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寿命365日の最弱ウミウシに転生した元プロゲーマー〜今度こそ世界一位をハメ殺す〜  作者: 神城ラグ
『第一章:プロの戦術論、群れのリーダーへの冷徹なる捕食(ざまぁ)』
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第六話 攻略パーツ

 海底神殿中層。

 周囲を埋め尽くす透明な触手。

 岩肌へ触れた瞬間、紫色へ変色し崩れ落ちる猛毒。


【種族:ヴィーナスノヒモ】

【Lv18】

【脅威度:B】


 普通なら近づいた時点で終わり。

 だがノアは静かに笑った。

「設置型か」

 前世で何度も見てきた。

 格闘ゲーム。

 アクションゲーム。

 対戦ゲーム。


 強いプレイヤーほど空間を支配する。

 近づけば死ぬ。

 触れば終わり。

 そういう技を置いてくる。


「嫌いじゃない」

 むしろ得意だ。

 《フレーム・アナライザー》起動。

 世界が遅くなる。

 触手の揺れ。

 毒液の流れ。

 海流の変化。


 すべてが情報として流れ込む。

「右に隙間」

 一歩。

「次は下」

 二歩。

「その次が前」

 三歩。


 ノアは触手の網を縫うように進む。

 紙一重。

 本当に数ミリ。

 ほんの一瞬。

 だが確かに存在する安全地帯。

 その隙間だけを通る。


 すると。

 ヴィーナスノヒモが反応した。

 触手が一斉に収束する。

「来たな」

 透明だった触手が束ねられる。

 巨大な鞭。


 いや。

 巨大な槍だった。

 洞窟そのものを貫く勢いで振り下ろされる。

 轟音。

 水が裂ける。

 岩が砕ける。


 だが。

 ノアは避けない。

「確認完了」

 《凝縮硬化》発動。

 体表が瞬間的に硬化する。

 触手が直撃。

 衝撃が全身を襲う。


「ぐっ……!」

 吹き飛ばされる。

 だが致命傷ではない。


 そして。

 ノアは見逃さなかった。

 触手を振り切った後。

 ヴィーナスノヒモ本体が僅かに硬直したことを。


「やっぱりある」

 後隙。

 確定硬直。

 設置型にも存在する攻略ポイント。


 だが。

 距離が遠い。

 今の速度では届かない。

 そこでノアは笑った。


「なら使うか」

 身体を縮める。

 水流を圧縮。

 爆発。


「《ハイドロ・ダッシュ》!」

 ドンッ!!

 海水が弾ける。

 身体が砲弾のように加速した。

 触手の隙間を抜ける。


 一瞬。

 二瞬。

 三瞬。


 そして。

 ヴィーナスノヒモの懐へ到達した。

「チェックメイト」

 牙を突き立てる。

 柔らかい肉。

 その奥。

 脈動する赤黒い核。


 そこへ食らいつく。

 バギッ。

 核が砕けた。

 青白い光が崩壊する。

 触手が力を失う。

 巨大なクラゲがゆっくり沈んでいった。


【捕食を確認】

【ヴィーナスノヒモを吸収しました】

【Lv4 → Lv15】

【新規スキルを獲得しました】

【《隠密毒素ヴィーナス・ヴェノム》】


 直後。

 ノアの身体が揺らぐ。

 輪郭が消える。

 気配が薄れる。

 海水へ溶け込む。


「……透明化?」

 さらに体内で毒液が生成される。

 圧縮。

 変換。

 射出。

 ズガァッ!!

 放たれた毒針が岩壁を貫いた。

 紫色の煙が上がる。


「なるほど」

 ノアの口元が歪む。

「隠密と遠距離攻撃か」

 そして理解する。

 欲しかったものだ。

 今までの自分は近接しかできなかった。

 だからハリセンウオのような遠距離制圧型に届かなかった。


 だが。

 これで違う。

 近づく手段。

 不意打ち。

 遠距離攻撃。

 全部揃った。

 脳内で攻略ルートが完成する。

 ハリセンウオの視線。

 行動パターン。

 トゲ射出。

 硬直。

 反撃。


 すべてが一本の線になる。

「……勝てるな」

 ノアは海底神殿の奥を見つめた。

 暗闇の先。

 巨大な魔力反応。

 この海域の頂点。


 Lv30

 ハリセンウオ。

 前回は一方的に追い返された。

 だが今は違う。

 攻略法が見えている。

 見えている敵は、もう怖くない。


 ノアは静かに笑った。

「待ってろ」

 《ハイドロ・ダッシュ》が起動する。


 水流が渦を巻く。

「次は俺が攻略する番だ」

 そう呟きながら、ノアは海底神殿最深部へ向かった。

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