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お嬢様学校


私は今、歩いて登校している。

最初、お手伝いさんが車を玄関に回してくれていたのだが、歩いて5分の距離なのに車で通学するのは何か違うと思い遠慮させてもらった。

すごく驚いた顔をされたが、きっと普通は送り迎えが基本なんだろう。

でもそうすると、あの日、この子が雨の中を歩いていたのは何でだろうと疑問が浮かんだが、こればっかりはどうしようもないな。


気を取り直して通学路を歩く。

今までの視点と違うのはもちろんだが、周りの反応も違って新鮮である。

前は目を合わせない様にこそこそしたり、思いっきり避けられたりしていたのだが、今は私が歩くのを目で追う人が沢山居た。

ただ視界に入ったから見ていると言う訳では無く、好意的な視線だ。特に男性からの視線が多い気がする。

今まで男性からこんな視線を貰ったことが無かったので、なんか気分が良いな。


白百合女学園正門に到着した。

思わず門をくぐる足が止まる。

男性禁制のこの領域に私も入って良いのだろうか?

現在体は女性になっているが、心は性同一性障害と言えど一応男性だ。

何人かの女性徒は不思議そうにこちらを見ている。


「明日香ちゃん、おはよう~」


後ろから声を掛けられ、振り向くと、人懐っこそうな元気な女生徒が居た。


「おはようございます。

 えっと、ごめんなさい、どちら様でしょうか?」


「え? 明日香ちゃんひっど~い! 一番の親友の遥だよ、忘れたの?」


「実は記憶があやふやになってまして、よく覚えてないんです。」


実は全く知らないが、記憶障害の方が都合が良いし、嘘も方便だ。


「それって大丈夫なの?」


「ええ、先生はその内戻るかもしれないって言って下さいましたし、読み書き、一般常識につきましては問題ないですから。」


「確かにいつもの明日香ちゃんの話し方と違うよね。

 よし! 遥にまかせて~! 色々教えてあげるね♪」


「ありがとうございます。

 では、まずは職員室を教えて頂けると助かります。」


「任された! じゃあ明日香ちゃん行くよ~」


いつの間にか躊躇していた気持ちも吹き飛び、学園に入ることが出来ていた。

遥ちゃん、ホントありがとうございます。


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