ダルシア帝国の継承者 37
ベルンハルト・バルザス提督は考えていた。
どうしてダルシア帝国の艦隊がここへやってくるのだろうか?
それがもし、ダルシア帝国の継承者を守るためであるのなら、可能性がある。
惑星連盟がダルシア帝国の継承者を決めると言っているのは、はっきり言って時間稼ぎにすぎない。
なぜなら、公にはされていないが継承者はすでにタリア・トンブンと指名されており、コア大使は必要な手続きを死ぬ前に取ったはずだからだ。
惑星連盟が審判をしてダルシア帝国の継承者を決めるというのは、公にダルシア帝国の継承者を公表するということだ。
ダルシア帝国の継承者を周知することによって、ダルシア帝国の遺産を我が物にしようとする、個人や他国からダルシア帝国とその継承者の安全を守るという意味があるのだ。
「バルザス提督、そろそろ教えてもらえませんか?あなたにはこの要塞を攻撃し破壊するかもしれない、その艦隊が何処の艦隊なのかご存知なのでしょう?」
と、フェリスグレイブ要塞防御指揮官が言った。
「たぶん、その艦隊はダルシア帝国の艦隊でしょう」
と、バルザスは言った。
「ちょっと、待ってくれ……。あの惑星連盟の議長とやらがこの要塞でやっているのは、そのダルシア帝国の遺産の継承者を決めるということだろう?コア大使とかいうたった一人の本物のダルシア人が死んだせいで。とすると、いったい誰がそんな命令を出すというんだ?」
と、ダズ・アルグが言った。
「『ダルシアン』です。ダルシア帝国の艦隊を出動させることが可能なのは、『ダルシアン』です」
「その『ダルシアン』とか言うのは、ダルシア人ではないのだろう?中枢脳なら、機械ではないのか?」
と、ダズ・アルグが聞いた。
「『ダルシアン』はダルシア人ではありません。しかし、単なる機械でもないのです。私も正確にはわかりませんが、『ダルシアン』は元ダルシア人であったものの魂が宿っていると聞いたことがあります」
「いったい、どういうことなんだ?元ダルシア人の魂が宿るというと?」
「つまり、かつてダルシア人だったもので、ダルシアンになってもいいという者がいたら、『ダルシアン』になるということです」
要塞の者たちはきょとんとして、バルザスの話を聞いていた。
バルザス提督の話は、要塞の人々が理解するにはあまりにも異質だったのだ。
彼らにはダルシア人の脳を中枢脳として使っているという事の方がわかりやすいだろう。
けれどもそうではない。
使っているのはダルシア人の脳ではなく、魂の方だとバルザス提督は聞いたことがある。
「そうだわ、コア大使はどこに?さっきまで、ここに居なかった?」
と、アリュセアが突然言い出した。
「そう言えば、どこにいったのだろう」
と、バルザスは言った。
要塞の司令室の人々は狐につままれたような顔をした。
彼らの中にはコア大使を見ることのできる者はいないのだ。
「いったい、バルザス提督は何の話をしているんでしょうか?」
と、リーリアン・ブレイス少佐が言った。
バルザス提督とアリュセアの話は他の者には荒唐無稽に思えるかもしれないが、ディポックにはそう思えなかった。
根拠は何もないが、魔法というものを目の前で何度か見たのだ。
しかもここの司令室の者達全員の目の前で、あの要塞の周囲にいた惑星連盟の艦隊がどこかへ、魔法で移動されるのを見たではないか。
何か得たいの知れない力というものが、確かに存在するのだ。
ディポックは不安だった。
ジル星団の国のしかもダルシア帝国の艦隊となると、彼の想像を超えているかもしれないのだ。
これまで干戈を交えた艦隊とは兵器システムがまるで違うかもしれない。
今回タレス連邦やゼノン帝国が艦砲を撃ってきたが、それは単なる試し撃ちという程度のことだった。
本当の実力はわからないのだ。
「その、ダルシア帝国の艦隊というのは、バルザス提督、あなたから見てどの程度の実力があるかわかるだろうか?」
