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寿命365日の最弱ウミウシに転生した元プロゲーマー〜今度こそ世界一位をハメ殺す〜  作者: 神城ラグ
『第一章:プロの戦術論、群れのリーダーへの冷徹なる捕食(ざまぁ)』
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第七話 クソ技ボスと透明化エントリー

海底神殿、最深部。

 岩壁の裂け目から漏れる紫色の光が、暗い海水を不気味に染めていた。


 その入口の手前で、ノアは静かに停止する。

 視線の先。

 巨大な影。

 この海域の頂点。


 《ハリセンウオ(Lv30)》。


 前回、実力の差を感じ逃げた相手。

 だが今のノアは逃げない。

 むしろ落ち着いていた。


「……まずは確認だな」

 脳内ウィンドウ展開。

 現在のスキル構成が表示される。

 ==========


《フレーム・アナライザー》

[戦術解析・行動予測]


《ハイドロ・ダッシュ》

[超加速移動]


《水流演算》

[水圧・水流把握]


《凝縮硬化》

[ジャストカウンター・衝撃吸収]


隠密毒素ヴィーナス・ヴェノム

[毒射出・隠密]


 ==========

「5枠フル使用。余裕ゼロ」

 ノアが目を細める。

「レベル差は23。真正面から殴り合ったら終わりだ」

 普通なら無謀。


 だが。

「ハメるためのパーツは揃った」

 その瞬間。

 ノアの身体がゆっくりと海水へ溶け込んだ。

《透明化》。

 輪郭が消える。

 気配も消える。

 水流すら擬態。

 完全なステルス状態。


 ノアは音もなく、ボス部屋へ侵入した。

 広大な空間。

 中央には、巨大な球体のような魔物が浮かんでいる。

 無数の鋭利な毒針。 

 膨れ上がった身体。

 紫色の巨大眼球。


 《ハリセンウオ》。


 この海域の絶対強者。

 だが奴はまだ気づいていない。

 ノアは静かに水流を読む。


《水流演算》起動。


 ボス周囲の海流。

 視線の巡回。

 反応速度。

 索敵範囲。

 全てを脳内で数値化。


「視線移動……三秒周期」


 ノアはゆっくり死角へ潜り込む。

「警戒フレーム、確認」

 距離。

 角度。

 着弾タイミング。


 すべて一致。

「――ここだ」

 透明化解除。


 その直前。

 ノアの体表に毒液が集中する。


《毒素反転》。


 圧縮。

 変換。

 射出。


 ズガァッ!!

 超高速の毒針が、一直線にボスの眼球へ突き刺さった。

 紫色の血が弾ける。

 海底が震えた。


『GGGGGGGGAAAAAAAAAッ!!』


 絶叫。

 巨大な身体が痙攣する。

 クリーンヒット。

 完全な不意打ち。


 だがノアは冷静だった。

「入ったな」

 ハリセンウオの巨大な眼球が、怒りで血走る。


 そして。

 ノアは笑った。

「で、お前は次に何する?」

 答えは決まっている。

 焦った高火力ボスの行動など、格ゲーでも死にゲーでも同じだ。


「暴れる」

 瞬間。

 ハリセンウオの全身が膨れ上がった。

 毒針展開。

 全方位ロック。

 空間全域を埋め尽くす、致死のトゲ嵐。

 以前。

 ノアに勝てないと思わせた技。

 【全方位15フレーム毒針射出】。

 ボスの切り札。

 初見殺し。

 回避不能。


 だが。

 ノアはニヤリと笑う。

「焦って最速ぶっぱ」

 水流が荒れる。

 無数の毒針が射出される。

「完全に想定通りのタイムラインだ」


 ギュンッッ!!

 トゲの嵐。

 360度。

 逃げ場ゼロ。

 普通なら回避行動を取る。

 だがノアは動かない。

 一歩も。

 その場に留まる。


「来い」

《凝縮硬化》発動。

 毒針が迫る。

 数百。

 数千。

 即死の暴風。


 そして――接触、直前。

「今だ」


 1フレーム。

 ほんの刹那。

 ノアの身体がダイヤモンドのように硬化した。


 キィィィィィィィィィンッ!!!

 海底に、硬質な金属音が響き渡る。

 毒針が砕け散る。

 弾かれる。

 逸らされる。

 完全受け流し。

 ノーダメージ。


 だがノアは笑わない。

 まだ終わっていない。

 むしろここからだ。

「乗る……!」

 衝撃。

 回転。

 圧力。

 毒針の運動エネルギー。


 その全てを。

 ゼラチン質の肉体内部へ流し込む。

 蓄積。

 圧縮。

 クラゲ戦で掴んだ感覚。

 カウンターエネルギーのチャージ。

 体内が悲鳴を上げる。

 限界。


 だがノアは耐える。

 耐えて。

 笑う。

「もっとだ」

 ボスのトゲ射出が終わる。

 海底に静寂が戻る。


 そして。

 巨大な後隙。

 ハリセンウオの身体が硬直した。

 ノアの目が細くなる。


「――取った」


 海底に、静かな殺気が満ちた。

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