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ふたご銀河の物語(改訂版)  作者: 日向 沙理阿
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ヘイダール伯爵の帰還 3

 ゼノン帝国艦隊が放った第一射は、ヘイダール要塞の表面の流体金属の4分の1を一瞬で蒸発させていた。


 これはこの要塞始まって以来の危機だった。

 あの暗黒星雲の種族の嫌がらせは要塞が消滅するような危険があったが、実際には無傷で元に戻れた。

 まして銀河帝国と新世紀共和国との戦争の時にもこれほど打撃を受けたことはなかった。

 だからこそ、この要塞は無敵だと言われたのである。


 この攻撃はゼノン帝国軍が用意してきた攻撃専用の特殊艦からの斉射だった。

 その効果は予想していたよりも大きく、ゼノン帝国側の戦意を高揚させた。






「ヘイダール要塞に、通信回線を開け。降伏の勧告をする」

と、ドールズ・ゴウン元帥が攻撃の結果に満足して言った。


「我はゼノン帝国艦隊ドールズ・ゴウン元帥である。ヘイダール要塞を破壊されたくなかったら、すぐに降伏せよ。でなければ、宇宙の塵としてくれよう」

と、ゴウン元帥は意気揚々と宣言した。


 ヤム・ディポック要塞司令官は、

「なるほど、最初からこうするつもりだったということか……」

と、呟いた。


「どうします?」

と、ダズ・アルグが聞いた。



 要塞の艦隊を出動させようにも、タレス連邦の艦隊が邪魔して出られなかった。

 ゼノン帝国の艦隊だけでなく、タレス連邦の艦隊もいまや要塞を包囲するように展開しつつあった。



「タレス連邦の艦隊がゼノン帝国の艦隊と連動して動いていると思われます」

「ダルシア帝国の艦隊は?」

「動いていません」



 当面はゼノンとタレスの艦隊が攻撃してくるということか、とディポックは思った。

 スクリーンを見るとゼノンとタレスの艦隊が要塞を包囲しつつあった。

 また両艦隊はヘイダール要塞の流体金属に浮いている砲台からの射程をうまく避けていた。

 ただ、主砲なら敵の艦隊に届きそうだった。

 このまま座して包囲を完成させるのは考え物だった。


 ゼノン艦隊の動きよりもタレス艦隊の動きが鈍く見えた。



「あのタレス連邦の艦隊の集まっているところを狙って、主砲を撃つ!」

と、ディポックは言った。


「しかし、あまり効果はないのでは?」

と、ダズ・アルグが自信なさそうに言った。


「ともかく、一度こちらの武器を使ってみないと、どのくらいの効果があるのかわからない。このまま向こうの攻撃を目視するわけにはいかない」



 主砲のエネルギーが充填されるのを待って、ディポックは主砲を撃った。

 要塞の主砲の弾道にあったタレス連邦の艦隊はさすがにあっという間に消滅した。

 だが、その数はそれほど減らなかった。タレス連邦の艦隊は要塞を包囲しつつあって、それほど固まってはいなかったからだ。

 だが、その主砲の一射でタレス連邦の艦隊は用心して、要塞を包囲しつつあると言っても前よりも距離をとるようになっていた。



「今度はゼノン帝国の艦だ」



 ゼノン帝国艦隊は、タレス連邦の艦隊よりも数は多かったが、動きは早く思えた。

 しかし、艦が少し固まっているようなところを狙って、要塞主砲の第二射を行った。

 すると、雲の子を散らすように、ゼノン帝国の艦隊はバラバラになったが、主砲の犠牲になった艦も少なくない。

