307話 戻って来た見習いたち。
基本、月に2話投稿予定です。
ケールさんは僕の師匠との少女時代を楽しそうに語った。話だけ聞けば人間の女の子となにひとつ変わらない。他愛もない内容だったがそれが逆に新鮮に感じられた。
そんなときだった。
突然に扉が開かれて少女と思える若い女性が2人、家の中に飛び込んで来たのだ。頭からすっぽりと長いローブを羽織っているので顔までは詳しくわからない。
「師匠。大変ですっ!」
「試練の洞窟にとんでもないのが出たのですっ!」
フードを上げたので顔が見えた。若い綺麗な女性たちだ。どうやら魔女見習いの2人で間違いないようだ。
そしてその表情はかなり慌てている。
「落ち着きなさい。まず試練はどうなったのです?」
ケールさんに強く言われたことで見習い魔女の2人はひとまず落ち着いたようだ。そして深呼吸を繰り返して返答をするのであった。
「試練は中止しました」
「洞窟に強力な魔力を持つ者が現れたからです」
なるほど。
どうやら邪魔が入ったので試練は中止になったようだ。そして強力な魔力を持つ者の存在が僕は気になった。
だが、それはケールさんも同じようで口を開くのであった。
「いったい何が現れたのです?」
「……わかりません]
「……見たことのない者でした」
話を聞くとどうやら遠目でしか見ていないとのことだった。
ただ尋常じゃない魔力を感じたので危険と判断し試練を中止したとのことだった。
「護衛の冒険者たちはどうしたのですか?」
ケールさんが尋ねると見習いたちはそろって首を左右に振る。
「洞窟に残って様子見しています」
「リーダーのケリーからの進言でした。冒険者として洞窟の外に出ないように見張るとのことです」
するとケールさんが厳しい表情になった。どうやら『青い翼』のことを心配しているようだ。
「その冒険者たちが心配ね。……仕方ない。私が行くからお前たちも着いてきて」
ケールさんはそう言って立ち上がると三角帽子と長杖を用意する。弟子たちもケールさんの後ろに着いて家を出ようとした。
そのときだった。
「待ってください。私たちも行きます」
エリーゼがそう発言した。
「危険かもしれませんよ」
「構いません。元々、私たちはその冒険者パーティ『青い翼』の捜索を依頼されたのです。なので私たちも『青い翼』の無事を確認する義務があります」
そうなのだ。
僕たちがそもそもこのダンジョンに入ったのは『青い翼』の探索依頼なのだ。なので、彼らの安否を確認する必要がどうしてもあるのだ。
「わかりました。では共に行きましょう」
聞けば”試練の洞窟”は近道すれば徒歩でも1時間もかからないらしい。なので僕たち合計8人は森を抜けて草原の道を歩いて移動するのであった。
「あそこに見える森を超えた所に洞窟はあります」
先頭を歩くケールさんがそう言って進路を指さした。
なるほど。こんもりと盛り上がった森が見える。その先に洞窟はあるのだろう。
やがて森に入り、そして抜けた。
すると眼前に断崖があり、そこにぽっかりと洞窟が穴を開けていたのであった。
「ここが”試練の洞窟”です」
ケールさんが手短にそう告げた。
洞窟は自然に出来上がったもののようで、人の手が加えられた痕跡はまったくないものだった。
そして僕たちは洞窟に入った。
洞窟の中はヒカリゴケが自生しているようで、ほのかに明るい。そして5分ほど進むと風景が変わった。
それまで天井も壁も足元も自然のままの洞窟だったのに、途中から天井と壁が石積になり、床も石畳になっていたのだ。
「人工の洞窟に変わったね」
「そうね。入口付近だけが天然のものだったのね」
すると僕とエリーゼの会話を耳にしたケールさんが口を開く。
「入口から人工的だと興味を持たれて部外者に入られる可能性があるから、こういう造りになっています」
なるほど。
ここは魔女たちが使う施設なのだ。
そのことから一般の人、例えば冒険者たちが入ってしまう機会を減らすためにこう造られたようだ。
……まあ、ここはダンジョンの地下11階層。未踏破なので心配はないと思うけど、念のためにそうなっているのだろう。
そんなときだった。
僕の前方を歩くエリーゼが手を上げた。するとケールさんたちも足を止める。
「この先に気配があります。魔物ではありません。4人います」
そう告げたのだ。
すると魔女見習いの2人が顔を見合わせる。
「たぶん冒険者パーティの人たちです」
「『青い翼』のみなさんだと思います。この先で警戒任務をすると言ってました」
なるほど。
どうやらエリーゼが察知した気配は『青い翼』の一行のようだ。なら、警戒は必要ないだろうね。
「ケリー。私たちは戻って来ました」
「応援を連れてきました。安心してください」
ケールさんの弟子2人が洞窟の奥に向かってそう叫んだのであった。
洞窟に何者かがいたのです。(`・ω・´)∩
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