれない。

 漆原の長屋には女が誰もいなくなったので『すぐに女出入りが激しくなるだろう』とウエが言っていた。

 漆かぶれの対処も、上達しているからだろう。


 経験を積んだ奴隷紋が、毎晩、何人も訪れて来れば、シスコンなどすぐに吹っ飛ぶことは経験上理解できる。


 同様に、処女厨、ロリコン、ビッチ恐怖症、慢性NTR症、先天性童貞、義妹症、本妹病、姉中毒、二次元依存症にも効果はあるだろう。

 ご当地アイドル依存症にも効果があるかもしれない。


 スカートひらひらよりも、下半身丸出しの方が見ていて楽しいと思う。

 いや、スカートひらひらもいい。

 ひらひらの上に(下にか?)、中身は丸出しとかもいい!

 透けひらひらに……


 おほん!


 クズは何でもいいのだ。


(あくまでも、使用者の個人的な感想に過ぎません)


 漆原家では、漆かぶれになるのが少し嫌だろうが、貴重な漆器職人をいつまでも女たちが放っておくわけはないと思う。


 俺は工芸品や芸術には疎かったが、蒔絵というのか、金箔や螺鈿、赤漆、黒漆などの最低限の知識は持っていたから、材料さえ見つけられれば漆原と協力して高級漆器(輸出品にできるだろう)を作り出すことになると思う。

 そうなれば、罪滅ぼしができると思っている。


 と、とにかく、妹は9人になった。

 まだまだ、周王朝は倒せそうになかったが、本当にこれでいいのだろうか。

 当然のことながら、妹の数で勝敗が決まる訳ではない。

(決まったりして?)


 血族で支配し争うというシステムがあった方がいいのか、ない方がいいのか、どうなんだろう?

 好感度は、あった方がそりゃあいいのだけど、低好感度でも領主をお断りする領民などいないのが本当らしい。


 ①名前を尋ねる。

 ②花を贈る。

 ③夕食(晩餐)に誘う。


 の簡単スリーステップで完成だそうだ。 

うわさだよ)


 まあ、それで、お待ちかねの柿崎や直江津なのだが、予定通りに雪解けを狙って攻めてきて、想定外のことは何もしなかったので、あっという間に戦闘は終わってしまった。


 俺は邸の屋上で経緯を見守っていたのだが、生憎と新月の夜で何も見えなかった。


 ただ、暗闇の中で、その暗闇というアドバンテージを捨て去るかのように松明を掲げてきた柿崎・直江津連合軍(ただの盗賊)には、俺すらも呆れることになった。


 素直に逆茂木を避け、村の南側に用意した進入路に入り込んできて半数は落とし穴に落ち、残った半数は木陰に潜んでいた『くノ一部隊』に討ち取られ、騎馬隊のモル姫将軍どころか、弓矢やたんぽ槍を用意していた男連中の出番すらなかった。

 領民の男たちは見せ場がなくて非常に残念がっていた。

 いっぱい訓練したからだろう。


 戦闘後に、逃走用荷車を守って後方で待機していた柿崎村や直江津村の少年たちを捕まえる方が手こずったぐらいである。

 連合軍主力となった大人たちはみんなたんこぶを作り、その上漆かぶれになり、二日間も泣き顔で手当を受けることになった。

(少年たちは、ギイに本気で叱られて、泣きながら帰って行った。あれは怖いと思う)


 一族郎党、約40名であり、2つの村の連合は歴史上、かなり希なことではなかったかと思われる。

 芥子玉は使用されず、秘密兵器となった。

 騎馬隊のお目見えも延期だった。

 時代や歴史、訓練や学習は兵器以上に絶対的なものかもしれない。

 今の日本代表だって、50年前のWカップならばドイツに勝てるかもしれない。

(いや、ベッケンバウアーがいるから無理かも?)