 ともかく、ゼノン帝国の艦隊にも要塞の主砲は効果があるようだった。



「いい傾向だ」

と、ダズ・アルグは言った。



 ただマイナス面もある。

 これで先程のように要塞に近寄って、一斉射撃を浴びせることに用心するようになるだろう。



「ですが、これ以上、主砲を撃つのはどうでしょうか?」

と、要塞参謀のグリンが言った。


「わかっている。少なくとも、時間稼ぎにはなったはずだ」



 要塞の主砲は効果があるといっても、散開している一つ一つの艦を潰すようなことは難しい。

 それに、主砲を警戒して敵の艦隊は要塞からかなり距離をとるようになった。

 同時にそれは、敵の艦隊の攻撃も要塞に届き難くなる公算だ。

 結果として、お互いにらみ合いのように時間だけが過ぎていく。



「で、これからどうするんです?」

と、フェリスグレイブが聞いた。



 ディポックには考えがあった。

 ダルシア帝国の艦隊である。

 タリアが要塞に居る以上、ダルシアの艦隊が要塞を攻撃することはない。それは確かだった。

 このダルシアの艦隊にゼノンとタレスの艦隊を攻撃させることができなければ勝ち目がない。

 問題は、リドスの第五王女が置いていった、ダルシア帝国の艦隊との通信装置が使えるかどうかなのだ。



「タリア、リドスの王女がこれを君にと言って、置いていった。それで君をここへ呼んだんだ」

と言って、ディポックはタリアに水晶の結晶に似たペンダントを渡した。


「これは、何ですか?」

と、タリアが聞いた。


「ダルシア帝国の艦隊との通信に使うものだと言っていた」

「で、でもどうやって使うんです?」



 タリアは、初めて見るように、普通のペンダントにしか見えないものを目の高さに上げてみた。



 バルザスはそのペンダントを見て、

「タリア、それを手の中にいれて、ダルシアの艦隊に動くように命じてみてくれないか」

と、言った。


「で、でも動くようにと言われても、どう動かせばいいのか……」



 タリアは不安そうに、バルザスやディポックを見た。



 そのタリアの態度を見て、

「ディポック司令官、あなたはどうすればいいとお考えですか?」

と、バルザスは聞いた。



 要塞司令室の中で議論が続いていると、外のゼノン帝国の艦隊は先ほどの強力な攻撃を仕掛けてきていた。

 その度に要塞の表面を覆っている流体金属が蒸発して要塞の内壁が露わになった。

 そして、その部分をタレス連邦の艦隊が攻撃して来ていた。

 このまま攻撃を続けさせると要塞自体にかなりの損傷が生じてしまうことになる。

 主砲が使えると言っても散開している艦隊に撃ってもあまり効果がないし、流体金属が減少して浮き砲台の移動がしにくくなり、使いづらくなっていた。

 このままでは敵の攻撃の方が上手く行っている。



 バルザスが見たところゼノン帝国艦隊の攻撃は思ったよりも強力で、このままでは要塞自体が危険だった。

 もちろん、またリドスの王女を助けに呼ぶという選択肢がないわけではない。彼女が帰ったと言っても、必ずどこかでこの状況を見ているに違いないと彼にはわかっていた。

 だがまず、要塞司令官の意見を聞かなければならない。

 単に艦隊戦であれば、ディポックが遅れをとることはないはずだとバルザスは思っていたからだ。



「もし、ダルシアの艦隊を動かせるのなら、現在要塞を包囲しつつある敵の艦隊を崩す、つまり包囲をさせなくして、できればそれぞれの艦隊を一箇所に集めるようにできないかな……」

