305話 森の中の家。
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地下11階層に到着した僕たちは驚きの声を上げた。そこには森があり、湖が広がっていたからだ。
鬱蒼とした森林からは鳥のさえずりが聞こえてくる。
「……フィールド・ダンジョンだったのね」
そうなのだ。
地下10階層までは石造りのダンジョンだったのに、この11階層は青空が広がる大自然のフィールド・ダンジョンだったのだ。
「えと……。どこを目指せばいいのかな?」
僕は湖の対岸辺りを見ているのだが、向こう岸に行くには湖を周って行くしかなさそうだ。そう思ったとき、フララランが発言した。
「見てくださいっ。森の中に道がありますよっ」
なるほど。
僕たちが降りて来た階段の向こう側の森に確かに土の道があった。
「そうじゃのう。あの道はどこかに通じている可能性があるのう」
「見て。足跡があるよ」
そう言ってフーシュが道に近づき地面を指差すのであった。
するとそこは湿った土があり、いくつもの足跡が残されていたのであった。
「ひとり、ふたりじゃないわね」
「そうだね。少なくとも4、5人分はあると思うよ」
そうだった。
残された足跡はたくさんあり、サイズも異なるので多数の人間がここを通ったのは確実だ。
「この足跡は行方不明のCランクパーティのものじゃないですかっ?」
「考えられるのう」
「じゃあ、これを追跡すればいいんだね」
そうなのだ。
行方不明のCランクパーティ『青い翼』は10階層で目撃されなくなった。それを考えると階層ボスを倒して11階に到着したと思われるのだ。
このダンジョンでは10階層までしか走破されていない。それは冒険者組合で確認済みだ。そのことを考慮すると、やはり『青い翼』がこの足跡の主だとしか思えない。
そして僕たちは足跡を追って細い森の道に入るのであった。
それからしばらくしたときだった。
森はかなり深いようで一向に出口が見えなかったのだが、急に前方が明るくなったのだ。
「……また、湖ね」
「今度はさっきのよりも小さいね」
「そうですねっ。大きめの池と言っても差し支えありませんっ」
「むむむ。……対岸になにか見えるのう」
「そうだね。家かな?」
そうだった。
フーシュが言うように湖の対岸の湖畔に家のようなものが立っているのが見えたのだ。
「……ここ、ダンジョンよね?」
「そうだね。……でも気になるね」
僕たちはその家を目指すことにした。
湖畔をぐるりと周って歩いて行くのだ。
そして10分も歩くと目的の家に到着したのであった。
家は木造の2階建てで瓦屋根の上には暖炉の煙突が伸びている。薪割りの斧と割かけの薪があったり、洗濯物が干されたりしていることから生活感はあるので空き家ではないようだ。
「誰か住んでいるみたいですねっ」
「そうじゃのう。訪問してみようかのう」
「そうだね。『青い翼』の情報が得られるかもしれないね」
フラララン、タマユラ、フーシュたちがそう発言した。
そして僕たちはリーダーのエリーゼを先頭にこの家の玄関扉をノックするのであった。
「すみませ~ん。どなたかいらっしゃいませんか?」
エリーゼがそう問いかける。
するとしばらくすると室内から足音が聞こえて来るのであった。
「は~い」
鈴を転がしたかのような涼やかな女性の声とともに扉が開けられた。するとそこには黒いローブ姿をした黒髪の毛を背中まで伸ばした若い女の人が立っていたのである。
そして驚くくらいの美貌の人だった。
僕たちは唖然として言葉を失ってしまうほどだ。
「道にでも迷われましたか?」
女性がそう僕たちに尋ねたのだ。
すると僕たちは互いに顔を見合わせて頷くとエリーゼが代表して口を開く。
「……私たちはダンジョンを攻略している最中の冒険者です。そしてある人たちを捜しているのですが……」
「それならお話する必要がありますね。中にお入りください」
すると女性は僕たちを家の中へと招き入れたのであった。
そして客間と思われる広い部屋へと案内されて席につかされるのであった。
そして女性は僕たち5人にお茶を振る舞ってくれた。僕たちは礼を言うと遠慮なくいただく。
「まずは私から自己紹介しましょう。私はケールという魔女です」
女性は魔女だった。
魔女と言えば僕の師匠のアルもだが、そんなに多い種族じゃない。
いったいどうしてダンジョンの中に住んでいるんだろうか……。
「私たちはBランクパーティー『ひとつの足跡』です。私がリーダーのエリーゼという斥候職です」
エリーゼが名乗り終えると僕たちは順番に自己紹介したのであった。
湖畔に家に魔女がいたのです。(`・ω・´)∩
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