306話 魔女のケール。
更新遅れました。すみません。
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僕にはケールさんに個人的に尋ねたいことがあった。
それは魔女のことだ。
僕の師匠のアルも魔女だが、僕は魔女という種族のことをよく知らないのだ。
だが、今は任務の方が重要だ。それくらいのことは僕でもわかるので口を開くことはなかった。
「ケールさんは、こちらにお住まいなのですよね?」
「はい。ここは私の家です」
エリーゼが尋ねるとケールさんは笑顔で答える。隠し事もなにもない悪意のまったくない笑顔だ。
「……ここはダンジョン内部だと思うのですが、それを承知でこちらに住んでいるということでしょうか?」
「ええ。ここはダンジョンの地下11階層ですね。静かで居心地がよい環境なのでここに越してきたのです」
なんとケールさんはここがダンジョンと理解していて引っ越してきたらしい。これは驚きだ。
ダンジョンということは魔物たちもいる訳なのだ。身の危険を感じないんだろうか……。すると僕のそんな疑問がわかったようで僕の顔を見てケールさんが答えてくれる。
「幸い、私は魔女なので魔物たちから身を守るのは難しいことではないのです」
なるほど。
ケールさんがどれだけの実力を持った魔女なのかはわからないが、僕の師匠のアルであれば、ダンジョンの中でも平気で暮らせる戦闘力はある。そう考えればケールさんがこの場所に住処を構えていても不思議ではない。
「そう言えば先程、話があると伺いましたがどのような件なのですか?」
そうエリーゼが問う。
そうなのだ。ケールさんは僕たちが行方不明のCランクパーティを捜していると発言したら、それならば中に入ってくれと案内されたのだ。
「あなたがたが捜している人たちに心覚えがあるのです。たぶん冒険者一行とそれを依頼した私の弟子たちだと思えるからです」
また不明な件が浮上した。
僕たちは互いに顔を見合わせたが理解している表情の者は誰もいない。
「……どういうことでしょうか? 私たちは冒険者組合からの依頼でダンジョン地下10階層で行方不明となったCランクパーティ『青い翼』と、そのパーティと同行したと思われる2名の方々を捜しているのですが……」
「ええ。依頼したパーティが『青い翼』かどうかはわかりませんが、それに同行した者はおそらく私の弟子たちです。
私たち魔女が一人前になるための試練がこのダンジョンにあるのです」
「試練のための護衛として『青い翼』を雇ったということでしょうか?」
エリーゼがケールさんにそう尋ねるが、それは僕も思った疑問だ。魔女の試練がなんだかわからないが護衛を雇っての挑戦はなにかおかしい気がしたのだ。
するとケールさんは、僕たちが言いたい意味がわかったようでひとつ頷くのであった。
「疑問に思われている意味がわかりました。……魔女の試練は戦うこと、つまり魔物を倒すことではないのです。なので目的地に向かうまでに魔力を消費したくないため護衛を雇ったのでしょう」
ケールさんの説明によると魔女の試練とはこの先にある洞窟の奥に設置されている”試練の石”というものに魔法をかけることだと言う。
なんでも”試練の石”に適量な魔法を通すことで石が白く光るらしい。そして光らせることができれば魔女として認められることになるとのことだ。
「……つまり魔女見習いの方々が魔物から守ってもらうために『青い翼』を雇ったってことですね?」
「ええ、そうでしょう。……本来ならば冒険者組合に依頼すべきことですが、……魔女見習いは世間知らずなので、ちょうどダンジョン攻略しようとしているパーティに声をかけたのだと思われます」
なるほど。
どうやら『青い翼』とその雇い主は見当がついた。
ならばこれからどうするかだろうね。
「……今頃、試練の石に挑んでいることでしょう。ただし私には会わず直接洞窟に向かったので正確な頃合いはわかりませんが、終了すればここに報告に来るはずです」
「そうですか。わかりました。なら私たちは待つことにします」
「ええ、それがいいでしょう。狭いですが、この家でお待ちになっていただければ良いかと思います」
そうなのだ。
僕たちが受けた今回の依頼はあくまで行方不明のパーティの捜索なのである。無事に戻って来られるのなら、それで依頼は完了なのだ。
なので僕たちはお茶をいただきながら待たせてもらうことにした。そして僕は尋ねたのだった。話が一段落したのだから問題ないだろうと思ったのだ。
「……あのぉ。……ケールさんは魔女なんですよね?」
「ええ、そうよ」
「実は僕の師匠も魔女なんです」
するとケールさんの目が鋭くなった。なにか警戒したのかもしれない。
「マキラさんだったわね? 師匠の名前を訊いてもいいかしら?」
僕は不安がよぎった。考えたら僕は魔女のことはなにも知らないのだ。もしかしたら敵対している関係とかもあり得るかもしれない。
だが、一度口を開いてしまったのだ。ここは避けることはできないだろう。
「師匠は名前は……。アルです。……正確にはアルスイーヌです……」
するとケールさんは目を細めた。そして懐かしむかのような遠い視線を窓の外に送る。
「……アルスイーヌ。……懐かしい名前を聞きました。アルスイーヌは元気でしょうか?」
「はい。もう半年以上は会っていませんが元気でした。……ケールさんは師匠とはお知り合いなのでしょうか?」
すると笑みを浮かべたケールさんが深く頷いた。
「私とアルスイーヌは同じ師匠の下で修行した身なのです。私たちは姉妹のように育ちました」
「本当ですか。それは偶然ですね」
驚いた。
師匠は年齢不詳だが、眼の前のケールさんも見た目は20代後半だが、本当の年齢はわからない。とにかく魔女は長命と聞いている。なので師匠とケールさんが修行していたのは数百年前であることは間違いないだろう。
師匠と同じ弟子仲間だったのです。(`・ω・´)∩
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