と、ディポックは遠慮がちに言った。



 タリアはそれでもどうすればいいのかわからなかった。



「ディポック司令官、もう少し具体的にどう動かすかを言って欲しいんです」

と、バルザスは言った。



 タリアは兵士でも軍人でもなかった。

 宇宙船に乗ったことはあるが、艦隊をどう動かせばいいのかなどかわかるはずがない。



「わかった。スクリーンにダルシアの艦隊を映してくれ」

と、ディポックは言った。



 それまでゼノン帝国とタレス連邦の艦隊の動きを追っていたスクリーンに妙な形のダルシアの艦隊が映じた。

 ゼノンとタレスの艦隊が展開する中、岩のようにまるで動きがない。

 今丁度、ゼノンとタレスの艦隊の後ろに位置しているのが見えた。



「一つ一つの艦について数とかナンバーが付いてないから、そこまでは言えないが、まず、ゼノン帝国艦隊をダルシアの艦の主砲で撃ってくれないか」



 試しにダルシアの艦隊にゼノンの艦隊を撃たせてどのくらいのダメージがでるのかディポックは確認したかった。

 ダルシアの艦隊が強力だと言っても、どの程度なのかわからないのだ。


 タリアは必死だった。

 うまくダルシアの艦隊を動かせなければ、自分もこの要塞と運命を共にするしかないのだ。



 タリアはペンダントを握りしめると、心の中で、

<タレス連邦の艦を打って……>

と、言ったが、どうも力が入らなかった。



 そのためか、ダルシアの艦隊は動かなかった。



 それでも何とかタリアがディポックの言葉の通りに動かそうとしていたが、

「で、でもタレスの艦を撃つっていうことは、乗っている人たちが死ぬということでしょう?」

と、突然気が付いた。


「何を言っているんだ。もしやらなければ、我々がやられるんだぞ。君も、君の連れてきたタレスの人たちも一緒だ」

と、ダズ・アルグが言った。



 元新精機共和国の軍人だったダズ・アルグにとっては、迷うようなことではない。



「で、でも……」



 逃がし屋をしていたとはいえ、人を殺したことはタリアにはなかった。

 もし自分がタレスの艦を攻撃すると、多くの兵士が死ぬと思うと、どうしても決断がつかないのだ。



「頼む、早くしてくれ、間に合わなくなってしまうじゃないか」

と、ダズ・アルグが催促した。


「でも……」



 ディポックはタリアがなかなかタレスの艦隊を撃とうとしないこと、いや撃てないことがわかった。

 タリアは兵士ではない。

 タレスの艦隊を撃つとどうなるか想像すれば、できなくなるのは理解できる。

 だが、それではどうすればいいのだろうか?

 ダルシア帝国の艦隊は、タリアしか動かせないのだ。



 困ったことになった、とバルザス提督も思った。

 だが、これは初めから考慮しておくべきことだった。

 タリアがゼノンやタレスの艦隊を攻撃することができないかもしれないことを、端から気がつくべきだったのだ。

 普通の一般市民の感覚では多くの生命を絶つことなど、そう簡単にできるはずはない。

 想像すらできないだろう。

 それにたとえ、自分が危険になるかもしれないとしても、それができない者もいるのだ。

 タリアは普通の市民とは少し違うとはいえ、軍人ではないのだ。

 しかし、タリアの他にダルシア帝国の艦隊を動かすことができるものは思いつかなかった。

 頭を振りながら顔を上げると、そこにコアの顔が見えた。



(コア大使……)



 バルザスの苦渋の表情を見て、

(サンシゼラを、彼女を呼んでくれ)

と、コアは言った。


(なぜです?)

(他に、ダルシアの艦隊を動かすことのできるものはいないからだ)



 迷っている時間はなかった。

 バルザスは召喚の呪文を使い、アリュセアを呼んだ。


 すぐにアリュセアは要塞司令室に現れた。







 突然魔法で呼び出されたアリュセアは、

「ここは?私を呼んだのはあなたなの?」

と、怒った様子でバルザスに詰め寄った。



 本当に、突然だったのだ。

 アリュセアは子供達と話をしているときに、何の予告も無く、召喚されたのである。怒るのも当然だった。



「そうだ。私が召喚した」

と、バルザスは悪びれもせずに言った。



 ディポックは、瞬きをした。

 アリュセアの出現があまりに突然だったので、何が起きたのかわからなかった。

 魔法陣が浮かばなかったからでもある。



「何をするつもりです?」

と、ディポックはバルザスに聞いた。


 だが、ディポックの問には答えずに、

「サン、よく聞いてくれ。今、ゼノンとタレスの艦隊がこの要塞を攻撃しようとしている。あの連中の攻撃を防ぐには、ダルシアの艦隊を使うしかない。ダルシアの艦隊を動かして欲しいんだ」

