ヘイダール伯爵の帰還 25
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「ヘイダール伯爵の帰還 25」を加筆修正致しました。
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再度修正致しました。(11月15日)
ふたご銀河のリドス連邦王国の首都星はジル星団にある惑星ガンダルフである。
その惑星ガンダルフのリドス連邦王国の首都ガンダルで、ヘイダール伯爵と魔法使いのレギオンは空に浮かぶ王城を訪れていた。
王城は古風な石造りだった。
外側に頑丈な石造りの城壁があり、その中にいくつかの尖塔のある建物があった。
建物の間には庭園があり、四季様々な花が咲いていた。
王城は広大で、建物と建物の間は屋根の有る回廊で繋がっていた。
城壁の下には別の土台となる建造物があり、それは雲で隠されていた。
雲で隠されている王城地下の建造物が要塞としての機能を備えていた。
艦隊の発着も可能なようにできていた。
但し、リドス連邦王国の宇宙艦隊の基地は惑星ガンダルフにはなく、この恒星トゥーラーンの第4惑星と第5惑星の間にある。
そのことはまだ宇宙航行技術であるワープ航法のない他の国には秘密にされていた。
惑星ガンダルフではその衛星に艦を飛ばすことができる程度の宇宙艦技術しかまだなかった。
従って王城は反重力装置で浮かんでいるのだが、魔法で浮かんでいることにしてある。
なぜなら他の大陸の諸国にとってリドス連邦王国は、まだ古い魔法の残る遅れた技術の国家の一つだと思われているからだ。
王城があると地上は暗くなってしまうので、王城は首都ガンダルから離れた海上に浮かんでいた。
しかも、時折王城は動いてどこにあるのかわからなくなると言われていた。
王城に入るには地上から飛行艇に乗って王城地下の要塞に入るか、地上に作られた転移陣のある建物から行くことができた。
それは一般の人のために作られたものだった。
官僚や国会議員や外国からの賓客などもそれを使う。
但し、魔法使いで転移の呪文の使える者は王城に入る許可登録をされていれば自分で来ることができた。
ヘイダール伯爵とレギオンは王城の転移許可名簿に登録されていた。
二人は一瞬で王城に入ると、辺りを見回した。
そこは王城の一番大きな建物に繋がる回廊だった。
辺りには誰もいない。
二人が歩き出すと、不思議なことにいつの間にか大広間に来ていた。
「よくおいでくださいました」
と、声がした。
見ると、正式な王城の女官の制服を着た年長の女性が立っていた。
「おお、久しぶりじゃな……」
と、ヘイダール伯爵が言った。
以前ヘイダール伯爵は何度かこのリドスの王城に来たことがあり、王城の女官長に遭ったことがあるのだ。
その時の女官長と目の前にいる女官長は同じ人物のように見えた。
「どなたに御用でしょうか?」
「もちろん、女王陛下に会いに来たのじゃ」
「左様でございますか。ですが、残念ながら女王陛下は今、議会にお出になっておられます」
「かまわん。待たせてもらうのでよいのじゃ」
「では、客間にご案内いたします」
当たりの様子が一瞬で変わった。
気が付くと以前にいつも案内されていた客間に二人はいた。
部屋はあまり広くないが、中央にテーブルと椅子があり、周囲に様々な花が置かれている。
そして、女官長とは別の女官が部屋の中に立っていた。
「どうぞ、お座りください。陛下の御用が済みましたら、こちらに来られると存じます」
「わかった」
女官が手を叩くと、侍女がお茶と菓子を持ってきた。
「では、何かありましたらお呼びくださいませ」
と言うと、女官と侍女たちはいなくなった。
「変わっておらぬな……」
と、ヘイダール伯爵がお茶を飲みながら言った。
ここに来るのは久しぶりだった。
おそらく百年ほどになる。