と、ディポックは聞いた。
元銀河帝国の提督だったバルザスなら、ある程度の比較ができると思ったのだ。
「ダルシア帝国の艦隊はジル星団最強と言われてきました。ただ、残念ながら近年、ここ百年ほどは姿を見せたことはなかったと聞いています。だから、私も実際にはダルシア帝国の艦隊を見たことはないのです。もちろん過去の映像などでは見たことがありますが」
「それでは、ダルシア帝国の艦隊はもしかしたら、もう存在していないかも……」
と、ダズ・アルグはある期待を込めて言った。
「そんなことはありません。ダルシア帝国本国を守っていたはずです。ゼノン帝国などはダルシア帝国の艦隊を恐れて近づかなかったのですから」
「その艦隊がなぜ、ヘイダール要塞にやってくるというのだろう?」
と、ディポックは言った。
「やはり、タリア・トンブンと関係があると思います。彼女はダルシア帝国の継承者。惑星連盟がタリアを他の国々が継承者として認めるように審判を行っていますが、ダルシアにおいてはすでに継承者として故コア大使が手続きを終えていたはずです。あと、考えられるのは、審判のところに現れた、あの暗黒星雲の種族のことです」
と、バルザス提督は言った。
「あなたが、遠くへやったと言ったあの男のことか?」
と、ディポックは言った。
「そうです。サンの、いえアリュセアの言うところによると、どうやら近づいてくるゼノン帝国艦隊旗艦に今はいるようです。私は彼に上手くしてやられたということです。問題は暗黒星雲の種族は、ダルシア帝国の天敵であるのです」
「では、その暗黒星雲の種族の男を倒すためにやってくるというのだろうか?」
「おそらく、……」
「ちょっと、待ってくれ。バルザス提督、そのタレス人の女性は、ええと何と言ったかな?」
と、ダズ・アルグ提督が言った。
「私はアリュセア・ジーンといいます」
「彼女が見たという光景は、この要塞が破壊されるという映像だ。すると、暗黒星雲の種族という奴は、この要塞にいないということかな?」
「あの男は場所の移動など、自由自在です。惑星連盟の審判の時はここにいました。今はゼノン帝国艦隊旗艦にいるかもしれませんが、次の瞬間にこの要塞に来てもおかしくはありません」
バルザス提督の話は、要塞の人々にとってはやはりまだ荒唐無稽な話としか思えなかった。
宇宙船を使わずに宇宙空間を自由に移動できるなどという話は聞いたことがない。
まるでSFの世界の話ではないか。
だが、ディポックはそれがお伽話ではないと感じていた。
今、銀河帝国や元新世紀共和国に属していた者たちは、異質の文明と出会っているのだ。
タリア・トンブンは司令室に向っていた。
何だかよくわからないが、ディポック司令官が呼んでいるということで、わざわざ護衛の兵士送ってまで呼びに来させたのだ。
もうあと少しで審判が開かれる時間になるというのに、何かあったのだろうか、とタリアは不安に思った。
先程暗黒星雲の種族の男が現れたので、タリアは不安を感じていた。
宇宙都市ハガロンで聞いた伝説によれば、彼らはどこからともなく現れる。どこからでもやってくる、ということだった。
今のところは護衛の兵士に守られて、移動しているところだ。
だが、もしあの男が現れて何かするつもりなら、熱線銃を持って護衛している兵士が何人いようと役に立たないと聞いていた。
通路の突き当たりで、昇降機を待っていると、
「やあ、ごきげんよう!」
と、あの男が現れた。
タリアは、護衛の兵士に囲まれながら、
「な、何の用なの?」
と、声を出した。
「ちょっと、おまえさんに用があるんだ。タリア・トンブン」
その声は、タリアに危険な感じを抱かせた。
「私には、あんたに用なんか無い」
「それは残念だ。だが、こちらにはあるんだ」
と、男は絡んできた。
バルザス提督――銀の月は、はっとした。
「やつが現れた」
と、バルザスは言った。