と、バルザスは言った。


「え?で、でも私は、ダルシア人ではないし、そう、ダルシア国籍もないわ。だから、ダルシアの艦隊を動かすのは無理よ」

「いや、君にならできる」

「ちょっと待って、ここにタリアがいるじゃない。タリアは?タリアならできるでしょう?」

と、すぐ傍にいたタリアを見て言った。


「わ、私は、私はそんなことできないわ」

と、タリアは首を横に振って言った。



 バルザスはアリュセアの承諾も得ずに、すでに呪文を始めていた。



「ちょっと、待って。その呪文は、何なの?まさかアルフ族のもの?」



 アルフ族というのは、かつてガンダルフにいた種族だった。

 彼らは遠い異世界から来たといわれていたが、その異世界とはロル星団の惑星のことだった。

 ガンダルフでは妖精とも精霊とも言われる美しい種族だった。

 そのアルフ族の使う呪文はガンダルフの魔法の呪文とは違い、とても強力で不思議な力があったと言われている。


 惑星ガンダルフではアルフ族は滅んだと言われ、その呪文も伝えられてはいないとされているが、銀の月は知っていた。

 彼らがロル星団から惑星ガンダルフに移住してきた時から、彼らの事を銀の月は良く知っていた。

 彼らは宇宙航行の技術を持ちながら魔法を使う文明を築いていたのだ。

 アルフ族の呪文はジル星団の魔法の呪文があまり扱わない分野である、霊的な分野に対しても多くの呪文を持っていた。


 その中には、生きている人物の過去世を呼び出す呪文があった。

 その過去世は直前のものだけではなく、数代前の過去世も呼び出せるのだ。

 銀の月の唱える呪文には魔法陣はできなかった。

 少し長めの呪文で、両手を使って印字を切るように動かした。


 要塞の外では、散開しつつ要塞を包囲し終えたゼノンとタレスの艦隊が一斉に主砲を撃ち始めていた。

 おそらく、ぎりぎり要塞に艦の主砲が届く距離からの攻撃だった。

 先程よりも大きな轟音が司令室に響き渡った。轟音だけではなく、揺れも襲ってきた。

 要塞を覆う流体金属が薄くなっているので、要塞本体まで傷つく可能性が高くなっていた。

 このままでは要塞を覆う流体金属が全部剥がれて下の金属の地が出てしまい、内部に損傷が出るのも時間の問題だった。











 いままで驚愕していたアリュセアが、

「ふん、……」

と、言うのが聞こえた。



 次の瞬間、それまで聞こえていた攻撃を受けて要塞がきしむ音が突然しなくなった。

 司令室の巨大スクリーンに、ダルシアの艦隊がゼノンとタレスの艦隊を攻撃する姿が映じた。

 ゼノンとタレスの艦隊にダルシアの艦の主砲の一斉掃射をした後、残った艦隊に向けて、掃討作戦を展開し始めた。

 その様は、まるで弱い獲物を追い詰める猟犬のようだった。



「ゼノンの者たちに、目にものを見せてくれるわ……」

と、低い声が響いた。



 それがアリュセアの声だとわかると、

「ライアガルプス、どうぞお手柔らかに、……」

と、バルザスがへりくだって言う声が聞こえた。


「ふん。あの連中に、そのような手心などいらぬことよ」

と、アリュセアが厳かに言った。



 ディポックは、唖然としてアリュセアとバルザスを見た。

 この二人はどうしたというのだろうか?