ヘイダール伯爵がふたご銀河を留守にしていた時間だ。
けれども、ここはまるでその時から少しも時間が経ったとは感じさせなかった。
先ほどあった女官長も前と同じ人物で、歳を取ったとは思えなかった。
ここ、王城の中の時間は外の時間とは流れる速さが違うのかもしれないとヘイダール伯爵は思った。
リドス連邦王国の政府は共和政治と王政とが合体したような政治を行っていた。
内政は国民の選挙で選ばれた議員が行うが、外交と国防は王族が担っていた。
そのため、議会が開かれる時には女王も議会に出る。
尚、内政に関して王族は顧問の立場で、余ほどの事がない限り干渉しないのが常だった。
出されたお茶を飲みながら客間の窓から外を見ると、何か大きな生物が飛んでくるのが見えた。
翼のある竜だった。
その数が尋常ではなかった。
「ほお、この惑星にも竜がいるのだな」
竜というのはどこの文明や惑星においても、古い生物で力だけではなく知能が高いのだ。
特にこのふたご銀河のジル星団においてはダルシア人を筆頭にして、竜族は非常に力と知能が優れていると言われているのをヘイダール伯爵は知っていた。
飛んで来たのは竜の一団で、どこか怒りを発してくるのがわかった。
「ふん。連中か……。あれはダルシア人の成れの果てだ」
「成れの果て?」
「昔、ダルシアからガンダルフにやって来た者たちの子孫だ」
「元ダルシア人ならかなり強力な力をもっているのではないか?あの連中はどこか怒りを放っているように感じるのだが……危険ではないのか」
「確かに普通の魔法使いよりは強い力をもっている。だが、元のダルシア人ほどの力はない。彼らは宇宙を渡ることはできないからな……」
「なるほど。とは言え、あの連中に来られては困るのではないか?」
「女王陛下か、王族の誰かがが何とかするだろう」
「まあ、わしらは客人じゃでな。見ているとするか……」
竜の一団は百頭ほどいた。
王城の周囲を集団で飛び、やがて王城の中に降りようとした。
だが、そこで何かの障壁に当たってしまい、弾かれていた。
すると、竜の一団はその障壁を壊そうと体当たりを企てた。
体当たりをする振動がひどく、ズシンズシンと響き渡った。
「うるさいのう、何じゃあれは?」
「だから、連中はダルシア人とはもう違うのだ。障壁があれば体当たりで壊そうとする当たり、知恵がない。野蛮過ぎるだろう」
「それはそうじゃが、このままではわしもうるそうて敵わんわい…」
「仕方がない。私が出るか…」
障壁に体当たりをしていれば、王城にいるリドス連邦王国の王族の誰かが出てくるとレギオンは思っていたのだ。
しかし待てど暮らせど誰も出張る様子がない。
それで仕方なくレギオンは竜達の前に忽然と姿を現した。
空中に転移して浮遊したのだった。
(お前たち王城に何のようだ?)
と、TPでレギオンは竜に聞いた。
(だ、誰だ、お前は……)
竜は驚いていた。
出てきたのが王女ではなく、どこの誰ともわからぬ男だったからだ。
このリドスの王城ではこのような場合出てくるのは女、つまり王女と決まっていた。
(私が誰かわからぬのか?お前たちも随分と衰えたものだな)
(何だと!)
(待て待て、癇癪を起すな…。私はレギオンと言う。ガンダルフの魔法使いだ)
(レギオンだと?)
ドラゴン達の間に驚きが走った。
レギオンの事を知っているようだった。
それもそのはずで、竜は人間よりも寿命が長い。
ダルシア人では無くなっても、彼らは知識を蓄える事を重要視していた。
彼らの中でもガンダルフの五大魔法使いの名は知られているのだ。
それに、かつては竜とよく付き合った時代もあったのだ。
この竜に会うのはおそらく初めてだろうが、レギオンは恐れやためらいを感ずる事は無かった。
そこにもう一人、女性が現れた。
レギオンと同じように現れて空中に浮かんでいる。
(竜よ、お前たちはこの城に何をしにきたのだ?)
