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寿命365日の最弱ウミウシに転生した元プロゲーマー〜今度こそ世界一位をハメ殺す〜  作者: 神城ラグ
『第二章:深海エリアへの進出と強敵との遭遇、ライバルとの実力差の測定』
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第二十四話 攻略完了

深海をネオン紫の軌跡が駆ける。

 深淵鮫。

 レベル68。

 未来フレーム予測を初めて狂わせた敵。


 だが。

 もう正体は割れている。

 攻略情報の判明したボスに価値はない。

 残るのは実行だけだった。


 深淵鮫が旋回する。

 巨大な尾が海流を裂く。

 例の感知器官。

 生体電流を感知する。


 視界も音も必要ない。

 獲物が動こうと考えた瞬間。

 神経信号を読む。

 だから回避が読まれる。

 だから未来フレーム予測が崩される。


「なら」

 ノアは笑った。

「読ませなきゃいい」

 紫色の外殻が光る。

《亜音速航行》


 ズドォォォォォォォォン!!

 海が爆ぜる。

 深淵鮫が追う。


 ノアは右へ動く。

 次の瞬間左へ。

 さらに急停止。

 上昇。

 下降。

 反転。

 意味不明な軌道。

 最適化とは真逆。

 初心者みたいな移動。


 だが。

 深淵鮫の動きが僅かに鈍った。

 生体電流が増える。

 判断が増える。

 情報が増える。

 感知できても処理しきれない。


「やっぱりな」

 未来フレーム予測が収束する。


【攻略成功率:83%】


 十分だった。

 ノアはさらに加速する。

 深淵鮫も加速する。

 両者の距離が縮まる。

 牙が迫る。

 海流が唸る。


 だが。

 ノアは避けない。

 むしろ誘導する。

 わざと隙を見せる。

 わざと逃げる。

 わざと読ませる。

 深淵鮫は追う。

 疑わない。

 それが最適行動だからだ。


 そして。

 その最適行動こそが罠だった。

 海底。

 巨大な岩壁。

 狭い裂け目。

 深淵鮫の巨体では避けられない地形。


 ノアは笑う。

「チェックメイト」


《高圧遠隔砲》

《音速衝撃波》


 事前設置。

 圧縮。

 重ね掛け。

 置き技。


 前世から変わらない必勝パターン。

 深淵鮫が突っ込む。

 止まれない。

 避けられない。


 そして。

 ドゴォォォォォォォォォォン!!

 深海が揺れた。

 砲撃。

 衝撃波。

 岩壁への激突。

 三重のダメージが同時に炸裂する。


『グォォォォォォォォッ!!』

 巨体が吹き飛ぶ。

 鱗が砕ける。

 血が散る。


 だが。

 まだ死なない。

 深淵鮫は海の頂点捕食者だ。

 レベル68。

 今までの敵とは耐久力が違う。


 それでも。

 ノアは冷静だった。

 攻略は終わっている。

 後は処理だ。


 深淵鮫が最後の突撃を開始する。

 全身全霊。

 最後の一撃。

 対するノアは真正面から迎え撃った。


《確定反撃・針地獄》


 紫色の毒針が炸裂する。

 神経を裂く。

 筋肉を破壊する。

 深淵鮫の動きが止まる。

 その隙を逃さない。


《天逆鉾の放電》


 青白い雷が海中を駆け抜けた。

 麻痺。

 硬直。

 停止。


 そして。


《高圧遠隔砲》


 轟音。

 爆発。

 深淵鮫の頭部が砕け散った。

 巨体がゆっくり沈む。

 戦闘終了。


 ノアは静かに息を吐いた。

「攻略完了」

 強かった。


 だが。

 アインほどじゃない。

 その事実だけが残る。

 ノアは迷わず捕食を開始した。


 肉。

 神経。

 牙。

 全てを喰らう。

 大量のログが展開された。


【『深淵鮫』の捕食を確認】

【経験値を獲得】

【Lv60→68】

【新規スキル獲得】

【《捕食者の牙》】


 ノアの目が細くなる。

 説明を確認する。


【対象の防御能力を一部無視します】

【対象が硬いほど効果上昇】


「へぇ」

 悪くない。

 アイン対策候補。

 そう判断した。

 その時だった。

 未来フレーム予測が反応する。


【高危険度個体を検知】

【長距離観測開始】


 紫色の線が遥か下層へ伸びる。

 深海の闇。

 その奥。

 巨大な口。

 異様なほど細長い身体。

 まるで口だけが海を泳いでいるような異形。


 ノアは目を細める。

「見たことあるな」

 昔やったゲームの記憶。

 海洋生物図鑑。

 深海生物カテゴリー。


 確か――

 ログが展開された。


【個体名候補】

【フウセンウナギ】


 ノアの口元が歪む。

 ネオン紫の瞳が怪しく光った。

「次の攻略対象か」

 深海の闇の奥。

 新たな経験値が待っていた。

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