 ええと。


 その後、人間族であるヨシに『吉川』という正式な名前(姓・かばね)を与えて大夫・騎士爵とし、吉川領代官に任命した。

 俺の直領だから、俺の代官で問題ない。

 伯爵領である越を4郡(越前、越中、越後、能登)とすれば、将来は越後全域ぐらいを吉川に治めてもらおうと思う。

 今のところ村として機能する北限がこの越後辺りまでらしいのだ。

 東北えぞ地方や山間部には細々としか人が住んでいないと柿崎が言っている。

 村と言うよりは、家族や一族の何家かだけで、ポツリポツリと住んでいるらしい。

 逆に関西きんき方面には村があり、国があるのだろう。


 まあ、倭国の五王の制度はわからないが、ヨシは周王朝でも正統な準貴族(大夫・騎士爵)になったと思う。

 これで、村長の任命、税金の徴収、吉川領民の任命(田畑の分配)と、婚姻(次婚)の許可も出せるのだが、吉川は俺が亜人の国を目指しているのを知っているから、すべて任せても大丈夫だろう。

 ヨシは人間族だから周王国も文句は言えないと思う。


 息子たちは亜人と結婚(同居?)させるつもりらしい。

 娘たちも上の方はとっくに奴隷紋である。

 純血種とは決別する決心をしたのだ。

 たいした男である。

 漢と書くのだろうか?


 偶然に純血種が生まれるのまでは禁止できないのだが、越では純血種は見つからなくなるだろう。


 ちなみに、亜人は獣人と人間の両方の因子を持つらしい。

 ユキナは猫族と人間の因子を持つのだが、人間の俺と子供を作っても全部が亜人になる。

 本人は銀猫なのに、娘のハルナは見事な虎猫である。

 混血になると獣人の因子の方が発現しやすいのだろうか。


 モルは栗鼠族因子を持ち、娘のフランが人間と栗鼠族の因子を持つ亜人である。

 ヨシの息子たち娘たちは、これからは亜人と契るので、みんな亜人となる。


 例えば、牛族のギイが、もしも牛人のサリと子供を持ったら、僅かだが純血種が生まれる可能性はある。

 一種の先祖返りと呼ばれている現象だが、遺伝学的な可能性ではあるのだろう。

 それは、人間族も同じである。

 だが、一度亜人となった者からは、なかなか純血種の人間は生まれない。

 ひょっとしたら、純血種・亜人決定因子は4とか8ではなく、50とか120であり、それの8割とかを占めないと純血を発現できないのかもしれない。

 それくらい希な出来事らしいが、実験する気はないし、命令もできない。

 しかし、ヨシはその少ない可能性を、思い切りよく捨て去ったのだ。


 亜人同士では普通は両親のどちらかのタイプになるが必ず亜人であり、優性因子の幾つかは、やはり人間なのだろうと思われる。


 獣人同士では種族が違えば子供は生まれない。

 間に人間が入って、亜人とならない限りは同じ種族でしか交配できないのだ。


 それで、純血に拘り、純血を守ろうとする種族は亜人を嫌うのだろう。

 狼族と犬族、猫族と虎族、羊族と山羊族は似ていても違う種族だから子供は作れないそうだ。

 狐族、狸族、穴熊族も別人種である。


 とはいえ、亜人になると急にどの種族ともOKなのだから、純血種を守りたいと思うのは、純血種たちにとって原初的なナショナリズムの発露なのかもしれない。

(単純に、公然わいせつ罪が嫌なだけでは?)


 もっとも、人間族は純血種でも獣人と交配可能な唯一の種族だから、俺は何族の女でも美形なら大歓迎である。


 こうしたクズ人間が多いから、亜人が増えていくのだろう。


 民族浄化みたいな考え方は無理である。

 獣人と同系統の亜人が交配しても、純血種が生まれる可能性は低く、亜人が増えていくばかりであるからだ。

 これでは逆に亜人を増やす行為にしかならない。


 亜人は何処の国でも奴隷だし、誰とでも交配可能なら、逆に亜人ばかりにしてやろうというのが、俺の基本戦略である。

 倭国が亜人だけになり、全員が奴隷階級ならば、それは一つの人種しかいないのと同じではないだろうか?