と、彼女は竜を恐れることなくTPで呼びかけた。
(む、今度は誰だ……)
(私はガンダルフの五大魔法使いの一人、エルレーンのエリンと呼ばれている。今世はリドス連邦王国の第11王女アルネ・ユウキだ)
(何と、お前はあのサラマンダーか……)
突然現れた女性はよく見ると、ヘイダール要塞にいる銀の月によく似ているとヘイダール伯爵は思った。
銀の月を女性にして少し若くしたような感じだ。
エルレーンのエリンはガンダルフの五大魔法使いの一人で、サラマンダーつまり炎竜とも呼ばれていた。
竜たちは彼女の事を他の五大魔法使いよりも良く知っていた。
惑星ガンダルフの五大魔法使いである銀の月と炎竜と呼ばれるエリンは、双子の兄妹として生まれてくるのが習いだとヘイダール伯爵は聞いている。
だから二人は男女の違いはあれ、非常に顔立ちがよく似ている。
けれども今世は、どうやら二人は遠く離れて生まれたらしい。
一人は銀河帝国に、もう一人は惑星ガンダルフに。
しかし、顔立ちが似ているというのは変わらないようだった。
ヘイダール伯爵はエルレーンのエリンに気づくと、近くへ転移して来た。
(む、またか。今度は何者だ……)
(わしはヘイダールじゃ。リドス連邦王国の女王陛下に会いに来たのじゃが、お前たちは何用なのじゃ。先ほどからうるさくて敵わんではないか……)
(何だと!我々はリドス連邦王国がガンダルフにやって来た時に交わした約束を守ってもらうためにやって来たのだ)
(約束?どんな約束なのじゃ)
(お前たちは我々が攻撃された時に守ってくれると言っていた。我々の住処は今、攻撃を受けているのだ。しかも人間にだ。亜奴らは魔法ではなく、人間に似せた金属のゴーレムで我々を攻撃してきている。だからリドスの者達にその約束を果たすように要請に来たのだ)
レギオンとヘイダール伯爵は顔を見合わせた。
レギオンとヘイダール伯爵は惑星ガンダルフの現在についてはほとんど知らない。
これまでジル星団とロル星団の間のヘイダール要塞にいたのだから、それは仕方がなかった。
アルネ・ユウキは惑星ガンダルフの状況をある程度知っているはずだが、この件については何がおきているのかわからないようだった。
(お前たちを攻撃して来ているのはどこの国の者だ?)
(ソラン公国と言うらしい。わしらには聞いた事がない国なのだ。随分最近できた国なのだそうだ。だが、そのゴーレムは強い。我らでは中々太刀打ちできぬ)
(ソラン公国ですって?)
(知っているのか、エルレーンのエリンよ)
(でも、彼らは今リドス連邦王国も加入している諸国連盟と戦争終結のための外交交渉をしているはずよ)
(ガンダルフでは戦が起きていたのか?)
と、レギオンは言った。
レギオンはまだガンダルフに戻って来たばかりなので、何が起きているのか知らなかった。
(主に、プレセル大陸の諸国で起きていた紛争だけれど、まさか竜の住む領域までソラン公国が手を出してきたとは……)
プレセル大陸で起きていた戦争は大陸諸国との戦争と言うよりは、惑星ガンダルフの周回軌道上に建設された人工衛星に居住する人々の国と地上の国との紛争だった。
惑星ガンダルフは元々魔法使いの星だったが、現在プレセル大陸においてはかなり魔法が衰退し、逆に科学技術が発達していた。
科学技術の発達により経済が発展して人口の増加を促し、ガンダルフに属する衛星や惑星を周回する人工衛星に住民を移住させるまでになっていた。
ソラン公国は惑星ガンダルフの衛星軌道上に建設された人々が居住する人工衛星が集まってできた国だった。
近年軍備を増強して、独立国家となった。
竜の言う金属のゴーレムというのは近頃開発された機動兵器のことではないかとアルネ・ユウキは思った。
(ともかく、このままでは我々の住処が奴らに壊されてしまうのだ。今は我々にとって大事な時期なのにだ)
(大事な時期というのはどういうことなの?)
(大事な時期だ。我々種族の存亡がかかっている)
(つまり、繁殖期というわけか?)
と、レギオンは言った。
(そうだ。その上大事な我々の卵が奴らに持っていかれる始末。何とかして欲しいのだ)
(わかったわ。それなら、すぐに案内して)
と、アルネ・ユウキが言った。
(待て、お前だけで行くつもりか?)
(仕方がないわ。今、他の連中が出払っていて私しかいないのだもの。ところで、あなたは誰?どうしてここにいるの?)