ヘイダール要塞の司令室では、やつというのが誰なのかすぐに理解できる者は限られていた。
「どこに?」
と、ダズ・アルグ提督が聞いた。
ダズ・アルグはやつを見たことはないが、先ほどの話からある程度の検討がついたのだ。
「まずい、タリア・トンブンが移動の途中だった。そこにいる」
と、バルザスは続けて言った。
「なんだって?」
まるで目の前の光景を見ているような言い方にほかの要塞司令室の士官や将官たちはただ茫然としていた。
どう判断するべきなのかわからないのだ。
思わずバルザスはうなった。急がなければ危険だった。
今、要塞司令室の連中の目の前で消えると、後が面倒になると、その時頭の隅に浮かんではいた。
次の瞬間、銀の月はタリア・トンブンの前に現れた。
「これは、銀の月か?」
と、男は言った。
少しも驚いてはいなかった。
もし、相手が本気になれば、銀の月には勝ち目がないことはわかっていた。
それでも、銀の月はやって来た。
「ここで、何をしている?」
と、男から目を離さずに銀の月は言った。
男は、にやりと笑みを浮かべた。
銀の月がここに現れるのをあらかじめ予想していたのだ。
アリュセアは、バルザス提督が消えた場所を見ていたが、頭の中は、
(どうしよう、どうしよう……)
という思いでいっぱいだった。
今のアリュセアは、かつてのサンシゼラ・ローアンの記憶が前面に出ていた。
だから、バルザス提督――銀の月がどこへ行ったのか、アリュセアにはすぐ予想できたからだ。
「いったい、何が起きたんだ?」
と、フェリスグレイブ要塞防御指揮官が言った。
ヘイダール要塞の他の将官や仕官たちも、どうなっているのか理解できないとい表情でバルザス提督のいた場所を見つめていた。
アリュセアは、深呼吸をすることを思いついた。
ゆっくりそれを繰り返していると、先程の自分が上げた悲鳴を思い出した。
あれは、どうして出たのだろう?そして、椅子に座っているディポック司令官を見た。
あの時、あまりの揺れのひどさにディポック司令官の肩を掴んでしまってことを思い出していた。
「あの、司令官。司令官は、魔法使いなんですか?」
と、アリュセアは聞いた。
怖いもの知らずなのはサンシゼラの性格である。
ここがよその星団のヘイダール要塞という場所であろうと、必要なことはしなければならない。
ディポックはびっくりして、
「いや、私は普通の人間ですが……」
と、言った。
司令官自身よりも、他の要塞の人々の方がアリュセアの言葉にびっくりしていた。
軍人でもない、場違いなこの女は何を言い出すんだという雰囲気である。
「でも……」
と、アリュセアは何かを口ごもった。
周りからくる見えない圧力が、アリュセアの口を重くしたのだ。
しかし、
「何か、言いたいことがあれば、何でも言ってください。あなたは、ガンダルフの魔法使いをよく知っているのではないですか?」
と、ディポックはアリュセアを怖がらせないように、丁寧に言った。
審判のときのことを思い出していたのだ。
アリュセアはディポックを見て、勇気を奮い起こした。
「ええ。あの頃、たくさんの魔法使いがいたし、私の周り、身内にも魔法使いがいました。でも、私自身は魔法使いではなかったんです。私にできたのは、……」
と、アリュセアはそこで話を折った。
それ以上は、この要塞司令室では話難いことなのだ。
「あなたに出来たのは、どんなことです?」
と、今度はディポックが聞いた。
審判であの男がアリュセアのことを『予知者サンシゼラ』と呼んでいたのを思い出したのだ。
「私が出来たというか、私の母の家系が占いをよくする一族だったのです。だから、私は災いの起きることが時々わかったのです」
「すると、先程の悲鳴は?」
「ええ。多分、この要塞の未来、それもあまり遠くない未来のことです。それで、銀の月によると、ダルシア帝国の艦隊がこの要塞を攻撃するということですが……」
「それは、タリア・トンブンとも関係しているのですね」