 全員が奴隷なら、身分は意味をなくしてしまうだろう。


 まあ、逆転して純血が奴隷になる可能性もあり得るが、今はそこまで考える必要は無いと思う。

 取りあえずは、亜人しかいないとされる倭国で亜人の国を作ってしまうのだ。

 それを純血種の外国に認めさせれば、亜人の国が発展する可能性はある。

 純血種連合ができて敵対する可能性もあるけれど、それができるなら先に人間族が滅ぼされていたことだろう。


 そうなっていないのは、文化や教育や宗教的な少し発展したナショナリズムがまだ生まれていないからだと思う。

 時に、歴史や文化、教育により、人種差別は出来上がるからだ。

 異文化とは、好きも嫌いも生じると言うことである。


「これだから人間は」


 と言う台詞を、モルは時々使ってしまう。

 腹を立てた時にはつい使ってしまうくらいに獣人と人間の文化というか、混血に対する意識が違うようだ。

 俺は獣人を罵れるほど知り合いがいないので、言われてもあまりピンとこないのだが、モルは言った後で後悔するから、悪意の低い罵倒なのだろう。

 栗鼠族も栗鼠人もいない倭国だから余計に苛立つのかもしれない。


「孤独を感じるの?」

「ごめんなさい。ユキナほどじゃないわね。王族には戻れなくても、私は帰ろうと思えば祖国に帰れるのに」

「私は兄様が故郷だからね」


 ユキナは獣人の国の方がいやみたいだった。


 モルは自分が奴隷身分に落ちなかったから(名目上だけで耐え抜いた)、本当は純血獣人王族と凄い身分であり、亜人ばかりの領内だから時々は爆発するのだろう。

 だが、娘のフランは亜人なのだ。

 故郷に帰れるとしても、帰りはしないと思う。


 爆発し反省すると、いつも俺の所に来て、指先に水をつけては俺の口に突っ込んでくる。

 まあ、それで俺が暴走して安心するのだが、照れ隠しに近いのかもしれない。


 吉川領を発足させると、俺は直江津に首府を移転することにした。

 領地の幹部候補たちとその家族、くノ一部隊と書生の内の嫁行き(同居か?)が決まらない処女を大半引き連れて引っ越しを開始した。


 食料が乏しくなってから攻め込んで来たのだから、直江津村には援助が必要だったのである。


 それで、首府を移転することにしたのだ。

 港が欲しいという理由もあった。

 農業指導している時間がないから実地で教えることにしたのだが、直江津村は良く言って再開発と呼ぶべき現状だった。

 樹木や雑草を取り除いた『空き地』に溝を掘って種を蒔いただけなのだ。

 元々の地形がそのまま残されていた。

 地面が固くなったら、表土が雨で流されそうである。


 柿崎は強制引退させて直江津に残し、後方の荷車を守っていた柿崎の息子(17歳くらいだ)を新村長にして援助物資と共に柿崎村に戻した。

 柿崎村の男10人も労働者として戻しておいた。

 柿崎村はこれから吉川領の一部になるから、農業指導者も吉川が手配してくれる。

 

 直江津も引退させて、息子を村長にしたが、まだ12歳で完全なお飾りになった。

 まあ、暫くはクズ伯爵領の首府になるから、あまり村長とかは関係無いのだった。


 今回の犯罪者たちは全員、新規開拓の懲役刑に処したが、普段の仕事に新しい技術が加わるだけだから、懲罰にはならなかった。

 身分も元々奴隷階級なので、ある意味で亜人社会では平等のようなものだった。


 直江津村は、周王国で唯一お世話になっている船長のいる代官領の漁村(山東郡が正式名称らしい)の難民キャンプを思わせた。

 効率の悪すぎる農業に人手を取られすぎ、漁業はやはり飢えを凌ぐためにするだけだった。

 それも、小舟も網もなく、殆どが浜辺で貝を捕るか、銛で突くぐらいなのである。

 海が恐ろしいという常識も邪魔しているようである。


 柿崎と直江津は働き者だから村長をやっていたらしく、懲役刑の方が気楽でいいらしい。

 ユキナとモルと、それに書生たちにも『カキ』、『ナオ』と気軽に呼ばれて嬉々として働いていた。

 