 まるで主従が入れ替わったような光景だ。


 スクリーンに映るダルシア艦隊は、無人の艦隊とは思えぬような動きをしていた。

 その一つ一つが生き物のように動いていた。

 単なる艦の動きとも違うのだった。

 そしてゼノンとタレスの艦隊は、見る間に数を減らして行った。


 根拠はないが、これはアリュセアがやっているのかもしれない、とディポックは思った。

 リドス連邦王国のアズミ姫が置いていったペンダントはタリアが持っている。

 それなのに、アリュセアは何もなしにダルシアの艦隊をコントロールしていることになる。



 ダルシア帝国の艦隊の攻撃をしばらく見ていたディポックは、

「あ、あの、もう敵はこちらを攻撃する力はないようですし、攻撃を止めてもらえませんか?」

と、ディポックは遠慮勝ちに言った。



 このままゼノンとタレスの艦隊を殲滅するのは良い考えではない。

 これからのことを考えれば、できれば残存艦隊を少し残してそれぞれの政府へ報告をさせた方がよい警告になるからだ。



「何だ?おまえは何者じゃ。その光りは只者ではあるまい」

と、アリュセアは厳かに言った。



 その目の光も尋常ではない。



「いえ、私は、単なるこの要塞の司令官です。その、もう敵は敗北したようですので、一旦攻撃を控えてもらえますか?その間に、私が向こう降伏を呼びかけますので」



 ディポックは、アリュセアの威厳に圧されて、言葉を丁寧にしていた。

 アリュセア自身は、どこかの女王陛下のような言葉と態度だったからだ。



「わかった。妾にも、情けはある。その方の良きようにせよ」

と、アリュセアは臣下に命令するように言った。


「お許しをいただいたようですので、それでは、ゼノン帝国とタレス連邦の旗艦と通信回線を開いてくれ」

と、ディポックは命じた。


「こちらはヘイダール要塞司令官、ディポック。ゼノン帝国艦隊とタレス連邦艦隊の司令官へ告げる。降伏せよ。でなければ、ダルシアの艦隊があなた方の艦隊を最後の一艦まで攻撃するだろう」



 かろうじてゼノン帝国艦隊の旗艦はダルシア艦の攻撃から逃れていた。

 だが、その数は元の半分にも満たなかった。

 タレス連邦の艦隊も同様だった。



「閣下、要塞からの降伏勧告です。いかが致しましょうか?」

と、ヴィレンゲル少将が言った。


「いったい、どういうことなのだ?」

と、憤懣やるかたないドールズ・ゴウン元帥は魔術師ディラを睨みつけた。



 まさか、ダルシア帝国の艦隊がこちらを攻撃してくるとは思わなかったのだ。



「わかりません。タリアはこちらにいます。それに他のダルシアの遺伝子を持つ者たちもこちらにいます。あのダルシア艦を動かせる者が、他に誰がいるというのでしょうか?」

と、ディラは必死で言った。


「だが、他にいるのだ。だから我々は攻撃されたのだ」



 ディラには、ダルシア艦の攻撃の理由がわからなかった。

 だが、このままでは、ディラの宮廷魔術師という地位はこの失態により失われることはわかっていた。








 ヘイダール要塞の民間人の居住区画の広場のベンチに座っていた白髪の老人がゆっくりと閉じていた目を開けた。



「ふむ。何とかダルシア帝国の艦隊が動いたようだ」

「ふうん。タリアがやったのかしら?」

「いや、あれはライアガルプスだ」

「まあ、ライアガルプスを呼び出したの?よほどのことが起きたのね」

「タリアではまだ、ダルシアの艦隊は動かないようだ」

「で、伯爵、あなたはどうするの?ヘイダール要塞はかなり深くまで傷ついたのでしょう」

「確かに、連中の修復技術だけでは足りないだろう」

「でも伯爵だけでも足りないのでは?」

「そうだな。やはり、レギオンにも帰って来てもらいたいものだ」








 ゼノン帝国艦隊の攻撃の一部はヘイダール要塞のかなり深いところまで届いていた。

 そこは要塞にとっても重要な部分なのだ。

 そこを修復するというのなら、もうこの要塞を自分の最初に作った設計図通りにする方がいいとヘイダール伯爵は思った。

 その設計図とは銀河帝国の要塞ではなく、ヘイダール伯爵とダルシア帝国とリドス連邦王国が作ろうとした要塞の設計図のことである。



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