と、アルネ・ユウキが今気づいたように言った。
(わしらはヘイダール要塞から女王陛下に会いに来たのだ。ちょっと相談事が出来たのでな……)
(それなら、ここで待っているといいわ。あと少しで議会が休憩にはいるでしょうから…)
(いや、それどころではないだろう。我々も竜の住処とやらに行こう)
(あら、あなたそこまで行けるの?)
(当然だ。私を誰だと思っている!)
アルネ・ユウキはレギオンと会うのは、今世では初めてだった。
(ええと、お客様ではないのかしら?でも、王城の外で、しかも空中に浮かんでいられるということは……。まさか、あなたガンダルフの五大魔法使いの一人なの?)
(そうだ。エルレーンのエリン、私が誰だかわかるか?)
アルネ・ユウキは目を丸くしてレギオンを見た。
(もしかして、塔の長と呼ばれる魔法使い?)
(違う)
(まさか…、それじゃ、レギオンなの?)
(そうだ)
アルネ・ユウキは嬉しそうに言った。
(レギオン、兄様なの。それじゃあ銀の月は?今回は一緒にいたと聞いたけれど……)
(銀の月はヘイダール要塞にいる)
(ヘイダール要塞?ああ、あのジル星団とロル星団の間にあると言う要塞ね)
(そうだ)
(それなら、急ぎましょう。竜たちの悩みを解決したら、その話をしてくれる……)
(わかった……)
レギオンとヘイダール伯爵とアルネ・ユウキはドラゴンの一団と急いで目的地に向かった。
その昔、ジル星団のダルシア帝国の最盛期、ダルシア人はジル星団だけではなくロル星団にも調査艦を送って自分たちが住める惑星を探したり、食料を求めたりした。
また、ダルシア帝国における犯罪者、特に政治犯などを辺境惑星流しとして、他の惑星に送ったりした。
竜あるいはドラゴンとはその時の子孫がダルシア人としての能力を減退させ、またその惑星の状況に順応して住み着いた者達だった。
彼らは非常に強く、その惑星の生物の頂点に昇ることになった。
そして、年月が経つに連れて、自分たちのルーツがダルシア帝国にあると言う事も忘れて行った。
そうした者達は惑星ガンダルフだけではなく、ジル星団ではかつて多くの惑星にいたものだった。
しかし、今は惑星ガンダルフと幾つかの惑星にいるだけとなってしまった。
もっとも、そうした者達は本来のダルシア人とはかなり違ってしまっていた。
姿形だけではなく、ダルシア人のような力と知識を失ってしまったのだ。
現在ダルシア帝国の首都星にはダルシア人はいない。
宇宙都市ハガロンにいた最後のダルシア人、コアが亡くなったことで、居なくなってしまったのだ。
そうしたことも知らないのがここの竜たちなのだ。
ヘイダール伯爵とレギオンはアルネ・ユウキと一緒に惑星ガンダルフの竜の住処に転移した。
そこは大きな山脈がいくつもそびえるプレセル大陸の中央だった。
山脈には火山はなく、山頂に雪が残っていた。
この山脈には人は住んでいない。
動物もいない。
高い山が連なっているので、生き物が住むには適していないのだ。
ここには食料になる植物も生えてはいない。
だから、小動物もいない。
山は岩石がゴロゴロしているだけだ。
ハゲタカなどの鳥型の生物が住んでいると言われていたが、竜の住処だったらしい。
その山脈の中ほどで、他の竜たちが騒いでいた。
よく見ると、竜より大きな宇宙艦らしきものが竜たちの上空にいくつか浮かんでいた。
その艦の下には、竜と同じような大きさの人型の巨人に見える、竜の言うには金属のゴーレム――つまりアルネ・ユウキの知っている機動兵器が蠢いていた。
しかし、竜たちの攻撃に立ち往生しているようだった。
惑星ガンダルフで古くから言われているゴーレムは様々な形をした岩が人間のように二本の足と二本の腕と胴体を作り、一番上に頭となる岩が乗っているものだ。
形としては岩の巨人に見えるし、動きは緩慢だ。
ただ、形は一つ一つ違っていた。
今見ている金属のゴーレムは岩というよりは金属でできた機械で、形態は皆同じようだった。
動きは岩のゴーレムよりもスムーズで、しかも武器を持っていた。
初めはアルネ・ユウキ達の転移魔法に驚いていたが、仲間がやられているのを見て一緒に来た竜は言った。
(あれが、我々の住処を攻撃しているのだ……)
(人型の巨人に見えるが、中に人が乗って操縦しているようじゃのう……)
(やはり、あれはソラン公国の機動兵器のようね)
(機動兵器とは、最近開発されたものなのか?)
