第二十一話 進化権
深海を漂いながら。
ノアは静かにログを見つめていた。
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【進化権が解放されています】
【進化を実行しますか?】
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「当然だ」
選択する。
躊躇はない。
ここで止まる理由がない。
世界の底へ辿り着くために。
アインへ追いつくために。
必要なものは全部使う。
次の瞬間。
視界が赤黒いノイズに覆われた。
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【進化開始】
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ドクン。
心臓が脈打つ。
同時に。
寿命ログが展開された。
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【残り寿命:27日】
↓
【残り寿命:25日】
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二日か。思ったより安い。もっと削ってでも強くなれるなら構わない。
その瞬間。
肉体が崩壊した。
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ネオン紫の亀裂が走る。
黒い外殻が砕ける。
触手が溶ける。
細胞が液状化する。
深海へ溶け出した肉体が再び集まり始めた。
紫色の粒子が渦を巻く。
フレーム飛び。
残像。
ノイズ。
世界樹システムが処理できない異常進化。
そして。
新たな肉体が形成される。
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【進化完了】
【種族:《アビス・グリッチ・ロード》】
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ノアは静かに目を開いた。
まず最初に感じたのは。
視界だった。
広い。
いや。
情報量が違う。
海流。
温度。
振動。
魔力。
全てが鮮明に見える。
まるで世界そのものの解像度が上がったようだった。
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外見も大きく変化していた。
全長は二メートル近い。
漆黒の外殻はより鋭く。
体表を走るネオン紫の亀裂は以前より濃くなっている。
移動するだけで紫色の残像が海中へ残る。
そして。
頭部付近には王冠のような結晶状の角が形成されていた。
深海生物というより。
世界のエラーそのもの。
そんな異形だった。
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「完全にラスボス側だな」
少し気に入った。
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【現在スキル構成】
【1:《確定反撃・針地獄》】
【2:《隠密毒素》】
【3:《多段相殺シールド》】
【4:《高圧遠隔砲》】
【5:《ハイドロ・ダッシュ》】
【6:《未来フレーム予測》】
【7:《亜音速航行》】
【8:《天逆鉾の放電》】
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【スキル枠使用数:8/10】
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ノアは確認する。
無駄はない。
かなり完成されている。
だが。
まだ足りない。
アインを攻略するには。
決定打が存在しない。
「あと二枠」
「ここからが本番か」
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視界の奥で。
何かが動いた。
巨大な影。
長い背びれ。
鋭い殺気。
未来フレーム予測が反応する。
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【警告】
【上位捕食者を検知】
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深海が揺れた。
ノアはゆっくり笑う。
「次の経験値か」
ネオン紫の瞳が細く歪む。
その先には。
海の頂点に立つ捕食者がいた。