 ただ、ユキナはカキとナオの親族の内から、8歳以上12歳以下の処女を集めて、妹候補生にしてしまった。

 勝った方が総取りの一種なのかもしれない。

 彼女たちは栄養状態の悪い、貧相な猿族の亜人ばかりだったから、救済処理だったのかもしれない。

 食料状態が良くなると、直ぐに娘らしくなった。

 美形である。


 その後、彼女たちは書生に選ばれ、妹たちの世話役も兼務させられた。

 猿人は背が低い分、脚も短く感じたが、それはそれで良いものだと思った。

 やはり目がクリッとしていて、可愛い子が多かった。

 特に可愛い子には、内緒で飴をあげたりしたが、直ぐにバレて全員に配ることになった。

 きなこ飴、ザラメ飴、酸っぱい野性のヘビイチゴ飴(確かイチゴは17世紀のオランダ産が最初の商品である)などは、俺が趣味で作っている。

 

 それ以来、可愛い少女は『クズ好み』と表現されるようになった。

 妹は3が9になり、今は世話役を入れて27である。


 書生は50を越えたから、俺が特に色好みではないと思うのだが、どう思われているのかは怖くて聞けなかった。


 ギイたち職人が、新伯爵邸を建ててくれた。

 全員が食事をする炊事場続きの食堂。

 俺の執務や会議を行える執務館。

 妹たちが暮らす後宮。

 書生たちが住み、授業と研究を行う学舎。

 これら4つの建物が上手く配置されていて、かなり居心地が良くなった。

 煉瓦造りの二階建てである。

 窓は布張りの障子窓(内窓)が採用されていた。


 学舎は子供たちも通えるようにしたので、古株の書生から何人かを昇格させ、教師をさせた。

 読み書き、そろばん、食品加工、栽培、飼育、金属機械、木工である。

 紡績、機織りなどの機械類の操作も学舎で習うことになった。


 毎日、午前中は農作業をして、午後から学舎に通い夕食前まで勉強する。

 妻たちも勉強し、大人の男たちも時々は参加するようになった。

 伯爵邸前に穀物倉庫があって、3日分の食料を『家族ごと』に配るからだが、どうも男が5人とその家族に見える。

 男たちの関係は探らない方が良さそうだった。

 

 教師に昇格した者たちは、夜に研究を行っているし、他の書生たちは教師になれるように自習している。


 後宮ではユキナを伯爵妃、モルを中宮、ハルナとフランとアーリが姫、サリを伯爵夫人とし、ウエなど6人も夫人と呼ぶようにした。


 これは一夫多妻制ではあるが、本当の一夫多妻制ではなく、君主制度や貴族制度である封建制の『お家制度』の延長に過ぎない。

 奴隷制があり、身分制度があるので仕方がない経過処置だった。


 本当の一夫多妻制は、妻たちの権利や立場は公平であり平等である。

 正室や側室などの不平等はなく、嫡子や庶子などもない。


 儒教的価値観や封建的お家制度では、正室だけが妻であり、側室は実際には優遇されても、身分は妾か使用人である。

 腹は借り物という考え方になる。

 側室が正室になることなどないし、結婚式などもなく、普通は床入りの儀式などで済まされる。

 そもそも、側室を選ぶのが正室の仕事だった。

 跡取りをちゃんと産んで後を側室に任せるとか、跡取りが産めなくて側室を設けるとか色々だが、年齢差が母娘ほどあるのが当たり前だった。

(母娘じゃないよ)


 これが『お家制度』、『封建制度』の不平等な一夫多妻制であり、それで妻の家格とか跡継ぎの男子を産んだ妻が格上になったりして、お家騒動が起きたりもする。

 まあ、普通は正妻の長子、それも男子が跡取りであるから正室が嫡子を産まないと騒動が起きるのだ。

 まあ、産んでもぼんくらだとか優秀だからとか、何でも理由にされてもめたりする。


 基本的には正室は死なない限り正室である。

 正室が交代するなどと言うことはない。

 正室が若く健康で子供をバンバン産めれば側室など選ばれない。

(殿様の女癖が悪くなければだけども)