(ええ。でも、こんなところになぜ彼らがいるのかしら?)
(おそらく、密かに基地を作ろうとしたのじゃろう。ここは人がいないらしいからな)
(竜がいるとは思わなかったというわけか……)
(私だって、これほどの数の竜を見るのは初めてだわ……)
一般に惑星ガンダルフでも竜は伝説の生物か、いたとしても絶滅寸前で数はほとんどいないと考えられていた。
リドスの王宮に来た百頭ほどの竜のうち10頭がレギオンやヘイダールとアルネ・ユウキに付いてきていた。
他の竜は卵を産む寸前の雌の竜だと言うことだった。
そのため彼女たちはリドスの王城に残すことにしたのだ。
竜たちのリーダーが言うには、ソラン公国の金属のゴーレムが攻撃してきたので、動くことのできる竜を連れて来たと言う。
けれどもまだ、卵を産んで動けない竜がこの山脈に残っているのだった。
案内するために彼らは一緒にここへ転移してきたのだ。
そして、再びこの様子を見て敵を攻撃しようとしていた。
(ええと、あなたが竜たちのリーダーなのね)
と、アルネ・ユウキが王城にやって来て話した竜に話しかけた。
(そうだ)
(あそこにいる竜の仲間に、あの場所から退くように伝えることはできる?)
(可能だ。しかし、……)
(大丈夫よ。あのソラン公国の機動兵器と宇宙艦をあの場所から退かしましょう)
(そんなことができるのか?)
(ここにソラン公国の基地を作られては私も困る。だから、あの場所から退かしましょう)
(わかった。だが、少し時間が掛かるかもしれない。あそこは我々の繁殖に必要な場所なのだ)
(つまり、卵を抱えた竜たちがいるということ?)
(そうだ。だから、困っているのだ)
(わかったわ。レギオンそれにヘイダール、力を貸してやって、あそこにいる竜たちを別の場所へ移動させるように……)
(いいだろう…)
(わかった……)
山脈にいる竜たちは何かを抱えて丸くなっているようにヘイダール伯爵には見えた。
それが卵なのだろう。
竜たちから敵に攻撃を加えているようには見えなかった。
おそらく、卵を抱えた竜を守るのに必死なのだろう。
守っている竜はかなりの数がいた。
その数は機動兵器と言われるものよりも多い。
だが、卵を持つ竜を守るために敵を攻撃するにしても、その影響を味方が受けないようにする必要があるので、有効な攻撃をすることができないように思えた。
そして、ソラン公国の機動兵器の乗っていた母艦は彼らの上空で竜たちを攻撃しつつ、浮遊していた。
母艦の数は10隻だった。
アルネ・ユウキの知っている情報によると、母艦一隻に付き10体の機動兵器を乗せることができる。
それを考えると機動兵器の数が少ないようだった。
竜たちを直接攻撃している機動兵器は50体ほどだったからだ。
ソラン公国の機動兵器の大きさは竜と同じ位だった。
機動兵器はその肩に担いだ自走砲を攻撃してくる竜に向けて撃っていた。
撃たれた竜たちは山に落ちていく。
対して竜の方は、所謂ドラゴンブレスと体当たりで応戦していた。
ドラゴンブレスの威力は大きいが、卵を持ったメスの竜がいるのであまり使えないように見えた。
竜が機動兵器に体当たりすると、竜の方が傷ついて落ちていくのだった。
その上、母艦からの攻撃が竜たちを苦しめていた。
母艦からの主砲の攻撃は山脈の辺り一帯を破壊しつつあった。




