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ふたご銀河の物語(改訂版)  作者: 日向 沙理阿
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ヘイダール伯爵の帰還 17

 ヘイダール伯爵はヘイダール要塞を一望する空間にいた。

 そこだとゼノン帝国とナンヴァル連邦の艦がそのまま見えた。


 彼にとってこの要塞は大切なものだった。

 自分の全てを掛けて設計したと言ってもいい。

 と言うのは、当時のガンダルフの魔法使いレギオンと要塞の頑健さについて競争していたからだ。

 だが、今現在はその頃の要塞の防御や武器があまりにも不足している。


 もちろん、この要塞の防御や兵器についてヘイダール伯爵は新しくする必要があると感じていた。

 従って、今回のゼノン帝国とナンヴァル連邦の攻撃はちょうどよい機会だった。

 要塞の苦手や不味い部分を洗いだすことができるからだ。


 ヘイダール要塞は新しい兵器だけではなく、中にいる者達の練度も考える必要があると感じていた。

 あのナンヴァル連邦の潜入部隊が魔法で偽装されているため、ほとんど何も抵抗を受けずに快走しているのだ。

 これでは司令室まで何の障害もなく、彼らは到達してしまいそうだった。


 それでなくても、ナンヴァル連邦の兵士は人間の兵士よりも強い。

 ナンヴァル人はジル星団では竜族に入る種で、おそらく普通の人間族よりも力は二倍くらい違うと言われていた。



(このままではまずい……)