と、ディポックは念を押した。
「多分、タリアはかつてダルシア帝国のアプシンクス皇女だったのですから、彼女を守るためにダルシア本国から艦隊がやってくるということが考えられます」
「つまり、タリアが危険な状態に居るということですか?」
「ええ。今、現在も。おそらくあの男がタリアの居るところに現れているのです。それで、銀の月がそこへ行ったんです。でも、銀の月ではあの男には勝てない」
と、アリュセアは悔しそうに言った。
「勝てない?」
「そうです。暗黒星雲の種族は非常に強力な力を持っているのです。銀の月程度の力では相手になりません。だから、今、タリアも銀の月も二人とも危険なんです」
と、アリュセアは訴えた。
「どうすればいいと思いますか?」
と、冷静にディポックは聞いた。
「あの、変な事を言いますが、あなたの肩を貸してくれませんか?」
と、アリュセアは言った。
「私の肩?」
「ええ。よくわからないけれど、あなたは魔法の力を増幅するようなことができるみたいです。銀の月もそれを利用していませんでした?」
ディポックはアリュセアの言葉に、
「では、あれは、そういうことだったのか?」
と、呟いた。
ジル星団の魔法使い達を集めて、惑星連盟の艦隊を彼らの母星へ返した魔法を使った時ディポックに協力を求めた。
それはただ、魔法使い達のいる中央に立っていただけだった。
銀の月だと言うバルザス提督は、ただそこに立っているだけでいいと言ったのだ。
それだけだが、惑星連盟の艦隊は次々に消えて行った。
魔法使い達はそれだけで、かなり疲弊しているように見えた。
けれども、ディポック自身は少しも疲れなかったので、自分が一体何をしたのか、魔法使いたちの助けになったのかもわからなかった。
という事は、自分には何らかの力、魔法のような力をもっているのかもしれない、とディポックは思った。
ただ、それは彼には使い方も、利用の仕方もわからないものだ。
ディポックはバルザス提督のしたことが、まだよく理解できないでいたのだ。
アリュセアの話はそこのところを説明していたのだ。
リーリアン・ブレイス少佐は、何が起きているのかわからなかった。
アリュセアが手を伸ばすと、ディポックの肩に手を触れた。そして、
「ご、ごめんなさい。ちょっとこのままにさせてください」
と、アリュセアはブレイス少佐に言い訳をした。
何だか、そうしなければいけないような気がしたのだ。
「い、いえ。その、司令官、大丈夫ですか?」
と、ブレイス少佐はぎこちなく言った。
「大丈夫だ、少佐」
アリュセア――かつてのサンシゼラは魔法使いではなかった。
魔力はあったらしいが、魔法使いとしての修行や訓練はしたことがない。
だから、魔法の呪文は使えなかった。ただ、一つだけ分かることがある。呪文というのは、想いを形にしたものだということだ。
だから、呪文がわからないなら、想いで力を使えないかと考えたのだ。
ゆっくりと息を吐きながら、アリュセアは銀の月の場所を知りたい、と想った。
すると、ほどなく目の前にタリアを背にした銀の月が見えた。もちろん、その前に、あの暗黒星雲の種族の男が立っていた。
「いたわ。どこかの通路かしら?他に兵士もいる。二人、三人かしら」
と、アリュセアは言った。
兵士とは、タリアを呼びに出した兵士たちだろうと、ディポックは思った。
「何か、特徴は?その通路は何処につながっているのかわかりませんか?」
と、ディポックは聞いた。
「私、この要塞については詳しくないから、わからない。でも、あの男は、変だわ。本気じゃないみたい。そうだわ、私が見ていることを、銀の月に伝えてみる……」
と言うと、アリュセアは心の中で思った。
(わたしよ、銀の月、聞こえる?あなたを見ているの。ディポック司令官の力を借りているの)
銀の月の表情は変わらなかったが、
(どうしたんだ、サン?何か、あったのか?)