 正室が死んだ場合は、側室が昇格するのではなく、新たに正室にふさわしい妻を娶る。

 この場合は継室と呼ぶようだ。


 糟糠の妻というのか、若い頃の苦労を共にした妻を引き摺り降ろすことは禁じられるのが普通である。

 江戸時代に、田沼意次などは大老に登り詰めても、三百石取りの頃にもらった正妻を恐れて敬っていたらしい。

 秀吉の正妻『北の政所』と側室の『淀君』でも格が違うのだ。

 天英院と月光院も違う。

 側室が栄華をほしいままにするのは、当主の実力不足か、臣下が制度を悪用しているかである。


 継承権という決まりができたのは江戸時代であり『武家諸法度』であるが、法整備がなされても運用は上手くいくとは限らない。

 側室しかいなかった大名もいるし、次男とか三男に生まれて家柄のない妻をもらっていた飼い殺しが、突然に跡継ぎに昇格とかが起こってしまうからである。

 徳川吉宗など、紀州の三男だったが、兄ふたりが死に、紀州藩主となり、その後、八代将軍に抜擢されている。

 妻はいたはずだけど、江戸に連れてこなかったような気がする。 


 だが、蒙古もんごぅで見られたような末子相続なら、正室はあまり意味をなさない。

 本来、長兄たちは父親から家畜(主に馬と羊)を与えられて独立しているからだ。

 庶子もそれなりの地位が与えられる。


 いや、でも、やはり大ハーン位だけは、族長が強くないと駄目らしい。

 大ハーン(カアン)の正妻はコンギラト族から迎える習わしであるが、ホエルンやボルテが権力を振るわなかったのは、夫や息子が強かったからだ。

 それでも跡継ぎは正妻の息子から選ばれている。

(ホエルンは夫の死後苦労したが自分の子以外もちゃんと育てたと言われている)

 コンギラトの女は優秀なのだと思う。


 妄想だけど、ボルテは丸顔ポッチャリ系の美人だっただろうが、第2皇妃クラン(メルキト族)はきつい顔のスレンダー美人だったに違いない。

 下半身までは良くわからないが、クランも六男コルゲンを産んでいる。

(下半身は関係ない)


 しかし、2代目のオゴデイ・ハーンの後を継いだのはオゴデイの第6皇妃トレゲネ(確かナイマン族)であり、監国(宰相)として悪政を行った。

 彼女は皇太后ですらなかったが、権力を奪取した目的は息子のグユクを3代目の大ハーンにしたかったのだから、結局は皇太后になりたかったのだろう。


 トレゲネが狂ったきっかけは、オゴデイに指名されていた後継者のクチュ(三男)が戦場で死んだからである。

 オゴデイはクチュの息子であるシレムンを後継者にしようと思っていたが、ハッキリしなかったので、トレゲネは『チャンス!』と思ってしまったのだろう。


 推測であるが、ライバルの皇妃たちを毒殺し、オゴデイの弟のトゥルイを毒殺し、最後に夫のオゴデイを毒殺した。

(偶然と呼ぶにはタイムリー過ぎるようだ)


 そして、腰が引けている蒙古もんごぅ部族会議くぅりたいを掌握して監国に収まり、その後は耶律楚材やりつそざいなどの建国の重臣たちを処刑したり追放したりしている。

 更には民に重税を課して恨まれながらも、息子の選挙資金を集めていった。


 お陰で息子のグユクはめでたく3代目を襲名し、トレゲネは満足して死んでいったらしい。

 とは言え、それからの蒙古もんごぅ兄弟従兄弟きょうだいいとこ従兄弟兄弟いとこきょうだいが相争い、世界中に迷惑を掛けたが、帝国の運営は今ひとつ上手く行かなかった。

 もっとも、チンギスカアンの建国理念が、


『世界中を草原に変えてしまおう』


 という、某国の国土交通省のお役人のような代物だったから、始めから上手く行く筈がなかった。

 唯一、中華思想を理解したクビライが『元』を建国したが、膨張主義を転換することはできずに宋や倭国にちょっかいを出して消耗し、100年くらい支配して草原に帰っていった。

 その頃の倭国は、第6皇妃などではなく正妻だった『尼将軍』が築いた執権政治だったが、御家人たちの不満が募っていて、蒙古もんごぅの襲来は戦乱のきっかけになっていった。


 ええと、何の話をしていたんだっけ?