 ふと他の者の気配を感じて振り返ったヘイダール伯爵はガンダルフの魔法使いレギオンがいるのを見た。

 先ほど要塞に現れた時と同じ灰色のローブを着ていたが、頭の部分は除けられていた。



「ずいぶんと簡単に入られたものだ」

「仕方あるまい。今の連中は魔法など考えもしないだろう…」

「魔法か……。あそこの今の連中は魔法使いになるなど、まず無理だろう」

「だが、これで魔法使いが必要だと感じただろう」

「ふん、感じただけではどうにもなるまい。実際に魔法使いの知り合いなどいないだろう」

「リドスなら、都合をつけてくれるのではないかと期待しているのだが、……」

「さあ、それはどうだろう」

「お前さんは、どうでもいいのか?」

「……」



 ヘイダール伯爵はヘイダール要塞の強化について考えていた。

 今の所、アリュセア――つまりライアガルプスの力で何とかできると考えていたが、ジル星団の連中が何度も魔法を絡めた攻撃を仕掛けてくるとしたら、彼女一人では難しい。

 もちろん、ガンダルフの魔法使いの銀の月が支援するだろうが、ライアガルプスと銀の月ではやはり足りないだろう。

 今現在も、二人がゼノン帝国とナンヴァル連邦からの攻撃を何とかしようとしているが、要塞に潜入されてしまったのでは、ライアガルプスの方の力が足りない。


 例えば、要塞や艦隊などを丸ごと殲滅するようなことならライアガルプスは得意だろう。

 しかし、今回のように潜入部隊が散開してそれぞれが目標に移動するような攻撃を防ぐことは苦手なのだ。


 これまでのように、銀河帝国が艦隊で攻撃をしてくるのならば何とかなるだろう。

 だが、ジル星団の連中が艦隊と魔法を使って攻撃をしてくるとなると、あの二人では足りない。


 だとすると、次の段階、つまりここに元からある『レギオンの城』を使ってヘイダール要塞の強化をすることを早めなければ危ないだろうと思った。

 急ぐとなると、『レギオンの城』とヘイダール要塞を合体させることが早道なのだ。



「わしは、要塞の強化にはレギオンの城とこの要塞を合体させることが早道だと思うのだが……」

「合体か……。それは簡単にはできることではない」

「わかっている。だが、他に方法があるのか?」

「ふむ……」



 ヘイダール伯爵がレギオンに遭ったのはおよそ三千年前、白銀銀河にいた頃だった。

 白金銀河ではヘイダールではなく、モーリンと呼ばれていた。


 魔法を使ってレギオンはあちこちの銀河へ出向いては、ふたご銀河のダルシア人に替わる高度な文明を作った種族を探していたのだ。

 ガンダルフの魔法使いレギオンの名は、白銀銀河にまで届いていた。


 レギオンはふたご銀河の魔法使いであり、魔法の呪文を綴るものなのだ。

 それは他の銀河でも魔法使いを育てることができることを意味していた。

 魔法の呪文を綴るということは、中々できるものではないのだ。


 もっとも白銀銀河のアンダイン種族ほど進化していれば、魔法の呪文など必要ない。

 ふたご銀河のダルシア人も同じだ。

 けれども、そこまで進化していない種族にとっては魔法の呪文は必要だった。



 その頃のレギオンは今のヘイダール伯爵と同じくらいか、もっと老人に見える格好をしていた。

 灰色のローブを着ているのは同じだが、白髪に白い髭を蓄えて、長い杖を持っていた。


 その頃はすでにヘイダール伯爵の属していたアンダイン種族は肉体を持たず存在できるようになって長い年月が経っていた。

 そこまで進化した種族が次にすることは、この宇宙を創造したと考えられる神を探すことだ。

 自分達よりも優れた存在を探し、更に進化しようとするのだ。


 創造神について、その存在を否定するようなことは高度な文明を持った種族にはない。

 否定するような文明は大抵その途中で進化が止まってしまう。

 または創造神に対抗心を持ち、自分たちがこの宇宙で一番進化した種族だという事をアピールするために、他の種族を支配するような事をし始める。


 アンダイン種族は前者の者達で、ヘイダール伯爵は創造神を探す途中でかねて噂を聞いていた魔法使いレギオンの属しているこのふたご銀河に寄ったのだ。

 この銀河には彼が探している創造神はいなかったが、彼の種族に匹敵するダルシア人やリドス連邦王国の王族がいた。

 彼らと接触するうちにふたご銀河に興味を持ったのだ。








 ガンダルフの魔法使いレギオンはヘイダール要塞の設計や建設に陰ながら支援していたが、ヘイダール要塞が完成して百年後、ロル星団の銀河帝国に生まれた。