と、応答してきた。
(だから、ディポック要塞司令官の力を貸してもらったの。何かできることは?)
銀の月は、じりじりとタリアに近づくと、
(それなら、私がタリアの手をつかんだ時、あの召喚の呪文を使って欲しい)
と、伝えてきた。
「召喚の呪文?」
と、アリュセアは言った。
アリュセアのただ一つ使える魔法の呪文だった。
再び深呼吸をすると、
「ディポック司令官。あの、私、銀の月を召喚してみます。さっき、初めて使ったばかりなので、多分できると思います。いいですか?」
と、アリュセアは了解を取ろうとして言った
。
「召喚?なるほど、あなたも魔法が使えるのですね。わかりました。やってみていいですよ」
と、ディポックは了解して言った。
アリュセアの手は、ディポックの肩を掴んでいた。
そして、目を閉じて、向こうで銀の月がタリアの手を掴むのを待った。
男はにやにやして、銀の月を見ていた。
まるでワナに掛かった獲物を見るような目つきだ、とアリュセアは思った。
銀の月がじりじりタリアに近づき、その手をタリアに近づけた。
タリアはまだ銀の月の目的がわからないようで、ただ、あの男を見て警戒していた。
アリュセアは落ち着かなかった。
ディポック司令官の肩を掴んだままだし、要塞の他の将官や仕官たちが自分を変な目で見ているのを感じていたからだ。
その中にリドス連邦王国のカール・ルッツ提督の副官、ナル・クルム少佐がいた。
彼は、要塞司令室の中で、一人壁際に立って、アリュセアとディポックの様子を見ていた。
ディポック司令官やバルザス提督とともに司令室に来たクルム少佐は、これまでただ黙って成り行きを見守っていた。
何もすることがない。いやそもそも彼は何もできなかったからだ。
彼は魔法使いではなく、普通人だった。
だから、バルザス提督の邪魔をしないように、ひっそりと司令室の隅に立っていた。
誰も彼のことを注意することはなかった。そのような余裕がなかった所為でもある。
クルム少佐が不審に思っているのは、この要塞司令官であるヤム・ディポックのことだった。
いったい彼は何者なのだろうか?
バルザス提督はディポック司令官のことを魔法使いとは言わなかった。
だが、ディポックは何か不可思議な力を持っていることは確かだった。
それでなければ、バルザスが惑星連盟の艦隊をこの要塞からそれぞれの母国へ移動させることはできなかっただろう。
それは銀の月一人の力では、できないことだった。
それは本人も認めたことだ。
確か、あの審判のときに、あの暗黒星雲の種族という男が、おまえは誰だ、と言っていたようだった。
とすると、あの男にもディポックが誰であるかわからないということなのだ。
あの男が自分のことをこの銀河には属していると言っていたが、それは本当のことだった。
それに、カール・ルッツ提督のことを、どこの銀河に属しているのかと言ったのも、それが事実であることを彼は知っていた。
今のカール・ルッツの中身はこのふたご銀河に属している者ではないのだ。
そこまで見抜いたあの男が、ヤム・ディポック司令官のことがわからなかったのだ。
これは、どういうことなのだろうか?
カール・ルッツの副官は、この得たいの知れぬディポック司令官をじっと見つめていた。
アリュセアは口を開かずに、心の中で召喚の呪文を唱えた。
その直前に銀の月の手がタリアの手を掴んだのを確認していた。
次の瞬間、バルザス提督とタリア・トンブンが司令室の、呪文を唱えたアリュセアの前に現れた。
それは、要塞司令室の将官や仕官たちの目の前に現れたということでもあった。
しん、とその場が静まり返った。
誰も、この現象がすぐには理解できなかったのだ。
「どうも、司令官。また助けて貰いましたね。」
と、バルザス提督が言った。
ダズ・アルグ提督がタリアを見て、
「無事だったようだね」
と、言った。
「ここは?まさか司令室なの?」
と、タリアはびっくりして言った。
「上手くなったね、サン。お陰で助かったよ」
と、バルザス提督が言った。