 クズ頭は時々暴走するのだ。

 それが役に立つこともあるが、大半はクズだった。


 妻を選ぶ時は、顔ではなく下半身で選ぶべきだという話だっけ?


『雌鳥が朝を告げると世は乱れる』


 とは、春秋戦国時代の故事だと思うが、皇太后に権威を与えてしまうのは鮮卑族の文化ではなかっただろうか?

 きっと、恐妻家が多かったのである。


 イスラムのハレムなら妻は皆平等であり、跡継ぎは当主か親族会議で決めることになる。

 こちらが正しい一夫多妻制である。

 妻の格付けなどしないのだ。(事前にはするのかな)


 封建制では、後の時代には継承法を定める国が多くなった。

 日本史では皇太后政治や女帝は希であり、古代の女帝の伝説を除けば、女に政治的地位が与えられることはなかった。

 思うに、広い世界を見たり、庶民の生活を理解することが、為政者には必要なのではないだろうか?

 城の中での権力闘争しか知らないで国を滅ぼすのは、皇太后でも、ボンボンの跡取りでも同じだと思う。


 世襲制自体が間違っていると言えばそれまでだが、才能が引き継がれることもあるから、世襲制のすべてが悪いことではなく、要するに才能がない者に親の欲目で後を継がせるのが悪いのだ。


 頑固な職人のオヤジのように、才能が無い奴は早々に切り捨てる(別の仕事に就かせる)のが正しいと思う。

 関西の会社では、優秀な部下を娘婿にして任せることが多いらしい。

 跡取り派と高弟派に分裂しない、上手い手だと思う。


 それで、新たに手に入れた女たち……


 おっほん。


 あー、うちの世話役たちは後宮の女中となった。

 男子禁制とはしていないが、自然とそうなってしまった。

 彼女たちは妻になるだろうか?

 いや、女中のままだろうと思う。


 港が手に入ったので、俺は直江津に来てから船造りに挑戦していた。

 吉川の次男のモトと、ギイの長男のマハ(マハヴィー)と次男のビク(ヴィクラム)に、羊人の書生頭だったリーメの妹で、器用なメア(13歳)とミア(11歳)の5人で取り組んでいる。


 俺は口先ばかりで労働力は彼等である。


 既に、ギイの長男と次男には、部下(見習い)が20人近くいるし、メアとミアにも優秀な部下たちがいるのだ。


 俺たちは、三角帆のヨットから開発した。

 今では2艘で帆走できるようになってきた。

 1号艇は全長7mだが、2号艇は全長12mである。

 外装のペイントが漆なので少し弱かったが、そのうちに石炭か石油を見つけてタールかアスファルトから塗料が作れるだろう。


 セーリングは慣れてくると気持ちよく、上天気の日にはいつでも出かけていた。

 メアとミアは浮きをつけた疑似餌の仕掛けを沖合にまで持ち出し、夕方や朝に砂浜で巻き上げては、捕れたスルメを浜辺で干して、干物を量産していた。

 村人たちが大喜びなので、ボートを幾つか作って使わせたら、海老や蟹も食卓に上るようになった。


 この技術を元にして、300トン(2千石)クラスの帆船を2隻作っている。

 それが今の課題であるが、俺たちが遊んでいても、部下たちが勝手に作ってくれている。

 

 まあ、マハとビクはリーメの工房にいたから、金属材料を大幅に導入した実験船にも着手している。

 それができたら、いよいよ佐渡金山である。


 少し、目標が近づいて来たような気がする。

 移民船もサイクルが速くなり、既に第9次移民団が到着した。

 直江津が賑やかになり始めている。


 晴れた日の洋上でのセーリングで、明るく微笑むメアとミアの肢体は、素晴らしく美しかった。


 最近は夢の中でも女の子としていて、何故か相手は誰だかわからないのだけど、終われないので欲求不満が募るばかりだった。

 お陰で、起きていても欲求不満である。


 女中たちは処女のせいか、朝の俺の状態を見て、気絶する者たちが続出したが、気絶しても紋章は浮かび上がらなかった。

(当たり前か)


 俺のクズ度も、順調に上がっているようだった。

 元々かもしれないけど……




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