 レギオンは銀河帝国で軍に入り元帥まで昇進し、その後大逆事件を起こして戦死したことになっている。

 彼が魔法使いになるのではなく、軍人になるということは珍しいことだとダルシア人からヘイダール伯爵は聞いた。

 もっとも、銀河帝国には魔法使いなどという者はいなかったので、他になりようがなかったのかもしれない。

 その終わりが呆気なく、いつもなら老人なるまで生きているのに今回はまだ若いうちにその命をなくしたのも珍しいと聞いていた。


 とは言え、今の姿が若いのはそのような人生だった所為らしい。

 ダールマン提督と呼ばれていたレギオンは、現在は帝国での記憶はないと言っている。


 ガンダルフの五大魔法使いであり、『大賢者』と呼ばれるレギオンは生まれる前に死んだ時に蘇る魔法を掛けて生まれるのだ。

 その際、今回の人生での記憶は封じられるのだと言う。

 あまり良くない人生だと感情が高ぶって、魔法使いとして戻った時に何をしでかすかわからないからと本人が言っている。

 だから、ダールマン提督に見える彼はレギオンなのだった。



 彼らには銀の月がゼノン帝国の艦へと魔法で転移したのが見えた。







 ゼノン帝国の艦は、古いタイプのものなら銀の月はよく知っていた。

 この艦は新しく建造されたものだが、構造や武器はあまり以前のものと変わりがないように感じられた。

 古い時代からほとんど科学技術は進展していないのだろうか、と銀の月は思った。


 ゼノン帝国の一般の人々はあまり気が付いていないのだが、それは事実だった。

 だからこそ、ゼノン帝国の皇帝や政府の高官たちはダルシア帝国の遺産を欲しがっているのだ。


 ゼノン帝国風の装飾を付けた廊下を用心深く行くと、衛兵のいる部屋があった。

 銀の月の記憶が正しければ、あれは艦の司令室だ。

 衛兵は、戦闘状態での当然の配置だった。


 銀の月の姿がすっと消え、透明になると衛兵の前を通り過ぎた。

 銀の月が歩いている廊下は、艦の中央に前後に貫くように作られているものだった。

 最前部には主砲の砲塔がある。

 後部には、艦のエネルギー発生装置と駆動装置がある。


 司令室があるのは艦の中央で、あまり敵の攻撃が当たらない部分だった。

 従って捕虜や異星人を収容するような部屋は司令室と前部の間に作るのが古くからの習慣だった。

 昔からまったく変わらないその艦の構造は、潜入しやすかったが、銀の月がゼノン帝国の抱えている問題を察するに十分だった。


 ヒソヒソ声が聞こえてきた。

 部屋の一つに立ち止ると、銀の月は壁を通り抜けて中に入った。



「先ほどの攻撃は、大丈夫でしょうか?」

と、一人の魔術師が言った。



 敵の艦による攻撃でかなりの衝撃を感じたのだ。

 いつもなら、そんなことはないのに、と言いたげだった。

 部屋には他に数人の魔術師がいるようだった。

 だが、銀の月に気が付くような力のある魔術師はいないようだ。



「今、損傷を調査させている。まだ、使えそうか?」

と、艦の士官らしき人物が言った。


「あとしばらくは持つでしょうが、長くは持ちません」

「もう使えないか」

「と言うよりは、この状態がいつまで続くか我々にはわからないのです。医師に見せた方がよいのではありませんか?」

「向こうの人間の医師はゼノンにはおるまい」

「医師に見せても、治るかどうかわかりません。ですが、この状態を長く保つことができるかもしれません」

「あの要塞を攻略できれば、医師も見つかるだろう。だが、あの艦の攻撃力があれほどとは思わなんだ」

「向こうにはリドスの魔法使いがいるという噂を聞き来ましたが……」

「もしかしたら、とんでもない魔法使いがいるかもしれぬ」

「というと?」

「これは確かな話ではない。だが、ガンダルフの五大魔法使いが再び生まれていると聞いた」

「何と、本当でございますか?しかし、カリドフ艦長は軍人にしてはお珍しい。生まれ変わりをお信じになるのですか?」

「私は噂の話をしているだけだ。ガンダルフの五大魔法使いの生まれ変わりが事実かどうかは知らぬ。だが、そうした噂が流れていることは事実だ」

「もしかして、それは先日この要塞に派遣されたゴウン元帥の艦隊の噂でございますか?」

「それだけではない。惑星連盟の大使ボルドレイ・ガウン閣下も話しているそうな」

「しかし、どうしてそのようなことがわかったのでございますか?」

「例の、厄災の種だった、暗黒星雲の種族の一人が現れてその話をしたということだ」

「このあたりに暗黒星雲の種族が現れたのでございますか?」

