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寿命365日の最弱ウミウシに転生した元プロゲーマー〜今度こそ世界一位をハメ殺す〜  作者: 神城ラグ
『第二章:深海エリアへの進出と強敵との遭遇、ライバルとの実力差の測定』
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第二十話 雷帝攻略

 深海に青白い雷光が走る。

 巨大な身体。

 海水そのものを発電器官に変えた異形。


【個体名:深層雷帝ウナギ】

【Lv60】


 その瞬間だった。

 未来フレーム予測が警告を鳴らす。


【危険】

【危険】

【高出力放電を検知】


「――っ!?」

 反応した時には遅かった。

 バチィィィィィィィッ!!

 海全体が発光する。

 超高圧放電。

 雷は弾じゃない。

 水流じゃない。

 避けるための移動時間すら存在しない。


「ぐっ……!」

 全身が硬直した。

 神経が焼ける。

 筋肉が悲鳴を上げる。

 紫色の外殻が焦げる。

 ノアは吹き飛ばされた。

 海底を転がる。

 シールド展開。

 間に合わなかった。


「なるほど」

 それでも笑う。

「そういうタイプか」

 マグロは速かった。

 エビハゼは連携型だった。

 だがこいつは違う。


 純粋な範囲制圧。

 回避ではなく。

 発動前に潰さなければならないタイプ。

 雷帝ウナギが口を開く。

 再び放電。 


 だが。

 今度は見えた。

 発電器官の膨張。

 筋肉の収縮。

 海流の変化。

 未来フレーム予測が紫色の線を描く。

「発生前があるなら」

「攻略できる」

《未来フレーム予測》最大出力。

 世界がスローになる。

 予測線が収束する。

 発電開始地点。

 放電タイミング。

 全部見える。

 雷帝ウナギが吠えた。

 再び放電。


 その瞬間。

《亜音速航行》

 ズドォォォォォォン!!

 ノアの姿が消える。

 雷が通った。

 だがそこにはもういない。


 直後。

 雷帝ウナギの懐へ潜り込む。

「捕まえた」


《確定反撃・針地獄》


 ドバァァァッ!!

 猛毒針が炸裂する。

『ギィィィィィィッ!?』

 肉が裂ける。

 神経が破壊される。


 だが。

 まだ倒れない。

 レベル60。

 これまでの敵とは格が違う。

 巨体を振り回しながら暴れる。

 放電。

 突進。

 尾撃。

 海そのものが荒れ狂う。

 しかし。

 もう遅い。

 未来フレーム予測が完全に捉えていた。

 動く前に分かる。

 攻撃する前に分かる。

 どこへ来るか。

 全部分かる。

「チェックメイトだ」

《音速衝撃波》

《高圧遠隔砲》

《隠密毒素》


 三重接続。

 圧縮。

 増幅。

 重ねる。

 雷帝ウナギが突進を開始した。


 だが。

 その先には。

 ノアが置いた攻撃がある。

 持続当て。

 完全な置き技。

『ギャァァァァァァァァッ!!』

 自ら最高速で突っ込む。

 回避不能。

 毒。

 衝撃波。

 高圧砲撃。

 全てが同時に炸裂した。

 ドゴォォォォォォォン!!

 巨体が吹き飛ぶ。

 外殻が砕ける。

 発電器官が破裂する。

 青白い雷が暴走した。


 そして。

 最後の悲鳴と共に。

 深層雷帝ウナギは崩れ落ちた。

 ノアは迷わず捕食する。

 肉。

 神経。

 発電器官。

 雷帝の全てを喰らい尽くす。


 次の瞬間。

 脳内に大量のログが展開された。

【『深層雷帝ウナギ』の捕食を確認】

【経験値を獲得】

【Lv50→55】

【Lv55→60】

 ノアの目が細くなる。

 ちょうどいい。

 無駄がない。

 理想的なレベリングだった。

 次の瞬間。

 脳内へ新たな情報が流れ込む。

【新規スキル獲得】

【《天逆鉾の放電ヘブンズ・ボルト》】

 海水を媒体にした広域殲滅。

 感電麻痺。

 神経破壊。

 広範囲制圧。

 小さく紫電が走る。

 パチリ、と周囲の海水が震えた。


「悪くない」

 むしろ強い。

 対多数。

 足止め。

 牽制。

 用途はいくらでもある。


 だが。

 アインにはまだ届かない。

 これだけでは足りない。

 さらに新たなログが表示された。

【スキル枠使用数:8/10】

 ノアは静かに笑う。

「あと二枠か」

 まだ余裕がある。

 まだビルドは完成していない。


 もっと尖らせる。

 もっと理不尽にする。

 もっと攻略する。

 アインをハメ殺すために。

 その時。

 最後のログが展開された。

【経験値が60へ到達しました】

【進化権が解放されます】

【進化可能】

「来たか」

 ノアは深海の闇を見上げる。

 次の進化。

 次のビルド。

 次の攻略。


 そして。

 さらに強い敵。

 その全てが待っている。

 寿命は減るだろう。

 だが。

 立ち止まる理由にはならない。

 世界の底。

 アイン。

 そこへ至るためなら。

 何だって使う。

 ノアはゆっくりと口元を歪めた。


「まずは進化だな」

 ネオン紫の軌跡を残しながら。

 《アビス・グリッチウミウシ》はさらに深い闇へと沈んでいった。

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