表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/95

EP 4

作戦名『絶対無敵ポポロフェス』! 新戦力集結

ポポロ村の地下深くに存在する秘密の空間、通称『キュルリン・ラボ』。

そこでは、ルナミス帝国の経済封鎖を打ち破るための、前代未聞の作戦会議が開かれていた。

「フフン♪ ルナミスのオルウェルめ、アタシを舐めるんじゃないのじゃ! ヤツらの敷いた情報統制ネットなんぞ、地下帝国ドンガンを経由した『裏の魔導回線』を使えば、一瞬でスリ抜けられるのじゃ!」

ゴスロリ衣装に安全帯と工具袋をぶら下げたドワーフの天才発明家、キュルリン(100歳・見た目は幼女)が、巨大な魔導サーバーの配線を繋ぎ替えながら誇らしげに胸を張った。

「おおきに、キュルリンはん! 回線さえ確保できればこっちのもんや」

ニャングルが黒板を叩く。そこには『作戦名:絶対無敵ポポロフェス』とデカデカと書かれていた。

「ええか皆の衆! 今回の敵は一億人の『悪意(炎上)』や! これをひっくり返すには、圧倒的なクオリティのエンタメで視聴者を黙らせるしかない! ステージの設営、演出、機材の搬入……ポポロ村の全戦力を投入するで!」

「任せてください! 正義のステージ設営、この『紅蓮の戦乙女』が請け負いました!」

ズガガガガガッ!! バチバチバチッ!!

地上にある村の広場では、とんでもない光景が繰り広げられていた。

カギタ公爵令嬢にして極貧の賞金稼ぎ・ダイヤが、ユニークスキル【ウェポンズマスター】をフル稼働させていたのだ。

本来はあらゆる武器を使いこなすためのチートスキルだが、今は「溶接機」「建設重機」「魔導アンプ(スピーカー)」の最適解を弾き出し、たった一人で軍隊並みのスピードで巨大なライブステージを組み上げている。

「ふふっ……これで弾薬費と、テントの修繕費が稼げる……っ!」

目を血走らせながら鉄骨を組むダイヤの口に、リアンがスッと『肉椎茸のおにぎり』を突っ込んだ。

「前払いのまかないだ。食いながらやれ」

「もがっ!? ……美味しいぃぃ! 肉汁と旨味が五臓六腑に染み渡りますぅ! よーし、最高のスピーカー防音壁も作っちゃいますよー!」

原価数十円のまかないで、S級クラスの重火器令嬢が完全に買収されていた。

「おい、ニャングル! なんで竜人族族長の息子の俺様が、こんな裏方の仕事をやらなきゃならねぇんだ!」

ステージの脇では、イグニスが両手斧を放り出して不満げに鼻息を荒くしていた。

「アホかイグニス! 今回の主役リーザを輝かせるには、お前の力が必要不可欠なんや! お前の『大火炎』のブレスで、ステージの照明と特効(花火)をド派手に演出するんや! これが成功すれば、T-TUBEの画面越しに一億人がお前の勇姿を見て、『さすがイグニス様!』って純金の像が建つで!」

「……な、なんだと? 一億人が俺様を……? フッ、仕方ねぇな! 極上のスポットライトを当ててやるぜ!」

見栄っ張りの竜戦士は、チョロすぎるほど簡単に丸め込まれた。

「闇夜を切り裂く一陣の風……! 拙者、タロ・イーツでござる!」

そこへ、地下の隠し通路を通って、中二病の大学生・良樹が到着した。

その後ろには、大量の「秘密の魔導放送機材」を背負わされた巨大なジオ・リザード(始祖竜クロノ)が、ウンザリした顔で続いている。

「おお! 良樹はん、ロードはん! ルナミスの検問をよくスリ抜けてくれたな!」

「フッ……我が竜撃砲のロマンの前に、不可能という文字はないでござるよ(※検問の兵士が寝ている隙に裏道を通っただけ)」

「……早く荷物を下ろせ。首が凝る。我は始祖竜だぞ……」

ぶつくさ文句を言いながらも、ロード(クロノ)は器用に機材をステージへと降ろしていった。

村中の人間、エルフ、ドワーフ、獣人、竜人が一丸となって、一つの「ステージ」を作り上げていく。

その熱気を、ポポロ屋の窓から見つめている少女がいた。

「……すごい。みんな、私のためにあんなに頑張ってくれてる……」

芋ジャージを着たリーザが、震える手を胸に当てる。

プレッシャーで押し潰されそうになる彼女の肩を、キュララがポンッと優しく叩いた。

「大丈夫だよ、リーザちゃん! 私が培ってきた『バズるカメラ目線』の技術、全部教えてあげる! アンチのコメントなんか気にしないで、リーザちゃんの『本当の歌』を世界中に響かせるの!」

「……はいっ! 私、歌います。パンの耳で鍛えたこの喉で、絶対にみんなを笑顔にしてみせますっ☆」

「……よし。ステージは完成した。機材の接続もオールグリーンだ」

リアンがエプロンの汚れを払い、全員に向けて声を張り上げた。

「これより、ルナミスのクソッタレな情報統制をぶっ壊す! 『絶対無敵ポポロフェス』、配信スタートだ!!」

ルナミス帝国中のT-TUBEの画面に。

そして、内務省の巨大モニターのど真ん中に。

『ポポロ村・公式真実配信チャンネル』という、ゲリラ放送のサムネイルが、突如として表示されたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