と言って、その魔術師はあたりをキョロキョロと見まわした。


「そうだ。これまであやつらは、しばらく姿を見せなかった。だから、滅びたのではないかと希望を持った者もおるようだが、そう簡単に滅びるような連中ではない」

「ですが、その暗黒星雲の種族であったなら、この人間も直すことができるやもしれませぬ」

「だが、我々の益になるようなことを連中がすると思うか?」

「無理でしょうな」

「どちらにせよ、持たぬというのなら死んでも構わぬ。何とか今の状態を保てるようにせよ」



 魔術師との会話が終わると、カリドフ艦長は部屋を出て行った。

 銀の月は、彼らが人間と呼んだ、カプセルの中に横たわっているものを見た。

 おそらく新世紀共和国の出身であろうと思われるその人物は、50代の男性だった。

 その人物に見覚えはなかった。


 銀の月は密やかに呪文を唱えた。

 すると、部屋にいる魔術師たちはあくびをすると、一人、また一人とその場で眠り始めた。

 魔術師が皆眠ってしまうと、銀の月はカプセルの傍によりに両手を載せると、別の呪文を唱えた。







 ダズ・アルグは不安そうに艦橋に立っていた。

 銀の月がゼノン艦へジャンプした後、攻撃を続けていたが、向こうへ行った銀の月のことも心配になっていた。


 スクリーンを見続けていると、心なしか空間が歪んでいるように見えた。

 次の瞬間、元新世紀共和国の船に見えていたものがゼノン帝国の艦に変わった。



「これは、どうしたんだ?」

と、驚いていると、艦内通信用の呼び出しが鳴った。


 あわててそれを取ると、

「何だ、どうした?」

と、ダズ・アルグは言った。


「あ、あのバルザス提督が突然現れました。こちらは医務室です」

「それで、怪我でもしているのか?」

「バルザス提督ではなくて、カプセルに入っている人物が病気のようなんです」

「カプセルに入っている?ゼノン人か?」

「いえ、どうも新世紀共和国の人らしいのですが、身元がわかりません」

「ともかく、バルザス提督に報告をするように言ってくれ……」

とダズ・アルグが言うと、目の前にバルザス提督が現れた。


「わわ!急に、現れるな……」

「それは悪かった。急いでいたもので……」

「いったい誰を連れてきたんだ?」

「それはわからない。向こうでもわからないらしかったから。それよりも、もうあの艦に用はない。ここから離れた方がいい」

と、銀の月は言った。


「あの艦は破壊しなくてもいいのか?」

「このままここにいると、あの艦の本隊が出てくることになっている」

「それじゃ、他にゼノンの艦隊が待機しているということか……」

「そうだ。それは、うちの艦隊に攻撃させる。君は医務室の人物を要塞へ運んでほしい」



 リドス連邦王国の艦隊は要塞の近くにステルス状態で待機していた。

 銀の月――バルザス提督が連絡すると、リドスの艦隊はステルス状態を解除して、逃げるゼノン帝国の艦を攻撃し始めた。

 すると、ゼノン艦の背後に、こつ然とゼノン帝国の艦隊が現れた。



「向こうも、ステルス状態で待機していたんだ」

「危なかった……」









 ヘイダール要塞の司令室では、これまでにない窮地にあった。



「あのタレス人の船がナンヴァル連邦の艦だとすると、下りた者たちはみなナンヴァル連邦軍の兵士だということですね」

と、ディポックは言った。



 これは、かつてディポック自身がこの要塞を占拠するときに取った手法だった。



「そうだ。さて、どうするか……。ヘイダール要塞の司令官はどう考える?」

と、アリュセア――ライアガルプスは言った。



 事態はかなり危険だった。

 船から降りたタレス人に偽装した兵士たちは、本物のタレス人と見分けがつかない。

 それに、本当のことを公表したら一般の市民たちがパニックになる。



「ともかく、司令室に向かう通路を閉鎖してくれ。一般の市民にはこのことは知らせずにおく」

と、ディポックは指示した。



 司令室やナンヴァル連邦の大使を目的にしているなら、一般人がいても騒ぎを起こさないように無視する可能性が大きいとライアガルプスは言った。

 潜入する場合はその方が目的を達しやすいのだ。

 一般人を見て攻撃すれば、自分たちの潜入を公言するようなものだからだ。

 特に今のような場合は。

 だからこそ、こちらも守りが難しくなる。



「フェリスグレイブの方は、どうします?」

と、グリンが聞いた。



 要塞に敵の兵士が入り込んだ場合は、要塞防御指揮官であるフェリスグレイブとその部下の活躍する時だ。

 けれども、そのためには彼らに敵の所在を知らせなければならない。



「何とか連絡を取れるといいのだが……」



 通信員が要塞内連絡用の装置で呼び出そうとしていた。



「繋がりました」

「ともかく今いる場所に待機するように言ってくれ」

「了解」



 ディポック司令官はしばらく考えてから、

「ええと、あなたは今、アリュセアではなくて、ライアガルプスなのですね?」

と聞いた。


「そうだ」

「あなたは、タレス人に偽装したナンヴァル人を見分ける方法を知っていますか?」

「そうだな、知っていたとしてもお前たちでは無理だろう。タリア・トンブンの仲間なら、見分けられるものがいるかもしれない。だが、今となってはそれもできまい」



 タレス人の能力者には透視能力やTP能力のある者がいる。

 そうした能力者は今回の魔法の偽装を見破れる。

 ただ、彼らの中にタレス連邦政府のスパイがいると考えられる。

 タレス連邦政府はゼノン帝国と秘密裏に繋がっていることが分かって居るのだ。

 だから、却って彼らを使う事は考えものなのだ。



「なるほど。あなたには分かるのですね?」

「もちろんだ」



 要塞に侵入したからには、侵入者たちは司令室に向かうのが当然の行動だった。

 あとは、どうやって侵入者を撃退するか。

 駐機場から司令室までは、移動にかなり時間がかかる。



「何とか、フェリスグレイブたちをここへ来させなければ、……」

と、グリンが言った。


「それは、私たちがやれないかしら?」

と、カール・ルッツが言った。


「そのフェリスグレイブさんと部下たちをここへ案内してくればいいのでしょう?」

と、ルッツが続けて言った。


「ですが、途中で侵入者に会ったらどうするんです?」

「遭わないようにうまくやればいいのよ」

「なるほど、リフトをうまく使えば、侵入者を避けられるかもしれないな」

と、クルム少佐が言った。


「リフトをうまく使う?」



 案内を買って出たヴィン大佐に加えて、ルッツとクルム少佐は個人用通信機を渡されると、司令室を出た。



 司令室では個人用通信機の追跡機能で、三人の位置を把握した。



「そちらの通路は大丈夫です」

と、司令室のブレイス少佐が言った。



 ヴィン大佐にルッツとクルムはリフトに乗ると、後ろの壁に触れて転送場所を決定した。



「あ、あら、どうしたのかしら?」

と、ブレイス少佐が言った。



 二人の位置が突然急激に移動したのだ。とても走って移動したとは言えない距離だった。



「どうしたんだ?」

と、ディポックが聞いた。


「あのルッツ提督とクルム少佐ですが、司令室に一番近いリフトに乗ったはずなんですけれども、今は要塞防御指揮官の部下のいる大部屋に一番近いリフトに乗っているんです」

「何だって?」



 要塞の中で軍人が日常的に詰めている場所はだいたい司令室の近くにあるものだが、それでも移動にはある程度時間がかかる。

 同じ階にあるわけでもなく、職掌の違いでかなり遠くなる場合もある。

 それでも非常の場合に備えて全力で走って十分あれば到着するような範囲であることが多い。

 それでも、要塞防御指揮官配下の兵士たちは外から入っている敵に対して備えるものだから、艦の駐機場の近くに集合室があった。



「どうやって、移動したのでしょう?」

と、不思議そうにブレイス少佐が言った。


「あなたは何かご存じなのですか?」

と、ディポックはライアガルプスに聞いた。


「この要塞には公式記録に残っていない色々な遊びの部分があるということだ」

と、ライアガルプスは言った。


「つまり、この要塞には我々の知らない、それにこの要塞を作った銀河帝国も知らない何かがあるということなのか?」

と、コランドが聞いた。


「そうだ。ここを作ったのは今から百年ほど前になるだろうか。その頃私は、つまりアリュセアはまだタレス連邦に生まれていなかった。銀の月たちも銀河帝国に生まれていなかった。だからこそ、この要塞の建設に加われたのだ」

「ちょっと待ってください。それはどういうことです?」



 これは聞き逃せないことだった。



「まあまて、そのことにつては、今の喫緊の問題が終わってから、ゆっくりと話をしよう。この要塞の運営と防御に直接かかわることだからな」

と、アリュセア――ライアガルプスは言った。




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